えっ?デッキビルドをするのは武器だけじゃなくて、バフも!? バフだけで構成された第三のデッキ「ブレス」が新しい
そして本作のことを語る上で、決して外すことが出来ないのがブレス(祝福)というシステムだ。
よくあるローグライト作品の特徴の一つとして、デッキビルドという要素がある。しかし、それらは主に戦闘中に手札となるカードをデッキへと組み込んでいくのが、一般的なイメージではないだろうか?
先ほど説明させていただいた通り、本作の攻撃手段(デッキ)はコンパクトにまとまっているため、スキルの方にはデッキビルドとしての要素があまり強くない。
じゃあ本作のローグライト要素って一体どこなんだ……? という疑問に対する回答こそが、「ブレス」という要素であると筆者は考える。一言でいえば、ブレスとはバフのみで構築されたデッキのことなのだ。

本来、ブレスは一ターンに一枚しか使用することが出来ないのだが、ブレスの中にはリドロー(再びブレスをドローする)という効果を持つものが存在している。
つまり、リドローの効果を持つブレスを中心にデッキを構築することで、戦闘が始まる前にバフをてんこ盛りにすることが出来る。
筋肉とバフだけは決して人々を裏切らないのだ。
これはあくまでも一例だが、ブレスを上手く扱うことでいい意味で“悪さ”をすることが出来るのが個人的には面白いポイントだと感じた。
もちろん、このブレスも「ただ連打すればよい」というものではない。一度の戦闘中に使えるブレスはそれぞれ1回のみとなっており、効果も使用したターン限定のものが多い。そのため、長期戦になるとブレスを使い切ってしまうこともある。
ひたすらドローを重ねて短期決戦に持ち込むのか、敵との戦いに対応するためにある程度温存するのか。こういった駆け引きも存在しているのだ。
また、本作にはプレイアブルキャラクターが三人ほど実装されているのだが、キャラクターごとにブレスの内容も異なっている。各キャラクターの長所を伸ばしつつ、ある種の“味変“を楽しめる要素ともなっているのが、ブレスというシステムの面白いところでもある。
バフ!デバフ!コンボ!好みの戦闘スタイルのエージェントと共に、世界の均衡を脅かす危険人物を粛清する任務へと挑め!!
先ほど作品の紹介をした際、『ANTHEM#9』とは本作に登場する秘密結社の名前であり、主人公たちはそこに属するエージェントであるとお伝えした。
彼女らは「均衡と調和による世界の安定的存続」を理想に掲げており、世界の均衡を脅かす危険人物を粛清する任務に挑む。というのが、本作における世界観の設定となっている。
ここからは、そんな個性的なエージェントたちについてお伝えしていこうと思う。
まずは本作の主人公となるエージェント、ルービット(CV.貫井柚佳)だ。
短剣の扱いに長けており、毒を用いた狡猾な戦闘スタイルが彼女の特徴となっている。
ビジュよし!スキルよし!扱いやすさよし!と、まさに本作の入門にピッタリなキャラクターに仕上がっているのは、流石の主人公と言ったところだろう。
その特徴の通り、彼女が使用するスキルは毒を相手に付与するものが中心だ。
本作に登場する毒は、他の作品と比べると少々個性的な性能となっている。本作はプレイヤーの攻撃によって相手に毒をどんどん蓄積させていくことが可能で、毒の効果を持つスキルで殴れば殴るほどに相手に与える毒のダメージを上昇させていくことが出来る。
毒はターンの最後に相手にダメージを与え、その際に与えたダメージの半分が現在蓄積されている数値から減少する。しかし、毎ターン執拗に毒を付与し続けていくことで、気が付けば特大コンボを決めた時のダメージよりも、蓄積した毒によるダメージの方がはるかに膨れ上がっていた! ということもありえる。
想定していなかったリーサルに偶然にも届いた時は、毒ダメージのあまりの強さに思わず笑みがこぼれてしまった。
先ほども少しばかり触れたのだが、ブレスには各エージェント専用のものが用意されている。
ルービット専用のブレスには毒の蓄積値を二倍にするものや、ターン終了時の毒の減少を1ターンだけ防いでくれるものなど、彼女の狡猾な戦闘スタイルを後押しする性能のものが用意されている。
そしてエージェントには固有に用意された“APアクション”と呼ばれるアビリティがある。APアクションはどれも強力な効果を持っているが、使用するためには毎ターン回復するAPを支払う必要がある。
ルービットのAPアクションは「ジェムトレード」。
APを消費することで手元にあるジェムの色を変化させることが出来るため、配られたジェムとスキルが噛み合わなかった際のリカバリー手段として非常に強力だ。
続いて紹介するのは本作の黒一点となるエージェント、ファニー(CV.高塚智人)だ。
銃を用いた派手で大胆な戦闘スタイルが彼の特徴となっている。
とにかくコンボを沢山繋げたい!! そんなあなたはきっと彼のことを気に入ることだろう。
彼の魅力を語る前に、まず彼固有の特殊ジェムがあることを説明させてほしい。
この特殊ジェム「ダブルジェム」といい、一つのジェムで二つ分の役割を果たすジェムが登場する。つまり、他のキャラクターよりも多くジェムを獲得することが出来るのだ。
ダブルジェムの状態でスキルを発動させることで、特別な効果が発動するスキルもある。しかし、ダブルジェムの組み合わせはランダムで決まり排出されるため、そのままだと少々扱いが難しいという欠点もある。
