キャラが勝手に突撃してしまう「衝動ゲージ」はまるで5つ子のワンオペ
本作は、リアルタイムに変化する戦況の中で状況判断を重ね、複数のキャラを管理していく忙しさが魅力のゲームとなっています。これまで紹介していなかった細かなシステム面も、そうしたおもしろさを引き立ててくれるものとなっているので、最後に紹介していきましょう。
まずは、各キャラに存在する「衝動レベル」というシステム。簡単に説明すると、「キャラを強化すればするほど、好戦的になってどんどん前に出てしまう」といったものです。
本作の強化システムは、敵を倒して獲得した魂(経験値)を持ち帰ることで、拠点をレベルアップさせていくというもの。強化項目は、その時点でパーティに加入しているキャラに対応したものが表示されます。
強化項目にはレアリティが設定されており、強力な項目を取得すればするほど、対応するキャラの「衝動レベル」が大きく溜まっていくシステム。

「衝動レベル」が高くなったキャラは、プレイヤーが移動指示をした地点よりも前に出やすくなり、どんどん敵を探して戦うようになります。
強力に育ったキャラが自動で索敵をしてくれるので便利な一方、勝手に敵の群れに突撃して倒れてしまうこともあり、一長一短のシステムとなっています。
キャラクターが大きく育った後半ステージなどになると、勝手にマップの端まで敵を追いかけていくこともしばしば。もはや移動指示をしているというよりは「手綱を握って制御する」といった感触になり、前半ステージとはまた違った状況管理の忙しさを演出してくれるようになっています。
先ほど「ワンオペ状況で飲食店でいかに効率よく回していく作業」とお伝えしましたが、こちらはワンオペ状況で5つ子を見ているような感覚。少しでもよそ見したらあっちこっちに行ってしまいます。

強化システムについても深堀りしておくと、本作で特徴的なのは「コラボスキル」というシステム。
先述のとおり、本作の強化項目は、その時点でパーティに参加しているキャラクターに対応したものが登場します。
これらには「テーマ」と呼ばれるシナジー効果が設定されており、たとえば発火能力者の「ホムラ」であれば「爆発」と「炎上」、生体兵器の「ツツミ」の場合は「毒」と「死」といったものになっています。
そして、これらのテーマ間の相乗効果を発揮させるのが「コラボスキル」というもの。ゲーム中、一定の条件を満たすことで複数のテーマを持った「コラボスキル」という強化項目が出現するようになり、これによってキャラクター同士のシナジーが発生するようになります。
たとえば「炎上」と「毒」のコラボスキルの効果は「炎上中、かつ毒状態の敵が受けるダメージを増やす」というもの。ほかにもパッと見ただけで強力な効果が揃っており、優先して取得したいスキルとなっています。
おもしろいのは、一部スキルはタワーディフェンス部分のキャラ配置に影響を及ぼすということ。先述の「炎上×毒」のコラボスキルであれば、炎上を付与できる「ホムラ」と毒を付与できる「ツツミ」を近くに配置してコラボスキルの発動を狙いたくなります。
このように、ローグライトのビルド組みが、タワーディフェンス部分の戦術とも密接に関わっているというのが、本作のおもしろさのひとつ。
ランダム性のある強化要素から最適なものを選び取っていくローグライトの状況判断要素と、リアルタイムに変化する戦況を読み解いてキャラ運用をしていくタワーディフェンスの状況判断要素がうまく絡み合っている部分だと感じました。
ローグライトジャンルのゲームって、繰り返しプレイしたくなる「中毒性」に焦点を当てて語られることが多いと思います。
その点、本作は「複数キャラを同時に操作する」というリアルタイムな忙しさのなかで半ば脳がハイになり、「いまのはもっとうまくできたんじゃないか……?」という反省が自然と生まれ、何度もリトライを繰り返したくなるようなゲームでした。
記事中のスクリーンショットからは、「そんなに忙しいゲームなんだろうか?」と感じた方もいらっしゃるかと思いますが、本作は「見ていると簡単そうだけど、自分でプレイしてみると歯ごたえがあるゲーム」なので、ぜひご自身でもプレイして、おてんばなキャラたちに忙殺されてみてください。
『Mayhem Maidens』は、2025年4月30日よりPC(Steam)でプレイ可能です。