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何にでもなれるMMORPG『逆水寒』で「物乞い」の生き様を見せつける。CBT最終日、記念の花火で、物乞い。恵んでくれた同志が現る

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「100の生き方」が用意されているというド級のMMORPG『逆水寒』

薬師や農家、演奏家に探偵など……多数の選択肢から自身の人生を選択できる本作のクローズドβテストを通じ、筆者は隠しクラス「物乞い」を目指してプレイを続行していた。

「よりにもよって、なんで物乞いなの?」と、疑問に思う人もいるかと思う。
それは、小林サッカー』の周星馳氏が主演の中国映画『チャウ・シンチーのキング・オブ・カンフー(原題:King of Beggars)』に登場する、“かっこいい物乞い”を観たことがきっかけだった。

端的に言うと「家がなくとも、天地が我が家。仲間は決して見捨てない」という信念をもち、やたらと武術に長けているという放浪者である。中国の伝説に語られる物乞いって、そんなにかっこいいの?と。最初は衝撃を受けた。

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『逆水寒』は古代中国が舞台になっており、しかも「物乞い」になれるので筆者はさっそくその道を進むために調査を進める。

「物乞い」スキルを獲得するだけであれば、ゲームをある程度やり込むだけで問題なかった。ただし、物乞いたちが野犬を追い払うために編み出したという棒術「天下犬無し」を習得するためには、物乞いたちを束ねる組織「丐幇(かいほう)に加入し、戦闘力をCBT時点で限界まで上げないといけないことがわかった。

しかも、物乞いの専用衣装であるボロ布を身に纏うためには、プレイヤーからゲーム内通貨を恵んで貰わなければならないことも判明する。

結果、筆者は朝も夜も「物乞い」を決行し続けた。そこで、奇跡的に親切なプレイヤーさんにお金を恵んでもらい、棒術を習得。その人と共に世界中を冒険し、さまざまなマルチプレイ対応型のコンテンツを遊ぶことができた。

※丐幇(かいほう)
中国の“武俠”小説に登場する組織、“門派”のひとつ。
物乞いたちが寄り集まり、互いに助け合う。また、犬を退けるために見出したという独特な棒術が言い伝えられている。『逆水寒』においては、「天地が家、物乞いはみな家族」という理念のもと行動している。また、「丐幇」に加入すると物乞いとはいえ勝手気ままに振舞って良いわけではなく、不祥事や詐欺、道外れの行為、略奪などが見られれば当然厳しく罰せられる。

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そして、ついに『逆水寒』のクローズドβテストが終了する時が訪れてしまう。
テスト版が終了する時、これまで育てたデータは全て消えてしまう定め。一緒に遊んだ皆とも、お別れの時期が訪れたのだ。

公式の発表によると、テスト版が終了する直前に主要な都市で花火大会が開催されるという。仲間たちと花火をみることを約束した。

……その最後の瞬間を迎える前に、筆者は最初に物乞いになるための条件を模索している最中に話しかけた会話機能AIが搭載されたNPCに会いに行ってみようと思った。振り返りの旅だ。

取材・文/TsushimaHiro
編集/実存

※この記事は『逆水寒』の魅力をもっと知ってもらいたいNetEase Gamesさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。

「物乞いはやめたほうがいい」と制止してきたAIに報告する

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筆者が「物乞い」になるための道のりを覚えている方は、この玉露姉さんのことも覚えていることだろう。

最初は、解放条件すら明かされていない状態でほぼノーヒントのまま隠しクラス「物乞い」になる方法を模索していた。そこで、筆者は本作に登場する「テキストチャットにてフリートークが可能なNPC」に「物乞い」のなりかたを聞いてみたことがある。

しかし、この世界のNPCは「物乞いになるべきじゃない」「お金ないの?」「仕事がないなら役所に行って生活保護を受けるべきだ」といった、至極まっとうな返事をしてきた。まともすぎて、自ら「物乞い」になりたいという筆者の要望によって困惑させてしまうほどだ。

この玉露姉さんは、まさしく「物乞いになるべきじゃないのは間違いありません」と止めてきた人である。

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本作のNPCは一部会話可能であることは前述したが、実は会話した記録もしっかり残される仕組みになっている。玉露姉さんは、過去に筆者に対して「物乞いになるべきではない」と言ったことを覚えているようだ。

サービスが終わる前に、会いに行ってみよう。

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物乞い:
あれから色々あって、物乞いになることができました。

玉露姉さん:
物乞いになったということは、何か事情があったのですか?

