累計販売本数60万本を突破し、いまだ破竹の勢いで広がり続ける魔法議論ミステリゲーム『魔法少女ノ魔女裁判』。
ファンから『まのさば』の愛称でも親しまれる本作が、7月31日、KADOKAWA スニーカー文庫より完全公式ノベライズ『魔法少女ノ魔女裁判』となって発売される。
発売を心待ちにしているファンも多い一方で、もしかするとすでに原作ゲームを遊んだ人の中には「小説版は新規向けでしょ?」と食指が動かない人もいるかもしれない。
かくいう筆者も、原作ゲームを何周も読み返し、さまざまな実況・配信も見漁ってきた【なれはて※】のひとりだ。すでに何度も見た物語をわざわざ小説で読み返す必要があるのかと、疑問に思う気持ちもあった。
でも、ちょっと待って! 本書はそんな「原作の熱心なファン」にも、ぜひ読んでほしい一冊になっているのだ。
※【なれはて】……クリア後も『まのさば』から抜け出せなくなり、実況・配信・考察・二次創作などを見てしまうファンの俗称。

というのも小説版は、(大筋こそ変わらないものの)細かな描写や一部の展開が小説用に「再構成」されている。そして原作にはなかった初公開情報にくわえ、ここには書けない超重要なシーンが大幅加筆されているなど、言うなれば“公式からの新たな供給”の数々が含まれているのだ。
実際、原作を担当したブランドAcaciaも本書に以下のようなコメントを寄せている。
一度ゲームでプレイされた物語の奥にも、まだ細かな言葉によってしか見えない感情が沈んでいます。魔法少女ノ魔女裁判は、小説という新たなかたちで、少女の深層をお届けします。
(『魔法少女ノ魔女裁判』書籍紹介ページより引用)
本書は、新規読者にとっては手軽に『まのさば』の世界を楽しめる“入り口”になると同時に、既にゲームを遊んだプレイヤーにとっては“新たな供給”として一読の価値がある、とても魅力的な作品となっているのだ。
本稿では、ひと足先に小説版を読んだ筆者が、いち『まのさば』ファンの目線から、作品の見どころを紹介していきたい。極力ネタバレはしないよう努めるが、「小説に収録された(新規イラストを始めとする)新要素をすべて初見で堪能したい」という方は、まず小説版『まのさば』を読んでから、本稿へと戻ってきてほしい。
※この記事は『魔法少女ノ魔女裁判』をもっと知ってもらいたいKADOKAWAさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
まずは原作ゲーム『魔法少女ノ魔女裁判』をおさらい。“魅力的なビジュアル”と“あまりにも良すぎるシナリオ”が織りなす傑作ミステリーADV
小説としての本作の魅力をお伝えする前に、まだ『魔法少女ノ魔女裁判』を知らない人に向けて、本作の原作であるゲームについて簡単に紹介しておこう。
『魔法少女ノ魔女裁判』は、閉ざされた牢屋敷を舞台に、「自分たちのなかにいる“魔女”」を暴きたてるべく、13人の少女たちが命を懸けて【魔女裁判】を繰り広げる、魔法議論ミステリーゲームだ。
上記のPVを見ていただいても分かるとおり、『魔法少女ノ魔女裁判』の大きな魅力が、そのビジュアルだ。こんなに華やかで儚げな少女たちが、自らと仲間の生死を懸けて謎を解いていくというストーリーとのギャップに、心を打たれたプレイヤーは決して少なくないだろう。
それを踏まえて、とりあえずこの小説版のイラストを見て欲しい。
牢屋敷に閉じ込められた13人の少女たち。どれもファンにはたまらない新規イラストだ。
最高だ……。
実は、原作ゲームのなかで少女たちの全身立ち絵を見れる機会は、それほど多くない。新規イラストとして少女たちの動きのある全身イラストを見れるだけでも、いちファンとしては嬉しくなってしまうものだ。
もし未プレイの人で、このイラストのキャラを1人でも良いなと思ったなら(そしてその子がちょっと酷い目にあっても大丈夫なら)、今すぐにでも『魔法少女ノ魔女裁判』(『まのさば』)の世界に足を踏み入れて欲しい。きっと後悔はしないはずだ。心に傷は残るかもしれないが……。
ちなみに筆者の推しは、青髪の少女「橘シェリー」だ。原作をプレイした身としては、ただ拡大鏡で蝶を見ているだけのこの姿でさえ、彼女の自由奔放さが現れていることを感じられて、“大変良い”。
