ピラティスというものに通い始めました。
年がら年中ダイエット気分のわたしですが、二冊目の写真集の撮影に向けてボディメイクを始めようと思ったのが決め手で、週に一回。多ければ週に三回、一時間ほど体を動かします。
2023年の秋に出版した『ほのかにあまい』の時は、実はパーソナルジムに通っていたのですが、最寄り駅ではなく、仕事でよく使う駅から徒歩十分くらいの場所を選んだのが良くなかったのか、はたまた覚悟が足りなかったのか、次第に足が向かなくなりました。
ジムの皆さんに「写真集が出来たらプレゼントしますね」と伝えていたのに、義理を欠いた行動をしてしまったなぁと、今でもたまに反省します。
担当してくれることが多かったトレーナーさんは優しく丁寧だったし、何より声がとても魅力的でした。
『NARUTO』の“うちはサスケ”の声に激似で、ジムに通って少し経った頃、トレーニングの合間に「声がサスケに似てますね」と伝えたら、嬉しそうな顔をして「初めて言われました」と九州訛りのサスケボイスで返されました。
あんなにサスケに似た声を持っているのに『NARUTO』をよく知らないと言うのを聞いて、なんて勿体無い!持ちネタが増えるのに!という言葉が喉元まで出かかりました。
というか、よく知らないならなんでそんな嬉しそうな顔をしたんだ。
っく…ジムトレーナーも結局は接客業ということか…。
その日、心がとても強かったわたしは、トレーナーさんに向かって「『ナルト、俺はお前とも闘いたい』って言ってもらっていいですか」とお願いしたんですが、ブルガリアンスクワットのお手本を見せられたことによって有耶無耶になりました。

今思い返すと、ボケなのか本気なのかよくわからない言葉ですね。
トレーナーさんも、どう返せばいいか困ったことでしょう。
そんなこんなで、ジムをすっぱりと諦め、新たにピラティスに挑戦しているわたしですが、これが結構楽しくて、通い始めて四ヶ月が経ちました。
先生が複数人いる教室なので、先生によってレッスンの雰囲気が違います。
いや、世界観が、に近いかもしれません。
あまり行かない曜日と時間帯に受講すると、初めましての先生でした。
「今は、月が欠けていくタイミングです。心が落ち込むことも…」と、わたしにとっては結構スピリチュアルなトーク運びでレッスンが開始して、少々面食らったり。
かと思えば「骨盤は後傾インプリントピラティスVで息を吐きながら膝を伸ばして息を吸い戻ってくる、十回行きましょう」と一息で畳み掛けてきて、そのスピード感に置いて行かれそうになったり。
今日はいけるかも、そんな気持ちで上級者向けのレッスンを受けてみれば「数を数えるのもあなた達の仕事、わたしのレッスンでは甘えないで」なんて言われて、部活動でキャプテンに叱られたような気持ちになることも。
マシンを使ったピラティスが新鮮で楽しいのもありますが、先生ごとに出るこの違いが何より面白いのです。
普段から、仕事で色んなことをしているせいなのか、単調だと何事もすぐに飽きてしまいます。
セリフの収録にレコーディングに生放送、ライブやイベントに加え、最近では事務作業もこなす。
そして、常に様々な場所に赴くのは、わたしの性格にはかなりありがたい。
ただその分疲れやすくもあって、休みの日は家から出ないんですけど…。
これが最近、SNSで話題になっている『体力がない』と言うことなんでしょうか。
ピラティスに通うことが体力づくりにも一役買ってくれるといいけれど、今のところ体力がついたなという実感はありません。
先月に一度だけ、午前中のランニングに挑戦してみたのですが、あまりの暑さに走り続けることができず、ほとんどウォーキングになってしまいました。
もっと涼しくなった来たら、再挑戦できるといいな。
涼しいといえば、ピラティスの先生たちの中で一番おしゃべり好きな明美先生(仮名)が、避暑地の湖付近で、数日間テント生活をしたと話していました。なんとお洒落でカッコいいことか。
明美先生はサバサバとしていて、レッスン前によく声をかけてくれるのは嬉しいですが、何故だかいつも、他のピラティススタジオに行くことを勧めてきます。
スタジオに通う契約を結んでから、初めてレッスンを受けたのが明美先生だったんですが「初回料金で色んなところに行ってみるといいよ」なんてことを、受付の人がいる前で言うもんだから、わたしが焦ってしまいました。
その後も会うたびに「他のところのピラティス、受けてみた?」と聞いてきます。
彼女は他の場所でも講師をしているようなので、あわよくばそこへも通って欲しいのかな…?なんて邪推をしてみたり。
もしかしてピラティスの先生って、スタジオによっては、レッスンに参加する生徒が多いほどお給料が上がる制度なんでしょうか。
先生が受け持つ他のスタジオがもしそうだとすると、勧めるのも納得です。
うーん。いいセンいってる気がするけど、どうだろうか。
意図の見えない言動って怖いなぁと思ったので、自分の身を振り返り、なるべく分かりやすいボケをかましていきたいなと思ったりした、ピラティス帰りの朝。
写真集の撮影は終わったけれど、ほどよく体を動かすのは楽しいので、もう少し通おうと思っています。

明美先生の発言の真意も知りたいですし、ね。
編集:川野優希