その問題を解決してくれるのが、ファニー固有のAPアクションとなる「ジェムブレイク」の存在だ。
ダブルジェムに対して使用することで、シングルジェムへと分割することが出来るほか、「虹色の弾丸」と呼ばれるファニー専用のバフステータスを獲得することが出来る。
虹色の弾丸を蓄積することでダメージが上昇するスキルなども存在しており、ファニーを扱う際は現在のデッキ構成によってAPアクションを使い分けていくことがより重要視されるだろう。
ファニーのスキルには、条件を満たすことで複数回攻撃が発動するものや、相手のシールドを貫通してダメージを与えることが出来るスキルなど、銃による早撃ちや銃弾の貫通力を想起させるものが揃っている。
本作においてはコンボの数が増えること=攻撃倍率の上昇に繋がっているということもあり、ジェムさばきが綺麗に決まった瞬間には堪らなく脳汁が出るキャラクターとなっている。
ちなみにファニー固有のブレスにはこんな感じのものが揃っている。
APアクションで生み出すことが出来る虹色の弾丸は攻撃面で活躍するだけではなく、ブレスと組み合わせることで回復やサポートなどの様々な要素を補ってくれる。一見するとピーキーなキャラクターに見えてしまいそうなファニーではあるが、実は扱いやすい一面も持つ面白いキャラクターとなっている。
そして最後に紹介させていただくエージェントはベニ(CV.中村カンナ)だ。
彼女は少数部族の誇りを胸に戦う格闘家であり、自称「正義のヒーロー」を名乗っている。
ベニの魅力は何と言っても一撃必殺の破壊力ッ!!
バフを積み重ねて戦うのが好きな方には、是非とも遊んでみてほしいキャラクターとなっている。
余談ではあるが、筆者が三人の中で誰が一番好きかと問われれば、迷うことなくベニと答える。
やはりバフ……!! バフは全てを解決する……!!
彼女の特徴の一つとして、「闘気」という固有のバフステータスが用意されている。
闘気はスキルやブレスを用いることで付与することが可能で、現在ストックされている闘気の数だけスキルのダメージを上昇させることが出来る。ベニはバフを盛るまでの敷居が他のエージェントたちよりも低く設定されており、正義のヒーローという名に恥じることなく相手を真っ正面から粉砕することが出来る。
そして、なんと彼女の持つAPアクションも自分自身にバフを付与することが出来るものになっている。
彼女の持つAPアクションは「ジェムチャージ」と呼ばれ、チャージスロットに並んでいるアイコンに対応したジェムとAPを一つ消費することで、攻撃力、シールドの獲得、HPの回復といった効果を即時得ることが出来る。
また、チャージスロットに並んだアイコンが全て同じものだった場合は、なんとAP消費はなく一つのジェムを消費するだけですべてのバフを発動させることが可能だ。
ジェムチャージの効果はジェムとAPの残数が許す限りは何度も発動することが出来るので、ここぞというタイミングを見極めて一気に勝負を決めにいこう!
そしてここまで来たらお察しの通り、ブレスに至るまでバフに関わる要素が盛りだくさんのエージェントとなっている。
先ほど説明した闘気を付与するものや、チャージスロットに関わるものなどを活用してとにかくバフを山盛りにし、相手を一撃のもとにノックダウンする瞬間こそが、ベニをプレイしていて最も気持ちの良い瞬間だと言えるだろう。
ここまでに紹介させていただいた要素はあくまでも本作における一端でしかなく、各キャラクターごとに複数のビルドが楽しめる構成となっている。
本作はゲームの進行度に合わせて、少しずつ新しい要素が解禁されていく。そのため、ローグライトというジャンルに不慣れな方でも「どこから手を付けていいのか分からない!」と、混乱しにくく、非常に親切な設計だと感じる。
本作がこのような親切な作りとなっている背景には、作者によって込められたある思いがあるようだ。
実は本作の生みの親であるkoeda氏の話によると、ご自身が『Slay the Spire』をプレイした際の挫折こそが本作が産み出されたきっかけとなっているという。
ゲームを遊ぶこと自体は好きなのだが、ゲームのプレイ自体は特別得意な方ではなかったらしく、それならば自分でも気持ちよく遊べるローグライトを作ってやる! という熱い思いから、本作が世に産み落とされたとのこと。
筆者がそのことを知ったのは本作をプレイし終えてからだったのだが、なぜ本作がこんなにも直感的な遊びやすさと爽快感を備えたまま、ローグライトとしての奥深さをも内包しているのかが腑に落ちたのだった。
最後になるが、本作はローグライトに慣れ親しんだヘビーユーザーにも楽しんでいただけるという部分を紹介して、本稿を〆させていただこうと思う。
本作にはクリア後に解放される高難易度のエンドコンテンツも実装されており、そこでしか登場しないスキルやブレスなども含めると、本作のやり込み要素のボリュームは抜群! と言えるだろう。
本稿をきっかけに少しでも本作に興味を持っていただけたのならば、是非あなた自身の手で本作をプレイしていただければ幸いだ。
スタイリッシュにコンボを決めまくる爽快ジェムマッチローグライト『ANTHEM#9』は2月5日よりPC(Steam)向けに発売。秘密結社「ANTHEM#9」は、あなたが扉を叩くその日をいつでもお待ちしております。
















