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欧米で停滞していたARGが日本で大きく花開いた理由とは。「第四境界」の成功事例から学ぶ、体験型エンタメで成功するための秘訣

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ARGで成功するための秘訣

現代のARGにおける、成功の秘訣は3つある。ひとつは、遊びやすさにコストをかけるということだ。カツカツの状態で作ってしまうと、遊びやすさにお金がかけられなくなる。登場人物が全員救わなければいけない対象だと、何をすればいいのかわからなくなってしまう。そのため、プレイヤーの立場に立って何をすればいいのか教えてくれるナビゲーションキャラが重要となるのだ。また、ARGは断片化しやすいため、まとめサイトのようなものも大事である。

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オンライン常設型ARGがヒットした理由に、ゲーム実況を許可したところも影響している。これによって多くのゲーム実況者に取り上げてもらうことができ、見るだけのものから自分も参加したくなるような状況になっていったのである。

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さらに、マネタイズも重要だ。たとえば第四境界の『人の財布』は、ただの物販アイテムを作っているというわけではない。虚構と現実の間を手元にあるアイテムが繋いでいると感じる事が、物語上でも有効なポイントとなるのだ。

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ARGマネタイズの新航路としては、スパチャのようなものが考えられる。ファミコミュニティとARGは相性がいい。また、興行型も常に可能性がある。こちらはユーザーからお金をもらうタイミングがわかりやすく、その場にいたという証明にもなりやすい。さらに、パッケージゲームのARGにも可能性がある。たとえば『Alice & Smith』では、デジタルゲームをARGの入り口にしている。

さらに、サブスクリプションとARGの組み合わせも可能性が高い。海外では『Hunt A Killer』と呼ばれるサブスクのARGがあった。これは毎月事件の証拠品などが届いていくというコンテンツであったが、数年前に大手おもちゃメーカーに買収されてからはサブスクではなくパッケージになっている。

これはサブスクの課題でもあるが、毎月送られてくると、あるときから遊ばれなくなり積み上げられて解約されてしまう。解約率が高かった事に関しては、ひとつの工夫で改善出来る可能性もある。そのため、えぴくす氏はビジネスとしての可能性もあるという。

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第四境界の次のステップとしては、アメリカなどの海外進出だ。第四境界では、海外のARGコミュニティが実現できなかった日本らしいJARGのようなものを生み出してきた。そのため、海外に向けて逆輸出できる可能性があるとえぴくす氏は考えている。

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ARGエンジニアでもあるえぴくす氏は、自身から見た制作の未来として、ARG用のテクノロジーを自社のアセットとして積み上げていくことは重要であると語る。第四境界は、仮想のスマホをWeb上で操作できる仕組みを開発。また、YouTube Liveのコメントからキーワードを拾って進行する「RTAS」や、仮想のWebメールアプリ「D4-Mail」といったものを作っている。

これにより、YouTubeでコメントするだけでゲームが進んだり、自分だけのメールボックスに返信したメッセージに対して返事がきたりするといったことを実現しているのだ。

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まだ、第四境界では境界律システム「BPS」構想として、ARGを普及させるためにこうしたシステムを外部に提供することも検討している。最後にえぴくす氏は、ARGで大事なことはアイデアであると断言。しかし、やり方も増えているのでエンジニアの力も考えてほしいと語り、講演を締めくくった。

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SNSや実況動画の登場でARGはプロモーションとしても広くリーチできるようになってきた

続いて、有限会社エレメンツの石川淳一氏より、「ARGの使い方 ~ARGで何ができるか~」というテーマで講演が行われた。

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有限会社エレメンツの石川淳一氏

ARGはプロモーションからスタートしているが、始まりはスピルバーグ監督の『A.I.』の世界観を伝えるために作られた『The Beast』が最初だ。これにより、ARGのメインストリームがプロモーションになっていく。

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2004年にマイクロソフトのゲーム『Halo 2』のプロモーションで『I Love bees』がプロモーションARGとして登場。ここで、ARGがプロモーション手法として使えることが認知されるようになった。2005年にアウディ「A3」新型モデルのプロモーションで『The Art of the Heist』が登場する。こちらは、車の機能や特徴を深く印象づける内容となっていた。

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2007年~2008年にかけて行われたプロモーションARGの『Why So Serious?』は、映画『バットマン ビギンズ』と続編の『ダークナイト』の間を繋ぐために行われたものだった。2008年には、北京オリンピックのプロモーションARGで『The Lost Ring』が登場。こちらはマクドナルドがメインスポンサーに付いていながらも、商品名などは出さず、オリンピックの大義や精神をテーマにすることでブランドイメージを構築するのに使われている。

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プロモーションARGの長所は、没入感による参加者のエンゲージメント向上長期的なプロモーションがやりやすいところ。ブランドイメージやロイヤリティの深化にも使える。また、押しつけ型ではない口コミ中心による信憑性といった強みがある。

短所は、曖昧さのリスクと炎上・誤解の危険性があるところだ。また、高い制作・運営コストや難易度設定の難しさ、ターゲット層の限定とリーチの難しさ、効果想定がしにくいといったものがあげられる。

そうした中で、少し状況が変化してきたのがSNSや動画による拡散効果だ。ARGには「狭く・深く」といった特徴があるが、SNSや実況動画によってディープ層が好きなARGが拡散され、ライト層にもプロモーションの対象を知るきっかけになってきたのだ。そうした結果、プロモーションとしても広くリーチできる可能性が出てきたのである。

