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スクエニのアーティストたちが自ら描いたカードの魅力をアピール!『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』発売PRイベントをレポート

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『ファイナルファンタジー』を代表するアートを『マジック』に託した「FINAL FANTASY・継承史カード」

続いて、市川氏から『ファイナルファンタジー』シリーズを代表するアートを、『マジック』に託した「FINAL FANTASY・継承史カード」3枚の紹介が行われた。《漆黒のヴィランズ》は、『ファイナルファンタジーXIV』のキービジュアルをそのままカードのデザインに落とし込んだものだ。

激動の中戦い抜き、決して折れない戦士の姿にふさわしいカードはなんだということで、打ち消されない打ち消しである《ドビンの拒否権》が採用されている。

『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』発売PRイベントレポート:公開カードや開発者の質疑応答などをお届け_030

《氷漬けの幻獣を求めて》は、『ファイナルファンタジーVI』でヴァリガルマンダと最初に出会うシーンを、あえてドット絵で再現したカードだ。ドット絵を選んだ理由は、過去に『ファイナルファンタジーVI』を遊んだことのある冒険者に昔の自分を思い出してもらいたいということから選ばれている。

ちなみにオリジナルの作中ではティナと初めて会った時に魔道アーマーを破壊してしまうという表現があったが、こちらのカードは爆発しないため安心して使うことができる。

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ハイレベルな統率者戦では必須ともいえる青の置物《リスティックの研究》が、『ファイナルファンタジーX』を象徴するアートで復活する。ちなみに市川氏によると、こうした継承史カードのアートはスクウェア・エニクスにとっても、各タイトルを代表する大事なアートであるという。そのため、アートをどのようにカードに落とし込むかという点についても、なんどもザキール氏とコミュニケーションを取って作られてきたのである。

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野村哲也氏が描いた「マジック・スポットライト・シリーズ」の参加特典のプロモカードが公開

6月27日(金)~29日(日)に幕張メッセで日本初開催される大型オープントーナメント「マジック・スポットライト・シリーズ」。同イベントの参加特典プロモカードとして、野村哲也氏が描いた「ミッドガルの傭兵、クラウド」が公開された。

スタンダードで開催されるメインイベント参加者全員に通常版が贈呈され、トーナメント上位128名には特別なフォイル版が贈呈される。ちなみに、日本語版は本イベント限定で、英語版はアメリカのラスベガスで開催されるプロツアー限定での配布となる。

市川氏によると、このカードは「スポットライト・シリーズ」とプロツアー用のプロモカードとしてクラウドをなんとか使いたいということから、自信とザキール氏の思いを野村氏に届けて了承をもらって実現したものだという。そうした意味でも、特別なカードになっているのだ。

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イベントのクロージングでは、ふたたびアコースティック楽団が登場。『ファイナルファンタジーV』の「ビッグブリッヂの死闘」と『ファイナルファンタジーIII』の「悠久の風」の2曲が演奏され、イベントが締めくくられた。

Q.「もっとも思い入れのあるカードは?」A.市川氏「セフィロス」、ザキール氏「セフィロスを市川さんに取られたのでジャボテンダー」。イベント後におこなわれた質疑応答の内容も一部お届け

今回のPRイベント終了後、ザキール氏と市川氏への質疑応答が行われた。こちらではその模様を一部抜粋してご紹介していく。

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――今回のコラボでは、まずウィザーズさんが能力を設定して、それをスクエニさんのほうにお投げして、スクエニさんが確認して……という流れで作業をやられたという認識でよいでしょうか?

市川氏:
はい、そうですね。ザキールがこんな形を考えているというのをいただいて、すごく何か突っ込んでいるわけではないんですけれど、私としてはこのキャラクターはこういう能力性が合っているんじゃないかみたいな。どちらかというと、IP的なところからキャラクター性のアドバイスをお戻ししたという感じですね。

キャラクターをどれだけ能力を落とし込むかというのは、それはまさにザキールたちの役割という形ですね。

――その中で最も難航したカードはどちらでしょうか?

市川氏:
難航したカードいっぱいあるよね?

ザキール氏:
本当にたくさん難航したというわけではありませんが、確かにスクウェア・エニックスの皆様にとってどのキャラクターが重要でどのタイトルが重要でどのカードを強くすべきかなど、それに合わせてどのような能力をすべきかというのはいろいろやり取りをさせていただきました。やはりセットやIPでとても重要なキャラクターですね。

クラウドであったりセフィロスであったり、マスコットとなる象徴的なチョコボであったり、もちろん大会でもプレイできるレベルにうまく調整とかやり取りをさせていただきましたので、とても良い建設的なやり取りだったと思います。

――最も思い入れの深いカードはありますか?

市川氏:
僕の思い入れが深いのはセフィロスですね。僕は野村さんとやりとりが多いので、野村さんのアートを預かるっていうのは、僕にとってはすごく大きく重いものがあります。そこはザキールとのアートにふさわしい能力をしてほしいって話。これは野村さんだけでなくて、天野先生のアートもそうですね。

他のアーティストのアートももちろん大事ですが、特にそのふたつに関してはザキールとの議論が長かったなって気はしています。

ザキール氏:
いやあ、本当は私もセフィロスって言いたかったんですけど、市川さんに取られてしまいました! 私にとっても、セフィロスはとても思い出のあるキャラクターで、トップ2、トップ3に入るくらい大好きなので、野村哲也先生もあの素晴らしいアートを提供いただいて。

本当にまぁ……これについて語りたいんですが、市川さんが話してしまったので(笑)。もうひとつ、2月に公開した「ジャンボテンダー」ですね。

パワーが9999プラスされるというのは、デザインや環境を見る他の方々から「何しているんだ」と言われたんですが、なんとかそれをカードに落とし込むことができまして、本当にファンからも素晴らしい反応が得られたので、とても思い出のあるカードになります。

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――現状、残念ながら、商品が予約しにくい状況になっていますが、今後手に入る機会はございますか?

