ネットマーブルが2015年にサービスを開始した『レイヴン』は、ハック&スラッシュの面白さや、PC向けアクションRPGの爽快感を、スマホで手軽に味わえるタイトルとして人気を博した。当時のスマホゲーム業界にも大きなインパクトを与え、同年の大韓民国ゲーム大賞も受賞している。
その後のスマホゲーム市場では、ハクスラ系のRPGが続々と登場するようになったが、個人的には、その先駆者がレイヴンという認識である。
そんなレイヴンの登場から10年が経過したいま、最新シリーズ作の『レイヴン2』が正式サービスを開始予定だ。
……といっても、レイヴン2は単なる続編ではない。ゲームジャンルも前作のMOアクションRPGから、MMORPGと様変わりしているのだ。
しかも、読者もご存じのとおり、現在のスマホ向けMMORPGは多くのタイトルがしのぎを削っている。前作のような先駆者ではなく、挑戦者としてレイヴン2は登場するのだ。
果たしてレイヴン2は、いったいどのようなMMORPGへと変貌したのか。前作の経験者である筆者が、ファーストインプレッションをお届けしよう。
文/kawasaki
“聖痕”が刻まれた特務隊の一員として悪魔と対峙する
今回プレイして特に興味をそそられたのが、慈悲無き世界で繰り広げられる凄惨なメインストーリーである。このような、いわゆるダークファンタジーの世界観は、RPGジャンルでは定番といえるが、レイヴン2では表現がもう一歩踏み込まれた印象だ。ゲーム中盤までのあらすじを、ざっくりと紹介しよう。
この世界には悪魔がはびこっており、住民の命は常に脅かされている。
そんななか一部の人間に対し、不思議な聖痕が刻まれる事件が各地で発生。詳細は不明ながらも、聖痕が刻まれた人間は驚異的な力を得ており、それ故に多くの人々からは恐れ、忌み嫌われてもいる。それどころか悪魔に取り付かれた烙印だとみなされ、悪魔狩りまでもが行われているのだ。
この不幸の連鎖を断ち切るべく、ベルシア王国のエドガー国王は、聖痕が刻まれた実力者を集めて特務隊を結成し、各地へ派遣している。主人公のプレイヤーキャラも、この特務隊の新参メンバーの1人だ。そして世界各地を調査しながら悪魔と対峙し、この呪われた世界の謎に迫っていくのだ。
実に興味深いのが、主人公や特務隊の面々が、必ずしも「不当な扱いを受けている善人」とは言い切れない部分である。
その根拠をネタバレしないように軽く述べると、主人公の傍らには常に、不気味かつセクシーな女悪魔のグリエルが行動を共にしている。彼女は普段は姿を消しているが、ストーリーの要所要所では背後霊のように突然あらわれ、不気味な進言を行うのだ。
しかも、主人公はグリエルの存在に対し違和感を覚えていない様子で、ゲーム内では詳しい説明すら行われない。もしかすると、主人公は悪魔そのものなのだろうか……?
個人的には、単純な勧善懲悪には留まらなさそうな本作のストーリーは、MMORPGとしてのキャラ育成や各種コンテンツ以上にワクワクさせられてしまった。
実はこう見えて”イマドキのスマホ向けMMORPG”
レイヴン2はゲームの開始直後から、これでもかという位に、陰鬱で、凄惨で、残酷なストーリーが繰り広げられる。グロテスクとまではいかないが、ゴア表現は当たり前のように登場するので、耐性がない人とってはちょっとキツいかもしれない。
ちなみに先行してサービスが行われている韓国語版では、本作は19歳未満はプレイ禁止とされている。
世界観がこのようなテイストなので、ゲーム内容も高難度やハードコアなモノを想像するかもしれない。しかし実はこう見えて、本作の各種システムやゲームバランスは、近年人気を博しているスマホ向けMMORPGを踏襲しており、全体的に遊びやすく親切設計な造りだ。
基本操作はWASD移動とマウスクリックの両方に対応。メインストーリーやクエストの進行時は、次の目的地までガイドを表示してくれる。加えてオートバトルや、アクティブスキルや回復ポーションの自動使用、目的地へのオート移動やファストトラベルも完備されている。
ゲーム序盤からしばらくの間は、画面右上に表示される”次の目標”をタップし続けるだけで、まったく問題なくメインストーリーを進め、サクっとキャラレベルを上昇させられるだろう。要するに、イマドキのストレスフリーなスマホ向けMMORPGそのものである。
もっとも、戦闘時の演出面はレイヴン2らしくド派手なものとなっている。特に、特定の状況下で敵を倒すことで、過度な血しぶきや部位欠損などのゴア表現とともにFATALITYと呼ばれる必殺技を繰り出せるが、これは見応えもバツグンである。
