キャラ萌えオタク喜べ!どの幹部も濃すぎるほどに濃い
各ルートでは、メインに据えられた濃ゆ〜いキャラの幹部たちとの交流が密になっていきます。ルートによって起こる事件も変わりますが、それを解決するために各幹部と協力(?)し、事件解決のためにともに奔走することとなります。
まず、本作では少なくともこのルートが終わるまでは「君(幹部)は死なない」のが助かるポイントです。
各幹部とそのルートの概要をザッと見ていきましょう。
法務省ルート/推理アドベンチャー:犬神 軋(いぬがみきしる)
胡散臭くて危険なジャンキー。だが、推理力は高そう。なぜか「探偵」と身分を誤魔化している主人公が、いちばん探偵っぽく振舞うルート。因習一族ミステリーを何とか解決に導きましょう。
ゲームとしては捜査パートで証拠を集め、会議パートで集めた情報を整理しつつ推理を披露する形になります。


胡散臭さ筆頭に思える犬神氏ですが、最初は煙に巻くような態度だったのに、徐々に主人公を信頼していく素振りにキュンとしちゃう(チョロい)。
付き合いが長くなるにつれて、どんどん好感度が上がっていきます。このまま主人公と良いバディを組んでくれませんかね?ふたりが色んな事件を解決するスピンオフ「犬神&下辺の探偵事件簿」とかどうですか?
保健省ルート/極限脱出アドベンチャー:丑寅 幽玄(うしとらゆうげん)
彼は医者であり他人を思いやる心を持つ、熱い男。しかしなんだか目がガンギマっています。大丈夫なのか?話せば分かってくれそうな理知的な面も見せるため、「こんな奴が殺人を……?」と疑問を抱くことになるでしょう。
本ルートではなんと、突然のデスゲームに巻き込まれます。なんで?

文部省ルート/恋愛アドベンチャー(?):黒四館 仄(こくしかんほのか)
彼女は思考が読めないのに恋愛脳という、超ハンドリングが難しい女の子。本ルートでは恋愛ゲームをプレイしつつ仄というサイコパス乙女のご機嫌を伺い続けるという、至難の業なゲーム性が特徴です。

主人公は彼女の奸計に乗せられて、恋愛ゲームシチュエーションに放り込まれます。そして正直なところ、攻略対象がみんな魅力的。
恋愛アドベンチャーなので、もちろんワックワクでドッキドキの告白タイムもあります。
「キミが好きだ」──命がけでイケメンを演じる主人公。しかし、お察しの通り事態はみるみるうちに泥沼化していきます。
困惑度でいえば、このルートがぶっちぎり一位だと思います。最後まで「わたしはなにを……???」という気持ちでいっぱい。でもこの不穏さしかない恋愛アドベンチャー、クセになるんです。
警備省ルート/ステルスアクションホラー:伏蝶 まんじ(ふしちょう-)
このビジュのいいお姉さんこそ、伏蝶 まんじ。「異教徒狩りの女王」の二つ名を持つ、物理で全てを解決する暴力キャラです。とんでもないな?
今回は3Dマップで殺人鬼に追いかけられるホラーゲーム。ギミックを解きながら頑張って逃げましょう。