以前、素っ頓狂な質問をしてしまったにも関わらず心配する様子を見せる玉露姉さん。町のなかでも屈指の才女で“他人を皮肉るのが好き”というプロフィールであるのに、めちゃくちゃ優しい。

物乞い:
「丐幇」という組織に組してます。貧しき者を助ける組織なんです。

玉露姉さん:
「丐幇」は本当にいいですね。彼らの侠気はみんなに認めてもらえます。

物乞い:
ありがとう。そうあるべく、がんばります。

玉露姉さん:
必ずや、大成すると信じています。

どうやら、ただ「物乞い」になることと「丐幇」に加入することは扱いが大きく異なるようだ。ほかにもさまざまな住民に挨拶を行ったがやはり「丐幇」に加入したことに関しては制止されるようなことはなかった。

一言に「物乞い」といっても色々とある、ということだろう。

『逆水寒』の絶景を振り返る

『逆水寒』で冒険できるフィールドは、古代中国に実在していたと言われる場所をモチーフにしているところが点在する。その中でも印象的だったのは、雲海広がる岩山地帯「三清山(さんせいざん)」だ。世界遺産にも登録されているこの山々は、今でも中国に実在している。

また、この山は『逆水寒』主人公が育った故郷的な存在でもあるため、ストーリーでも度々登場する。主人公は山の三清山の仙人的な方に拾われ、武術を教わる。心臓が弱かったために兄弟子たちより遅れて武術を習うのだが、みんなにかわいがってもらっていたため想い出深い場所だ。

また、絶景といえば「三清山」から降りた麓にある「桃渓村(とうけいむら)」も外せない。美しい桜、夕方には大河に沈む夕陽を一望できる。

ここでは下町の茶屋でのんびりと過ごしたり、川で釣りに勤しむこともできる。……かと思えば、離れには暴れ山猿が跋扈しているため、時折退治しにいくのも良いだろう。

3つ目の絶景ポイント、というか見所は北宋時代の都「汴京(べんけい)」に広がる風景だ。
12世紀ごろに画家の描いた「清明上河図(せいめいじょうがず)」は当時の賑わっていた風景を書き記したもので、本作にも登場。当時の町並みをそのまま歩けてしまうという豪華ぶり。

イニシエの絵巻からこのフィールドを再現してしまったというわけだ。古代中国を表現するための気合いがすごい。日本でいうところの平安時代を歩き回れる、というテイストだろうか。

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実は、この町ではユーザー同士の結婚式をパレードとして開催することもできる。

筆者はたまたま挙式に参列…というか通りすがることができたので、「物乞い」した。
多くの人が「おめでとう」とお祝いする中、ひとりだけボロを着て物乞いしている姿をみて、新郎新婦は「なんかいまボロい人いたんだけどw」「物乞いしてなかった!?」と驚いていた。

すれ違いざまに物乞いされて爆笑する夫婦。『逆水寒』における物乞いは、人を笑顔にするのかもしれない。

なにはともあれ、すべての物語はここからはじまり、クローズドβテストはここで終わる。

最後の花火大会

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『逆水寒』の公式Xより、クローズドβテスト最終日の夜に花火大会が開催されると告知された。『逆水寒』のユーザーたちは「どこで花火が打ち上げられるんだろう」と推測しつつも、自然と汴京の“虹橋”のもとへと集まっていた。

ギルドのメンバー、友人同士の集まりなど、各々が花火がみやすそうな場所に陣取っている。(花見みたいだ)

