ゲームをリアルタイムにて早解きしていく「リアルタイムアタック」(以下、RTA)。
アメリカではこのRTAをテーマにした大規模なチャリティイベント「Games Done Quick」こと「GDQ」が毎年行われ、年間で数億円を集めているが、その真逆の発想となる”ゆっくりプレイする”を意識したイベント「Great Games Done Slow」(以下、GGDS)の開催が発表された。
「GGDS」は9月15日から21日まで開催されるチャリティイベントだ。「Great Games Done Slow」の名前からもわかるように、テーマは「時間の制限なく、プレッシャーもないなかでゆっくりゲームを遊ぶ」というもの。
海外のジャーナリストKate Gray氏が、「まったり(chill)とゲームをプレイするAwesome Games Done Slowlyをやりましょう」と冗談で今年1月にツイートしたのが、開催のきっかけとなっている。
hey folks welcome to Awesome Games Done Slowly, the charity livestream where everyone just chills and plays Stardew Valley and Animal Crossing at their own pace
— Kate Gray (@hownottodraw) January 17, 2018
※Kate Gray氏のツイート。「Awesome Games Done Slowly」という名は、冒頭でも触れた実際に開催されているRTAチャリティイベント「Awesome Games Done Quick」を引用したジョーク。
「ゆっくりプレイする」と聞くと、多くの人が「それはただのんびりゲームをプレイするだけでは?」と思うかもしれない。
ホームページではいくつかプレイングの例が提示されており、たとえば『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』をなんの制限もなく景色を楽しみながらプレイしようとか、あるいは『オーバーウォッチ』でサポートヒーロー「マーシー」を選んで回復しまくってみようなどといった遊び方が掲載されている。
「あえてゆっくりプレイする」というよりは、むしろ「平和にゲームをプレイする」ことに主眼を置かれたプレイを提案する同イベントは、そもそも日程のスケジュールが特になく、期間内にイベント参加者の実況配信を紹介していくという、きわめてゆるい縛りのなかで行われる。
「レトロリラクゼーション」や「Chill of Duty」といった「瞑想」や「禅」的なワードも散りばめられており、主催者であるオーストラリアの慈善団体「CheckPoint」も、RTAのような緊張感がない牧歌的なプレイングを想定しているのだろう。
ジョークから開催が決まった「GGDS」だが、先に挙げた「GDQ」や国内で開催されている「RTA in Japan」などでは、スリリングなRTAのプレイングやイベント構成が視聴者を魅了している構造を持つだけに、ただゆったりとプレイしているだけの映像がイベントおよびチャリティの成功へとつながるのかには疑問が残る。
一方で、世の中には『ファイナルファンタジーVII』の魔晄炉で数百時間をかけてクラウドのレベルを99にするゲーマーや、実際に目的地に到着するまで8時間も同じ砂漠の風景をバスで走らなければならない『Desert Bus』のようなゲームが存在する。
趣旨とは異なるものの、RTAとは異なるやり込みプレイも世の中には多数あり、「ゆっくり」や「のんびり」といったキーワードの言葉尻を引っ掛けて、やり込み勢が同イベントに参加するならば、興味深いイベントとなりそうだ。
CheckPointを通じて集まった寄付金は、ゲーマーのメンタルヘルス問題の啓蒙と団体運営を目的に使われる予定となっている。