筆者は個人的に、このまんじ姐さんが刺さりまくり。
彼女の過去にも迫っていくと、「本当にコイツが容疑者なの?!」の気持ちに。なお、この気持ちは全ルートで抱くことになります。何回手のひらクルクルさせたらいいんだ。手首がねじ切れるぞ。
本作は全体的に難易度はやさしめ。物語を紐解いていく軽快さを大切にしているように感じました。
法務省ルートの推理アドベンチャーは「ダンロンの学級裁判中に出てきたミニゲームが苦手で……」という方でも大丈夫な、推理中のミニゲームはない仕様。落ち着いて情報を整理し、証拠を突きつけていけばスムーズに進みます。
警備省ルートのみややアクション強めではありますが、あまりアクションが得意じゃなくてもクリアできます。
各ルートの謎を解くにあたっても、集めた情報を整理する段階が丁寧に提示されるので分かりやすかったです。
ほら、たまにあるじゃないですか……。推理モノで、
主人公「そうか……わかったぞ!!」
プレイヤー「エッ(わかってない)」
という、主人公に置いてけぼりにされる瞬間。己がポンコツなだけ?
小説や漫画なら読み続けていればいいんですが、ゲームの場合こういう瞬間が訪れると「次はどうしたらいいんだ?」となるんですよね……。
その点、『終天教団』では主人公とプレイヤーの推理レベル差をあまり感じません。大体プレイヤーが理解できたタイミングで主人公もアクションしてくれるので、「わかった(わからん)」がほぼないのがありがたい。
また、幹部を捜査するという建前上、その幹部と深く関わっていくことになるので自然と彼らの深堀りになるのがすごくいい!
キャラの性格的な部分や、過去に教祖とどう関わっていたかなどのプライベート面に介入していきつつ、同時に教祖や世界の謎などがじわじわ明かされていく緊張感も楽しい。
会話を繰り広げていると、「えっちょっと待って?今すごいことポロリしたじゃん」という瞬間がちょくちょくあります。(情緒を振り回されるのはともかく)物語の考察が捗る捗る。
物語の吸引力がヤバすぎてテキスト送り連打しちゃう
お察しのとおり、本作は5ルート分のボリュームがすごい。クリアに40時間以上かかったのですが。ゲームがほどよい難易度なのもあり、自分の推理力のヘボさとか、アクション下手さに足を引っ張られることがほぼなかったのが嬉しい所でした。
ヒキが上手くてスピード感もあり、とにかく先が気になりすぎて、ルートからルートへガンガン突っ走るしかない。これも『ダンロン』の時と似てる気がします。
ルートごとの謎はもちろん、世界の根幹に関わる謎も徐々に集まって、その推測の答え合わせをしたすぎて、文字送りボタンを連打してしまう。挟まれるスチールや専用カットも多いリッチな仕様なので、スクショを撮る手が止まりません。
幹部メンツが濃すぎるのですが、もちろん主人公・下辺零にもバッチリ愛着がわきます。『ダンロン』でもそうだったなぁ……。
秀逸な物語だと「ゲームよりアニメや映画で見たほうが早いんじゃ?」と思われる方もいるかもしれません。でもやっぱりゲームならではの体験は何にも代え難い。没入できるシステムだったり、盛り上がるイベント演出だったり、プレイヤーが介入できる部分(選択肢やボタンを押すタイミング)だったり。それを堪能できるのはゲームだけ!
『終天教団』はその「ゲームならでは」の部分を色濃く楽しめる作品でした。テキスト系ゲームが好きなので、色んなテキスト系ゲームで遊べて大満足。

学園内を濃ゆく描く(だからこそ続編や「絶対絶望少女」などのシリーズ外伝作品、外伝小説などが生まれた)『ダンロン』と対照的に、『終天教団』では本作の中で教団外の世界のことも教えてくれます。
教祖とは。
教団とは。
世界の終焉とは。
……当初からの謎が解明されていく満足感たるや!
やっぱりアドベンチャーゲームって、いいよな!!
ダンロンの時は脳が焼けて炭化してしまった筆者ですが、『終天教団』はクリア後、不意に思い出しては胸が温かくなります。かつての激しく燃えるキャラ愛もいいけど、年を経てからの穏やかで満たされるキャラ愛もいいものですね。
こんな『終天教団』、ダンロン好きの皆様にもぜひプレイしていただきたく思います。似ている部分にニッコリしつつ、違う部分に驚きつつ楽しめるはず。
本作のNintendo Switch版は12月4日まで10%オフのセール中。さらに、11月29日よりSteamにて『ダンガンロンパ』とのバンドルも発売され、同時に11月29日12:00 ~12月5日23:59までSteam版においても10%オフセールを実施するとのこと。
ゲームが1月1日から始まる物語なので、来年の1月1日に向けて遊んでみるのもいいかもしれません。クリアする頃にはきっと、「ハッピー・ニューエンド!」と叫びたくなるでしょう。