特務隊として暗躍しつつ、各種バトルコンテンツに挑む
メインストーリーを進めてキャラクターレベルが25前後になる頃には、自動使用されるポーションだけでは回復が追いつかず、モンスターにやられることが次第に増えてくる。メインストーリー以外の各種コンテンツにも挑戦して、意識的にキャラ育成に勤しむことになるだろう。
スマホ向けMMORPGに慣れたプレイヤーにとっては、ここからがゲーム本番といったところだ。
なかでも注目してほしいのが、上述した特務隊に関連したコンテンツである。特務隊の各メンバーは世界各地のエリアで暗躍しており、プレイヤーキャラは彼らと直接会うことで、専用のクエスト群を受けられる。そうして特務隊におけるランクを上昇させ、さまざまな報酬を得ていくのだ。
プレイヤーが実際に操作する内容や、得られる報酬は、一般的なMMORPGにおけるサブクエストとそれほど大きくは変わらない。だがゲームプレイ中は、世間の目には触れないように暗躍するロールプレイや、同じ境遇の者同士による連帯感のようなものが感じられるのだ。世界観に深みがあることから、ひとつひとつのコンテンツへの没入度も高まりそうだ。
もちろん、近年のスマホ向けMMORPGにおける定番コンテンツは、レイヴン2にも一通り実装されている。
たとえば、ランダムポップした悪魔を相手に、その場に居合わせたプレイヤーキャラたちが共闘するフィールドボス。地獄から出没した悪魔を、数十~百名以上が力を合わせて撃退するレイドバトルの亀裂。さまざまな特殊ルールが課せられるなか、制限時間内に攻略して頂上を目指す混沌の塔。深淵の悪魔と対峙する高難度バトルコンテンツのアビス。
こういったさまざまなコンテンツを通じて、コツコツとキャラ育成に励むことになる。
また、スマホ向けMMORPGでいうところの”クラス・変身”のように、自身のキャラ特性を変化させる聖衣や、プレイヤーキャラの能力を底上げするペットをガチャを通じて入手もできる。これらがキャラ性能に及ぼす影響が大きいのも、スマホ向けMMORPGの経験者にとってはご想像の通りだろう。
今回の限られた時間のテストプレイでは試せていないが、もっとゲームを進めると、ギルドバトルやPvP系コンテンツも次第に顔を覗かせてくる。新作のMMORPGということで、正式サービス開始直後は多くのプレイヤーが集まるだろうし、PvP等のエンドコンテンツがどのように盛り上がるか、今から興味津々である。
なお、ネットマーブルが先日放送したレイヴン2の公式番組では、MMORPGのインフルエンサーらを交えて、本作への期待感などがアツく語られている。本番組では、韓国語版でも実装されていない8番目の新クラス「デスブリンガー」などの最新情報も明かされているので、本作に興味のある人は、正式サービス開始に向けて予習しておくとよいだろう。
iOS/Android/Windows PCのマルチプラットフォームにも対応
ここまでゴア表現に踏み込んだスマホ向けMMORPGは珍しい。それだけに初プレイの際は、正直に言って「さすがに人を選ぶかもしれないな……」と思えた。
ただ、近年のRPGを見渡すと、ダークファンタジーの世界観を採用した作品はありきたりで、食傷気味でもある。仮にグラフィックスのクオリティが多少増した程度では、インパクトが弱いのも否めないだろう。
そういったなか、ライトゲーマーにとっては軽く引いてしまいそうなレイヴン2のゴア表現も、本作に注目するような、つまりMMORPGのコアゲーマーにとっては、むしろ新鮮さとして受け入れられそうである。
レイヴン2ではiOS/Android/Windows PCのマルチプラットフォーム展開が行われるが、本作ならではのゲーム体験を踏まえると、基本的にはWindows PCでのプレイを推奨したい。
そのうえで、自宅ではWindows PCで本作ならではの世界観をたっぷりと楽しみつつ、外出先ではスマホから同じアカウントでログインし、隙間時間でサクっとキャラ育成に勤しむ。こういった使い分けが、本作の醍醐味を最もしゃぶり尽くせそうだと思えた。
個人的に、前作のレイヴンはお気に入りのアクションRPGだったので、続編となる本作でジャンルを大きく変えてきたのは意外であった。だがも、他に類を見ないハードコアな世界観を、イマドキのライトなスマホ向けMMORPGとして両立させるのは、前作とは違った意味で大きな挑戦といえよう。
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