て、鉄血から10年!? ウソだろ
もう10年か……と刻の流れの速さに若干の哀しみを覚えながら見に行ったところ、勝手に言外のメッセージを感じ取ってなかなかジーンとさせられてしまいました。
どうも、事あるごとに編集部に「私、ガンダム好きなんですけど……」と伝え続けてきましたマシーナリーとも子です。その甲斐あって「お前ガンダム好き言うてたやろ、試写会行ってこいや」と言ってもらえました。見たか、これがカステラの法則だ。
そんなわけで今回は縁あって10月31日より劇場公開の『特別編集版 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント -小さな挑戦者の軌跡-』(以下、ウルズハント)および同時上映の『鉄血のオルフェンズ』10周年記念新作短編「幕間の楔」を試写会にて鑑賞しました。
前者はスマートフォンアプリ「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズG」(以下、鉄オルG)にて配信されていたスピンオフ作品の『ウルズハント』全12話を再編集し、新規カットを追加した特別編集版、後者がTVアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(以下、鉄血)の完全新作短編となっています。
しかしもう『鉄血』の放送から10年ですか。早いね。早すぎて怖いね。でも冷静に計算しなおしてみると確かに10年経ってるんだよな。

『鉄血』の思い出といえば、『ガンダムビルドファイターズ』ともどもプラモの「武器セット」をたくさん出してくれて現代に復活させてくれたのがうれしかったですね。消費者側は新作やるたびに「武器セット出してくれよ!」ってなるもんな。
『Vガンダム』と『Gガンダム』以降は武器セットって全然売ってくれなくなったけど(『SEED』とか『00』のとき欲しかったよな!)、『鉄血』はこまめに商品化してくれたし、劇中にもバルバトス中心に細かいバリエーションがいろいろ出てくるからそれを再現できるのが楽しかったんだよね~。
あとアトラちゃんがめちゃくちゃかわいかったですよね『鉄血』は。ガンダムの女性キャラでも3本の指に入るくらい好き。
正直この10年間で複数回見直したりとかはしてないんだけど、数年前に『SDガンダムGジェネレーション クロスレイズ』もやったし、最近も『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』をやったから復習はバッチリだぜ。行くぞおめえら

ようやく『ウルズハント』が見られてうれしいです
やはり今回の本命は『ウルズハント』でしょうか。
先にも書いた通り、スマホゲーム内で展開されていたこのスピンオフ作品。当時はそのゲームに触る余裕がなかったので結局触れられなかったんですよね。
プラモデルは発売されてたので、店頭で見かけては
「おっ、売ってるな。ガンダム・アスモデウスか……。かっこいいけど知らんからなあ……」とスルーしてしまう微妙な関係が続いていたんですよね。今回、特別編集版とはいえようやく触れることができるということで楽しみにしていました。

正直、「構成はかなり割り切っている!」と思いました。
とくに序盤〜中盤は最低限のキャラの相関だけ会話シーンが展開され、なるべくMSの戦闘シーンを見せるという感じで作られていたため、「ストーリーはわかるしバトルは見られるけど……ダイジェストすぎる!」と感じたことは事実です。
たぶん、そもそもアニメ外となるゲーム本編がメインで進行していたパートだったのかな? なんて想像してしまったり。とはいえこのへんは当時プレイしてないので完全な憶測になってしまいますが……。
ただ、それでも敵キャラが味方になる経緯や最低限の関係性の変化などは十分うかがえる作りになっていたので、終盤は「ガンダムかっこいいぜ」だけではなく、ちゃんとキャラクターの関係性でちょっとウルっとできたりしたので、そこは楽しかったですね。
あと、TVアニメ本編の要素の拾い方もうれしかったな。
『鉄血』って、作中の技術レベルに対して人類の宇宙進出がかなり進んでるほうのガンダムなので、「主人公の出身が金星」ってのは珍しくてよかったですね。ほかに金星が出てくるガンダムって『Gのレコンギスタ』くらいか……?

