筆者が学生の頃、周囲の金欠学生たちの「お供」といえば安価で手に入る協力型ゲームでした。
従兄弟から借りたままの『モンスターハンター ポータブル』シリーズ、セールで信じられないくらい安くなる『Left 4 Dead 2』、当時としてはかなり独特な販売形態をとっていた『PAYDAY 2』。
思い返してみると、懐かしの協力型ゲームってどのタイトルも5年とか10年とか遊んでいた気がします。無我夢中になってプレイしていました。みなさんもきっと『メタルギアソリッド ピースウォーカー』とかやってたでしょ?
なにか、そういう初心に帰れるような……みんなで10年は遊び続けられるゲームが欲しい!
ここ最近そんなことを思っていました。
たとえば、
・最大4人で協力できて
・敵をただ殺したりする以外にもクリア方法があって
・ビートが効いた心揺さぶられるハードな音楽があって
・銃使うやつ
とか、そういうので遊びたいな!!!
スッ……

お前は難しすぎるから一旦座ってろ!!
『GTFO』はプレイヤーの生存率(クリア率)が毎シーズン数パーセント程度という狂気的な難度が魅力の協力型ホラーシューター。制作メンバーの多くが共通している『PAYDAY2』と比較してみても、その圧倒的な難しさから挫折するプレイヤーが少なくないのだとか。
でもおもしろい。 おもしろいんだけど、難しすぎるんですよこのゲーム!! あまりの難度に筆者も早々に挫折しました……。「最大4人協力プレイ」なのに遊ぼうと思ったら「最低限4人要求される難度」ってなに!?
ほんの少しでも人の心がある……気持ちやさしい難度の『GTFO』があったら……。人を沼にはめることだって、何時間でも協力プレイだってできちゃうのに。ないかな……そういうゲーム……。
脳内のウルフ・アンダーソン「あるよ」
そのゲームの名は『Den of Wolves』。ジャンルは強盗モノ協力型FPS。
協力マルチで強盗をするシューティング。加えて『PAYDAY』を手がけた張本人たちが直接携わっている作品。
これ……間違いない……。間違いなく『PAYDAY』の遺伝子を継いでいる。俺たちが待っていた強盗ゲームだ……! あれ、なんだろう涙が……。
しかも、そんな『Den of Wolves』のメディア先行体験会が開催されると聞いては、いてもたってもいられません! お誘いの連絡に食い気味に「行きます!」と返信して参戦してきました。
『GTFO』よりは入りやすいけど、『PAYDAY』よりはちょいハード?仲間との協力がより求められる絶妙な難度に四苦“ハック”
今回のプレビューで遊ぶことのできたステージは合計2種類。体験会の参加者(筆者と別メディアの2名)と10 Chambersの担当者2名、計4名のフルパーティで挑みます。
過去のインタビューで「『GTFO』よりかは敷居が低い」という情報を聞いていた筆者は、気楽な気持ちでプレイに臨んだのですが……。
めっちゃ普通に死ぬ!!!
まず最初に受けた印象としては『PAYDAY』よりも間違いなく難しいということ。『PAYDAY』はソロでもなんとか、『GTFO』はある程度の極地に達していないとソロは厳しいといった難しさなのですが、絶妙に中間くらいな気がします。
これ、どうも意図して設計されているようで、無闇な孤立は『PAYDAY』シリーズ以上に死を招く結果に。別行動する場合も2人ずつでカバーし合える状況を作っておく必要などがあるかもしれません。
なお、“普通に死ぬ”といっても、それは戦闘をすればの話。本作では『PAYDAY』シリーズや『GTFO』同様に無闇な戦闘を避けるための「ステルス」が選択肢として用意されています。
また、『PAYDAY』シリーズと異なり一度バレてしまっても隠密行動を再開できるので、一度バレてしまったらずっと戦闘!という事態も避けられるよう設計されているそうです。
ゲームオーバーを重ねながらも、参加者たちがゲーム性を理解したところで今回のメインステージへ突入。
10 Chambersの担当者に呼び出されプレスツアー会場のロビーへ行くと、そこにはステージの全体図を示した巨大な見取り図が展開されていました。

我々のチームを担当してくれたジョナスさんの指揮のもと、今回のミッションの内容確認。ルートの構築、攻略対象のビジュアルを写真で確認するなど、本物のブリーフィングさながらのリアルさでお話が進んでいきます。
なお、今回のミッションでは裏切りがフィーチャーされています。体験したミッションの前段階で対抗組織との取引が行われていたようで、我々は取引場所へと向かうことに。
相手が攻撃を伴わない取引だと油断している隙に鎮圧し、ある人物の脳内にある“データ”の奪取を目指すのですが、本ミッションでは敵勢力からの激しい反撃が予想されます。そのため、事前の念入りな確認が求められました。