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プロモーション以外の目的でも採用されているARG

ARGがプロモーション以外に広がりにくかった理由のひとつは、マネタイズができないところが壁となっていたからだ。だが、第四境界が様々なスタイルのマネタイズに挑戦しているおかげで見通しがしやすくなってきた。

なかでもわかりやすいのが、パッケージ型だ。こちらはパッケージを購入して遊ぶもので、マネタイズとしてもわかりやすく、参加者も入り口がわかりやすいという特徴がある。しかし、リアリティを追求しすぎると原価コストが跳ね上がるほか、運営コストも発生してしまうというデメリットもある。

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サブスク型は、定期的に購入してもらえることからマネタイズが安定しやすいという特徴がある。しかし、長期的に安定して制作するための力量と在庫管理が必要になる。

書籍型は、昔からリアルな付録が付いたものが出ていた。それに加えて、ネットなど書籍外のメディアとリンクしやすくなってきた。書店ルートが使えるところがメリットではあるが、返本などのリスクもある。また、制作コストが高いため、一般の書籍と比べるとどうしても値段が高くなってしまいがちだ。

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トレーディングカードは、一般的なものと同じく成功すると何度でも購入してもらえるという強みがある。しかし、気軽に購入してもらうためには販路が必要となる。また、運営だけではなくカードの制作・流通のコストも膨大になりがちだ。そのため、カードのみデジタルタイプにするという切り口も考えられる。

ビデオゲーム単体でARGを名乗っている作品は少ないが、メタフィクション系まで含めるとそれなりにある。開発だけでもコストがかかるほか、外部サイトなどを使う場合はメンテナンスが途切れると遊べなくなる危険性もある。

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ビデオゲーム連動では、サブ要素やDLCなどにARGを仕込むというパターンがある。しかし、やりすぎてしまうと面倒だと思われる可能性がある。また、ビデオゲームとは別に、システムやサイトを維持するためのコストが発生してしまうのもデメリットだ。

商品付加型では、アパレルや飲み物など単体でも価値があるものにARGを入れ込むというものがある。値段が高くなければ、付加価値を付けて売り込むことができるのが特徴だ。既存の商品に、期間限定プロモーションARGを付けるようなケースは今後も出てきそうだ。

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観光・周遊では、謎解きなどで「周遊系」がおなじみだ。物語体験を入れることで、場所や歴史に対する思い入れを高めることができるというメリットがある。また、地方自治体や観光協会のニーズも高いが、乱立しがちになり、新たな形態が求められているところにARGの可能性があるという。さらに、時間を専有してしまうと観光の意味がないため、タイムパフォーマンスや満足度をどのように高めていくかも課題となっている。

有料イベントでは、謎解きやマーダーミステリーといった体験型イベントを開催する形式は受け入れられている。ARGよりもイベント時間が短いため、どのようにARGを入れるかが鍵となる。

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学術研究としてのARGも存在している。2003年に登場した「Uncle Roy All Around You」は、アート集団とノッティンガム大学が共同で制作したもので、ユビキタスコンピューティング都市でどのように機能するか研究するために作られたものである。

また、教育や医療、社会問題の解決などの目的で作られたシリアスゲームもある。たしかにARGの強い没入感とエンゲージメントはシリアスゲームにも向いてはいるが、ゲームだからといって誰でも夢中になって遊んでくれるわけではないということは知っておく必要がある。

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ARGの持つ3つの特徴

ARGの特徴は、何かがイメージ出来ればARGだけではなく他のものにも一部活かすことができるところだ。今回はその中の例として、リアルメディアによる日常侵食とトランスメディアストーリーテリング、挑戦による非日常的な偉業の3つが紹介された。

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リアルメディアによる日常侵食では、ゲームでは使われているとは思わないメディアやアイテムから、侵食される意外性が日常侵食感を生み出している。ここで重要になるのが、意外性と納得感が両立していることだ。

また、せっかくリアルメディアを活用するならば、機能をフルに活用させたほうがいい。注意しなければならないのは、中途半端に導入してしまうと全体のバランスを崩してしまう危険性があるところだ。

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ふたつ目のトランスメディアストーリーテリングは、現実のメディアやアイテムに物語を分散しておき、その断片を見つけて再構築するというARGでよく使われている手法だ。情報を入手する順番も人によってバラバラで、組み立て方も個人で異なる。ピースが足りないときは、どんな内容か想像するため、自分だけの体験感を生み出しやすいのが特徴だ。

ただし、ピースが多すぎるなどやり過ぎるとストレスになってしまう。あくまでも組み立てる快感を得られることが目的であることを、忘れないようにしなければならないのだ。

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3つ目の挑戦による非日常的な偉業は、日常の中で自分たちが達成できないような偉業を成し遂げることで得られる満足感だ。特に、仲間達とリアルな時間の中で達成したときの満足感とリアリティは大きく、これがリアルタイム進行型の大きな強みにもなっている部分である。

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こうしたARGの手法は飽きられる可能性もある。そのため、常に新たなメディアやツールを取り入れて進化してきているのだ。元々ARG自体が、インターネットが登場したことにより、時代の新しい物語手法として生まれたという経緯もある。

最後に石川氏は、ARGは新しい手法を生み出す可能性がある。そのため、日本のARGもまだまだ発展する余地があるのではないかと語り、今回の講演を締めくくった。

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ざっくりとではあるが、今回のセミナーの模様をレポートしてきた。ARGについては知っている人もいれば初めて聞く言葉という人もいたと思うが、サービスが増えていくことで今後はより身近なものとなっていくかもしれない。

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ライター
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。

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