ザキール氏:
世界中だけではなく日本の皆さんにとってもとても重要な質問であるというのは弊社も理解しています。ウィザードとして一番重要なことは、プレイヤーが商品を手に入れてそれをプレイして楽しめて喜ぶことです。したがって、そこはご心配なく。本セットは過去最大のボリュームで印刷されており、弊社としても全力で努力をしていきます。

――今回のプロジェクトで一番楽しかったことと、一番大変だったことを教えてください。

ザキール氏:
私にとって一番良かったことは、本セットは共同開発という言葉があっており、スクウェア・エニックスとウィザーズが一緒に5年間、この商品を開発してきました。何名か日本にも4~5回出張して、みなさんとミーティングを行っており、一緒に仕事ができたことは充実していて良かったです。

課題だったのは、ファンの期待感などいろいろな面で高水準であったため、そこはウィザーズとしても全力でファンが求めているものに答えなければならないと感じていたことです。実は、本セットの開発期間は通常のセットよりも50パーセントほど長く掛かっています。

最終的には『ファイナルファンタジー』は大切なIPである。スクウェア・エニックスはとても大切なパートナーである。ファンの期待に応えるためにも、高品質の物を出すためにもこれは最終的にOKである。これが忠実性のためにそれを最優先すべきだということを弊社は判断をしましたので、ファンの皆さんが納得いただけるものに仕上がったのではないかと思います。

市川氏:
チーム同士で話していて、未来を語るのはすごく楽しかったですね。我々としては、出してくれるカードのキャラクター性との答え合わせがすごく楽しかったです。キャラクター性をちゃんと汲み取って、それを『マジック』のルールに落とし込んでくれている。これは、『マジック』プレイヤーである私、そして、『ファイナルファンタジー』のプロデューサーでもある自分として両面から見て非常に整合性があり、そのマッチングが本当に楽しかったです。

逆に大変だった部分は、これは我々スクウェア・エニックスサイドの課題でもありますが、アートが一発で決まるものだけでなく、修正を重ねたアートもあることです。例えば、「このクラウド、ちょっと『FF7』っぽくないよね」っていう要素があったとき、その「『7』っぽくない」っていうのが、社内では言語外で伝わるんですよね。しかし、社外のウィザーズさんとやっていくと、言語化にすごく苦労しました。

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――最初に発表したアートは、どのような基準で選ばれたのでしょうか?

ザキール氏:
最初の5~6枚は、スクウェア・エニックスの皆さんとたくさん協議させていただいた上で選びました。ピクセルのゲームをどうやって『マジック』のカードという3D立体化のある表現するかというのは大きな課題でした。そこはスクウェア・エニックスさんと連携して、本当にうまい形でできたのではないかなと思っています。

――継承史カードは既存のカードが『ファイナルファンタジー』のアートで出てきますが、こちらはどのような話し合いがあったのでしょうか?

ザキール氏:
ボーナスシートはもちろん、ストーリーの面から選んだものもあればアートの面から選んだもの、さらにカードの能力を通して選んだものもあります。実はアートを新しく書き下ろしをして、それをスクウェア・エニックスさんに監修いただくというフローのときに、ゲーム内のこの部分を参照してくださいとか、天野先生のこのアートをリファレンスにしてくださいというフィードバックをしていただきました。そこで、何度も何度も見るうちにやっぱり天野先生のアートって素晴らしいですよね」と、ウィザーズの多くの人たちが感じたのです。

このセットでも歴史のある有名なアートを出せたら、どれだけ素晴らしいことだろうかということで、市川様や皆様と相談させていただき、ボーナスシートで出すことができたというのは本当に嬉しいです。

市川氏:
スクウェア・エニックスサイドとしては、これらのアートを使いたいという話は当初戸惑いがありました。というのも、各タイトルを代表するアートなので、そんな簡単に渡すことはできません。我々が大事にしているのは、ファンの皆さんがどれだけそのアートを使って楽しんでいただけるかというところです。

そう考えると、『マジック』の中で過去の有名カードでよく使われているカードをベースに継承史とするというのは、もう一度息吹を与えながら『マジック』のプレイシーンに出していく。そこでいろんなプレイヤーにそのアートを愛していただくということで、社内でいろいろ話をして実現までこぎつけました。

――今回メインのナンバリングタイトルがコラボレーションしていますが、外伝などのシリーズ作品が今後私たちがプレインズウォークできるようになる機会はありますか?

ザキール氏:
私もそのような作品の大ファンでして、もちろんプレインズウォークできたら本当に素晴らしいなとは思いますが、本日はこのセットに焦点を当てており、このセットファンの皆さんに本当に喜んで楽しんでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。


以上、5月14日に開催された『MtG』×『FF』コラボ拡張セットのPRイベントの様子を、レポート形式でご紹介させていただいた。

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イベントのクロージングでは、ふたたびアコースティック楽団が登場。『ファイナルファンタジーV』の「ビッグブリッヂの死闘」と『ファイナルファンタジーIII』の「悠久の風」の2曲が演奏され、イベントが締めくくられた。

世界最古のTCGと、世界的なRPGシリーズが交差する夢のコラボセット、『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』は6月13日(金)より全国にて正式発売される予定だ。今後も様々な新カードやイベントなどの取り組みが発表されていくことが予想されるので、興味のある方はぜひ続報をチェックしつつ、発売日を楽しみにしていただきたい。

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ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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