やがて、最後の花火が打ち上げられる。
ついさっきまでチャットで盛り上がっていたのだが、みんな撮影に夢中になり無言になるという怪現象が発生した。

この時、物乞いは考えていた。
この花火はクローズドβテストで最後にユーザーが集まる瞬間となるはずだ。
ここでできることとは、なんだろうか。私にできることは何だ……。と。

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「物乞い」である。

最後の最後まで物乞いッ……!
筆者は物乞いを突き詰めて本作をプレイしたため、最後のお祭りでやれることといったら、もうこれしかない。

異質な光景だが、そこに「1」のゲーム内通貨を恵んでくれた人が現れた。彼はボロ布を着ている。自分と同じボロ布だ。

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そう、彼もまた、物乞いである。
自分以外にも物乞いを志すものがいたのだ。
それに気づけただけでも、花火大会で物乞いをしたかいがあった。

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最後は、クローズドβテスト期間中にこのゲームで知り合えた方々と一緒に記念撮影。それぞれのプレイヤーが想い出を語り合う。ユーザーたちは、ワールドチャット(サーバーに向けた全体チャット)で「正式版でもよろしくね!」と声をかけあっていた。

過酷な修行、世界の探索、レイド、対戦、ギルドバトル……。
短い時間ではあったが、物乞いも多くの人々と共にさまざまなコンテンツに挑めて楽しい想い出ができた。一緒に遊んでくれた方々には、感謝の気持ちでいっぱいだ。

物乞いがデータの海へと還る時が訪れる

そして花火大会も終わり、それぞれのプレイヤーが最後の瞬間を過ごす時が訪れた。筆者は本作のスタート地点である「三清山(さんせいざん)」へ戻り、ひとり瞑想していた。

もし、最初に「物乞い」を選んでなかったら、もっと違う人生になっていたかもしれない。それが、ざっと見渡しても100個もあるというのだから驚きだ。

正式サービス版が開始されたら、このゲームをプレイする人はどのような身分を選ぶのだろうか。そう考えていたら、誰かが同じ場所へと訪れた。

通りすがりのプレイヤーさんである。最後の瞬間をひとりで過ごそうとしていても、場所がかぶってしまうことはある。オンラインゲームだもの。せっかくなので、最後にお話をしてみることに。

こちらの方は「綺麗な景色を見るのが好き」ということで、ストーリーやクエストなどはほぼガン無視してひたすら絶景巡りを楽しんでいたという。わかるなぁ~……と同意しつつ、自分も物乞いを極めるためにフィールドを探索しまくっていたので、話は盛り上がった。

確かに、多くの生き方が用意されているとはいえ、必ずしも身分を選択する必要はない。ひたすら古代中国の美麗な風景を眺めるのもまた、『逆水寒』の遊び方のひとつなのだろう。

ぶらりと出会ったが、こちらの人は「またどこかでお会い出来たら」と言ってくれた。
イチゴイチエ……また会えるかどうかはわからないが、この人のおかげで最後にすてきな気づきを得られた。

こうして、クローズドβテストにおける物乞いの旅は幕をおろす。
正式版ではどんなストーリーが紡がれるのだろうか。きっとさまざまな人たちが多数の生き方を見いだして、この江湖(こうこ)で生活していくのだろう。

願わくば、純粋に『逆水寒』の世界を楽しみ、自分ならではの江湖を見出してくれたら幸いだ。未来の『逆水寒』へと想いを馳せながら、物乞いはゆっくりとデータの海へと還っていった。

なお、『逆水寒』は11月7日にPC(Steam、Windows)ならびにモバイル(Android、iOS)に向けて配信される予定だ。基本プレイは無料となっている。

編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚えてゲームと共に育った生粋のゲーマー。 国内外問わず、キャラメイクしたりシナリオが分岐するTRPGのようなゲームが好き。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳に参加し、『バルダーズ・ゲート3』が日本語化される前にひとりで全文翻訳してクリアするほどRPGが好き。 『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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