もちろん、『まのさば』の良さはビジュアルだけではない。『魔法少女ノ魔女裁判』を語るうえで同じくらい絶対に外せない魅力がある。それが“シナリオの良さ”だ。
本作は、エピソードごとに「殺人事件が起こり、その犯人を捜す」という流れが存在していることもあり、「かわいい女の子が酷い目にあって終わる露悪的な作品」という見方ばかりが取り沙汰されることも多い。だが、『まのさば』の魅力は決して露悪要素だけではない。
殺人事件と魔女裁判を通して描かれる、少女たちの純文学的なドラマ、推理ものとしての伏線の張り方や構成、物語全体を通して描かれる『まのさば』自体のテーマ性、現代のプレイヤーが楽しめるようにする工夫やエンタメ性、どこを見ても本当に高いレベルでまとまっている作品だと筆者は感じている。
それもそのはずで、本作を手がけるのはシナリオ制作会社「Re,AER」発のクリエイティブブランド「Acacia」だ。シナリオ制作を本業とする作り手が、キャラクターの心理や物語の伏線を丁寧に作り込んでいった結果、『まのさば』のシナリオは“傑作”と呼ぶにふさわしい内容となったのだ。
それほどまでにシナリオへのこだわりがあるブランド「Acacia」が満を持して発売するのが、今回紹介する完全公式ノベライズ版の『魔法少女ノ魔女裁判』。ファンとして期待するなというほうが無理な話である。
小説版は“公式からの新たな供給”の塊。13人の描き下ろしイラストに、原作では明かされなかった新情報まで、原作をなぞりつつも「再構成」された『まのさば』
原作ゲームの紹介が終わったところで、ここからは小説版『まのさば』ならではの魅力について、ネタバレなしで紹介していきたい。改めてにはなるが、やはり最初に挙げるべきは原作クリエイター陣によるこちらの新規イラストだろう。
- 13人の魅力的なカラーイラストが小説版に掲載される
あまりにも良すぎる……。
13人の少女が生き生きと楽しそうにしているだけで心が洗われる気持ちになる。これは筆者だけでなく、クリア済みの方々はみんなそうだと思うのだがどうだろうか?
このイラストは新規読者がよりスムーズに作品を理解するのにも役立つはずだ。というのも本作は序盤から13人もの少女が一気に登場し、各々が自由気ままに喋る。常に立ち絵の出ていた原作ゲームとは異なり、文字だけで人物を憶えようとすると相当に大変だろう。
そこで、こちらのカラーイラストへとページを戻せば、すぐに名前と姿を確認できる。ライトノベルなどでは定番の形式だが、本書を読み進めるうえでも大きな助けになるはずだ。
もちろん、小説版『まのさば』に収録される新規イラストはこれだけではない。物語の要所に差し込まれる挿絵もまた、原作クリエイターによる描き下ろしだ。原作ゲームとはまた一味違った少女たちの姿を見れるのも小説版の良さだろう。
楽しそうにしているシェリーちゃんを見れるだけで、もう最高です。
本当にありがとうございます。
そして、既プレイヤーへ向けてお伝えしておくと、本書にはシナリオとしても多くの新情報が含まれている。というのも本書は原作のシナリオが小説用に「再構成」されているのだ。
本書は、気が付くと牢屋に囚われていた少女「桜庭エマ」を主人公として、彼女の一人称視点で物語がつづられる。大筋こそ原作のゲーム版と変わらないものの、描写や展開が細かく変化しており、原作にはなかった描写や展開がこの「再構成」によって追加されているのだ。
筆者が驚いた変化をひとつ挙げるなら、最序盤において原作にはなかった「エマとヒロの出会いのシーン」がいきなり差し込まれていたことだろうか。読みながらあまりにびっくりして一度小説を読む手を止め、原作ゲームを起動して該当箇所を見比べてしまったほどだ。(本当に新規シーンだった)
この瞬間から、筆者にとって本書は原作の魅力を再確認するための素材ではなく、公式から新たに供給された『まのさば』の新コンテンツとなった。ページをめくりながら、「この先に一体どんな新情報があるのだろう」とワクワクが止まらなくなったことを憶えている。