最終目標の脳へ到達するためには、複数の金庫を荒らしていくつかの鍵を手に入れる必要があります。もちろん当たりの金庫だけではないので、その辺りも考慮しつつ仲間と話しあってルートどりを決定。本番に挑みます。
この金庫荒らしで非常に助かったのが、自律型ドリルロボットの存在。正式名称不明のためここではドリルくんと呼称することにしますが、金庫前で呼び出すだけで自動で削り出してくれます。誰かひとりがドリルをバンから運ぶ時代は終わった……!
ドリルを運ぶ手間、リアリティと引き換えに移動速度低下や無駄な移動が存在していたので、ドリルくんの登場で仕事がなくなりました。やはり技術は人類をラクにするためにある。
「企業が法」なサイバーパンク的世界観で、考えられる非道の限りを尽くそう
自律型ドリルってどういう世界観!?ってなりましたよね、すみません。まだまだ説明が必要でした。
本作『Den of Wolves』は2097年、近未来の地球を舞台としています。物語の中心となるのは、北太平洋に位置する自然保護区「ミッドウェイ」。
名目上はアメリカの管理下にあるとされながらも、実際には統治の行き届かない無政府地帯と化しており、製薬や石油といった巨大産業がしのぎを削る争奪戦の舞台となっています。
この島では、人権や倫理、法といった概念はすでに形骸化しており、あくまで企業の意向が支配するという苛烈な世界が描かれます。

開発元である10 Chambersが以前手がけた『GTFO』のような暗く閉塞感のある雰囲気とは一線を画し、より鮮やかでダイナミックなビジュアルも特徴的です。
現代の延長線上にある“リアリティのある近未来”が重視されたSF要素の数々は、映画『インセプション』や『ヒート』といった作品にみられる「本当にあり得そうな未来」を彷彿とさせますよね。では、次の項でもう少しゲームプレイを深掘りしていきましょう。
戦闘は楽しいが、それよりもカバンを取ろう
多分皆さん気になるのは具体的な戦闘部分とか『GTFO』との比較とか、たぶんそのあたりだと思います。
……わかります。ただ、ちょっと別ルートに侵入させてください。『PAYDAY』が大好きなら、最終的にみんなが経験する“アレ”についてお話したいんです。
本作『Den of Wolves』は、強盗ゲームと言うだけあって荷物運びが存在します。今回プレイしたミッションでいうと鍵を入手するついでにゲットできる換金アイテムがあるのだと思っていただくとわかりやすいでしょう。
おそらく初めて遊ぶのであれば、律儀にひとり1バッグ制限を守りながらミッションを進めていくことでしょう……。
でも、オレ達強盗だぜ? おこづかいほしいだろ?
別にひとりにつき1バッグじゃなくていいんですよ。ひとつ取ったら前方に投げ、もうひとつを取って同じく前方に投げる。これを繰り返すと……、あら不思議ひとりで2個、3個とバッグが運べてしまいます。
『PAYDAY』では、強盗4人に対してバッグが10個以上のミッションが平気で存在していたため、ひとりで複数運んだり、味方同士でバケツリレーしたりといろいろなテクニックが存在していました。もちろん本作でも健在!体験会でも必死に集めて10個以上バッグ回収し無事褒めていただいたのですが……。
なんか……リザルト画面でミッション内の全体バッグ数が30個くらいと表示されていたような気がしなくもない……。
つまり、「「「想定済み」」」ってことです。みなさんも、バッグ集め。頑張りましょう。

“ステルス”でも“アサルト”でもない第三のゲームプレイ
さて、2024年12月に公開されたゲームプレイトレイラーでお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、トレイラーの最後でなにやら夢の世界のような壊れた世界が示唆されましたよね。

英語のセリフをよく聞いてみると「Diving in…(潜るぞ)」と言っています。潜る……?何に……?

今回の最終目標は脳からデータを盗み出すこと……。つまり我々は対象の脳の中に「ダイブ」することになるのです。
……そういうのってアリなの!?

ダイブのタイミングは“適宜”! 敵との交戦中だろうが、弾込め中だろうが、ダウン中だろうが問答無用でダイブが発生します。
味方に起こされている途中にダイブした時は焦りまくりで、急にパルクールが始まるので右往左往。まさに映画『インセプション』のような空間が広がり、我々の平衡感覚を狂わせてきます。初めてダイブを体験した時感じました、このゲームヤバい。
はやく遊びたい、早くあのときの仲間と遊びたいッ……!発売日はいつですか?
いつですかぁぁぁッ!!!

(画像はYouTube – Den of Wolves – Gameplay Reveal Trailerより)