ほかにも、本編で出番が少なかった(そしてプラモも出なかった)スピナ・ロディやジルダがちょくちょく出てきたり、第一期のころの話なのでマクギリスがモンタークの姿でしっかり暗躍してたり、終盤のストーリー展開がカルタ亡き後のイシュー家がどうなったのか、というところから展開してたりと「おぉー『鉄血』ってそうだよな、まだまだこういうところ広げられたよなあ!」という着眼点が多くて楽しかったです。
あと、ハシュマル以外のモビルアーマーも複数出てくるし。そういう要素の利用の仕方という意味では、似たような立場の外伝作品である『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 月鋼』(以下、月鋼)とはまた別の視点で面白く描かれていたのではないでしょうか。
あと何気に好きなゲイレール・シャルフリヒターにも出番があってうれしかった。
いっぽう新作短編『幕間の楔』も10分ほどのお話ながらとてもいい内容。
第一期と第二期のあいだの話なのですが、その間のバルバトスの変化、三日月やオルガの鬱憤、そしてオルガの第二期の姿について「あぁ〜そこを軸にするんだ」とうれしくなってしまうような話でありつつ、そこを三日月とバルバトスとの対比にすることでいい感じに落とし込む、満足度の高い短編でした。ええやん!
『鉄血』はまだやれるのではないか 止まってねえんじゃねえか
見終わって感じたのは、このふたつの作品は「表明」なのではないかということ。
我らが鉄華団の団長、オルガ・イツカは言いました。
「止まるんじゃねえぞ」
と。
悲劇的なシーンにも関わらずネットミームになってしまったこのセリフですが、やはり『鉄血』を象徴するセリフではないでしょうか。
結局、いい結果を得るにはもがき続けるしかないわけですよ。
10周年にあたって『ウルズハント』を改めて届けようとしたのは、新作短編を作ったのは、まさに「俺は止まらねえからよ」という表明だったのではないでしょうか。
実際、『ウルズハント』を見ると……先述の通り、かなりダイジェストな内容だったにもかかわらず「「あれ? まだまだ『鉄血』って食えるところがたくさん残ってるなあ」と思えるんですよ。
72体の悪魔の名を冠するガンダム、各モビルスーツごとにおおまかに設定された「フレーム」の概念、広い宇宙と圏外圏という設定。厄祭戦とモビルアーマー、そしてセブンスターズ。

例えばよく言われる「厄祭戦の話をやってくれよ!」という話については、個人的にはちょっと違うんじゃないかというか、『機動戦士ガンダムSEED』(以下、ガンダムSEED)で「宇宙クジラ」の話をやってくれ! 的な「そこはしっかり見せないほうが華じゃない!?」という印象があるんですが、それこそ初代『機動戦士ガンダム』に対しての『機動戦士Ζガンダム』とか、『ガンダムSEED』に対しての『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』みたいな広げ方はまだまだできる余地がありそうな気はするんですよね。
過去作で言えば『機動戦士ガンダムF91』は当初、劇場版を踏まえたTVアニメをやる予定があったと言われています。ですがその願いは敵わず、結局シーブックとセシリーは、コスモバビロニアはあのあとどうなったのか曖昧なまま終わってしまいます。
ですが、その後、長谷川裕一氏によって『機動戦士クロスボーン・ガンダム』が描かれ、その話は断続的にいまでも綴られ、時代もめぐりザンスカール戦役を経てさらにその後の宇宙世紀も描かれ……となんと今に至るまで連綿と続いています。
そうした「成功例」があるんだから、あるいは『鉄血』にもそういう走り方はあるんじゃないか? なんて思ってしまう劇場体験でした。なんかほんと、見たくなったな。P.D.ガンダムの新作……。
あとそう、『ウルズハント』を劇場用に再編集するというのも可能性を感じたというか、こういう感じで埋もれてるガンダム作品って結構あると思うので「掘り出す契機になってくれたりしないかな〜」とも思いました。
例えばPSPで出た『機動戦士ガンダムAGE』内で流れるアニメがね、やたら作画良かったりしたんだよな……。あれも本当にゲーム中の要所要所でムービー的に流れるものだから、あれだけ繋げても物語としては成立しないかもしれないけど、埋もれさせるにはもったいないくらい見応えあったんだよな……。あれどっかでまた見せてくれませんかねえ。
あとセガサターン用ソフト『ギレンの野望機動戦士ガンダム ギレンの野望』やPS用ソフト『逆襲のシャア』、PS2用ソフト『機動戦士ガンダム』で流れるアニメとかさあ。
結構あるな! 埋もれてるゲーム内アニメ!
なんか集めてメディア化したりとか編集してYouTubeで流すとかさあ、いろいろできるんじゃないでしょうか。
©創通・サンライズ


 
              







 
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                         
                         
                         
                         
                        
 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                