もちろんそのほかにも、細かな展開の順序や、重要な事実が明かされるタイミングなど、変わっている箇所は多くある。よく知った物語のはずなのに、突然「こんな情報あったっけ!?」や「え、これがここで!?」と驚くシーンが何度もあった。
既プレイヤーにとっては、原作との違いを見比べながら読み進めるだけでも十分楽しめる体験となるはずだ。
最後にもっとも重要な公式の供給について話しておきたい。それが、ここでは絶対に書くことのできない物語の超重要シーンの大幅な加筆だ。
詳細を伝えられないのがもどかしいが、とにかく少女たちの根幹に関わるあのシーンが加筆されている。ゲーム版と見比べるまでもなく、もはやリライトと言って良いレベルで具体的な描写が追加されている。原作ではふわっと流されていた部分が詳細に描かれていて嬉しかった反面、内容が内容なだけに読んだ時はなんとも言えない複雑な気持ちになったものだ。
この新要素について多くを語ることはできないが、『魔法少女ノ魔女裁判』の世界観やキャラクターをより深く掘り下げたいファンであれば、“絶対に見ておくべき内容”だとお伝えしておきたい。
リッチな原作と、圧倒的に手軽でテンポのよい小説版。ぜひとも両方体験し、『まのさば』の沼にハマってほしい!
ここまで小説版『まのさば』の魅力を語ってきたが、最後に「小説版とゲーム版のどちらから『まのさば』を始めるべき?」と迷っている人に向けて、それぞれの良さについても話しておきたい。
まず、小説版の最大の特徴は、“圧倒的に”カジュアルで、手に取りやすいという点だ。ゲーム版ではどうしてもパソコンなりゲーム機なりを所有している必要があるし、プレイしながらの外出や移動も難しい。その点、小説版であれば、手荷物のなかに自然と収めることができるし、通勤や通学などの移動中でも、気軽にページを開いて先へ読み進めることができる。
なにより、小説版はテンポがいい。『まのさば』では、作中で起きた事件の犯人を当てるため、「裁判パート」が何度も挿入される。事件の謎を解くためには推理が求められ、プレイヤーのひらめき次第では苦戦してしまうこともありえる。
その点、小説版であれば、エマが小気味よく推理を進めてくれる。実にスムーズに進行するし、「時間切れでゲームオーバー!」みたいなことにもならない。「先を知りたいのに、思うように進めない」というフラストレーションとは無縁なのが小説版の良さであり、その手軽さを形作っている要素のひとつだ。

一方で、ゲーム版の良さはなんといってもその体験のリッチさだ。
というのも、小説はその構造上、基本的に固定されたストーリーの流れを追っていく作りになっているのだが、本作のゲームには随所に選択肢式の分岐が用意されており、そのなかには大量の“バッドエンド”が含まれている。
そういった分岐の魅力や、キャラにマッチした声優たちの演技、ファンならば耳にしただけでプレイ時の感動が蘇ってくるであろう美しいBGMの数々……といった「体験」は、ゲーム版にしかない特徴だ。
【なれはて】たる筆者としては、小説から『まのさば』に触れ作品を楽しんだ方には、ぜひとも「ゲーム版にも手を伸ばして欲しい」と願わずにはいられない。小説を読んで感じた『まのさば』の魅力を、きっとさらに増幅してくれるものとなるに違いないからだ。

小説版『まのさば』は、これまでゲームに抵抗があった新規層にとっても手に取りやすく、それでいて、原作ファンにとっても、描き下ろしイラストや初公開シーン、そして再構成された物語という“新たな供給”を、心ゆくまで味わえる仕上がりとなっていた。
「『まのさば』は気になるけれど、プレイする機会がなくて……」とためらっていた人にとって、本書は手軽に『まのさば』の世界を味わえる選択肢として、このうえない良い入り口になってくれるはずだ。
そんな小説版『魔法少女ノ魔女裁判』は2026年7月31日より、KADOKAWA スニーカー文庫にて発売中。価格は902円(税込)となっている。手に取りやすい文庫サイズで、『まのさば』の世界へぐーっと足を踏み入れてみてはいかがだろうか。
そして、みんなも「共犯者」(公式のファン名称)になろう!








