日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit the 13th」が、京都市勧業館みやこめっせにて7月18日から20日まで開催中だ。同イベントでは、国内・国外を問わずさまざまなインディーゲームが集まり、新作ゲームの体験のほか、開発者たちによるステージや物販などが楽しめるようになっている。
さて今回は、そんなBitSummitに出展中の見下ろし型ローグライト戦車シューティングゲーム『多砲塔神教』を紹介しよう。
……ああ、言いたいことはわかる。タイトル名からくる宗教じみたワードチョイスに、少なからずヤバい匂いを感じたんだろ?
だが待ってほしい、こいつはその、多砲塔戦車で攻撃をぶちかましまくってヒャッハーしようぜ! ってノリのゲームなんだ。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でいう、「V8(エンジン)を讃えよ!」みたいな、頭のネジが2~3本ブッ飛んだノリで。……たぶんきっとそう。
だから『多砲塔神教』というタイトル名が意味するのは、「多砲塔戦車を讃えよ!」ってところかな。
まあ、とりあえず見ていってくれよ。かわいい女の子も出てくるから。
※本作は早期アクセスの形ですでに販売が行われていますが、今回はBitsummitに出展中の体験版と同等の内容をプレイしてレビューを執筆しています
ありったけのソケットに好きな砲塔を積みまくり、目指せ最強のバカ戦車。ソ連学園戦車部は同志の参加を待っている!
あらためて書くと『多砲塔神教』は、見下ろし型のローグライト戦車シューティングゲームだ。本作におけるプレイヤーのポジションは、ソ連学園戦車部の指導教師。プレイヤーは戦車部の学生を率いて多様な模擬戦車戦に参加し、チームの勝利を目指していくことになる。
戦車で部活というと『ガールズ&パンツァー』が思い浮かぶが、本作も影響を受けているような気配が漂っている。登場人物はみんな女の子で、Steamストアページのユーザーレビューにも「ガルパンに登場する戦車はほぼ登場する」などと書かれていたし、きっと開発者も意識しているはず。
ちなみにぜんぜん関係ないけど、ガルパンは8月1日より見放題配信が開始されるので、この機会に併せてチェックしてくれると嬉しい。
さて、ゲームを開始すると、戦車を操作するチュートリアルからスタート。
学校机の上にノートや鉛筆と一緒に戦車が置かれており、ミニチュア感があってカワイイね。
操作方法は、WASDキーで前進後退と左右旋回という、いまどき珍しいリモコン操作。個人的には初代PS時代の『バイオハザード』を彷彿とさせられる。現代の基準で考えると、お世辞にも直感的とは言えないものの、戦車の操縦であるということを踏まえると、コレはコレで味がある。
一方、マウスでは砲塔を操作し、360度に回転させたり、照準や砲撃も行ったりする。
軽くチュートリアルを終えたら、いよいよ本編開始だ。
自分が乗る戦車を選択して、いざゲームスタート!
上の画像を見てもらうと分かりやすいが、本作には進行ルートや取得アイテムを随時選択しながら進めていく、いわゆるローグライク要素が含まれている。
領地を守る防衛ミッションや、敵の襲撃から逃げ延びる生存ミッションなどの戦闘をこなし、戦車の機体強化や乗員(スキル)の強化、随行する友軍機の補充などを行いながら、クリアへの歩を進めていくことになる。
なるほど、なるほど。
こういったローグライク要素は、昨今のゲームで定番のシステムといえるだろう。
とはいえ、「ローグライト+戦車」というのは、冷静に考えると奇妙な組み合わせである。
なにしろローグライトはファンタジーじみた、突き抜けたインフレ要素も大きな醍醐味である。そして一方の戦車はファンタジーとは真逆の、リアル色が濃い、言ってしまえば地味な見た目だ。
この奇妙な組み合わせを、本作はどう処理しているのだろう?
その答えはこうだ。
このゲームでは副砲にも主砲にも、あらゆる砲塔を取り付けることができる!
本作は道中で手に入れた砲塔を、取り付けスロット数の許す限り、いくらでも、どこにでも、好きなだけ装備できるのだぁーっ!!

『World of Tanks』みたいなリアリティ重視のビジュアルのくせして、やることは『メタルマックス』みたいな魔改造戦車づくりなのかよ! イカす!
というわけで本作は、一見硬派なビジュアルをしつつも、男の子のロマンを詰め込んだ最強のバカ戦車で相手を蒸発させるという、なんともゲームらしいアレンジの効いた戦車ゲーになっている。
そのことを踏まえると『多砲塔神教』というタイトルは、とてもしっくりくる。
「多砲塔戦車を讃えよ!」と言いたくなる筆者の気持ち、分かってもらえるだろうか。
そんな感じで徐々にシステムを理解しながらプレイを繰り返し、砲塔を積みまくりキングギドラのようになった自慢の戦車をビルドできたのだが、最終面がどうしても難しい! 限られたプレイ時間ではクリアできず、悔しい思いをして体験プレイを終えることになった。
体験プレイを振り返ると、本作にはいくつかの問題──自機の向いている方向が分かりにくい、味方と敵の戦車が判別しにくい、フルスクリーンモードでも画面外にカーソルが飛んでいく(これには困らされた)──が散見される。
だが、独特な操作に慣れてさえしまえば、ゲームバランスもテンポも悪くない。むしろ、開発者の魂の具合(思い切りの良さ)を感じられる、良い意味でBitSummit出展タイトルとしてふさわしいゲームだと思えた。
『多砲塔神教』は現在、Bitsummitに出展中&Steamで早期アクセス販売中だ。気になった方は会場に足を運んだり、Steamで配信中の体験版をプレイしてみるなどして、本作の独特な世界観を味わってみてはいかがだろうか。