Devolver Digitalは、GamepiresとCroteamが開発を進めるサバイバルゲーム『SCUM』の配信をSteamにて開始した。価格は2050円。
開発中のゲームを配信するSteam早期アクセスを通じて販売されており、完成版までは最低で1年が必要だとされている。
『SCUM』にてプレイヤーは最大64人の死刑囚のひとりとなって孤島に降り立ち、さまざまな方法で生き残りつつ、自身に埋め込まれたインプラントを取り除き島から脱出することを目指すことになる。
これらの模様はエンターテイメント企業TEC1が手がけるテレビ番組として配信されており、その番組名がゲームタイトルにもある「SCUM」というわけだ。
ルールにもよるが『SCUM』では他のプレイヤーを必ず倒す必要はなく、最近流行のバトルロイアルゲームというよりは、『DayZ』や『Rust』などの系譜に近いサバイバルゲームとなっている。
むしろ食料や水分を確保してキャラクターの体調を維持しなければならないサバイバル要素を突き詰めすぎてしまったと言える作品かもしれない。
たとえばプレイヤーはキャラクターの体型や年齢を設定することが可能で、それによって力強さや器用さ、俊敏さといった4種類の基本パラメータが設定される。サバイバルゲームのように身体やサバイバル能力が全キャラクター同一というわけではなく、プレイヤーは個々の戦略に沿って身体を作り込むことが可能なのだ。
さらに満腹度や水分量といったサバイバルゲームおなじみのステータスだけでなく、下記のちょっと狂気を感じる画像を見てもらえばわかるように、本作ではビタミンやミネラル、カロリーや心拍数といった細かな要素までシミュレートされている。
単純に筋肉ダルマな身体を作ってしまえば、カロリーの消費量はおそらく膨大になるだろう。また歯の本数すらカウントされており、少なくなれば流動食しか食べることができなくなるという。
もちろんこれらの数値は、プレイヤーの行動や食事などでプレイ中も刻一刻と変化していく。
バトルロイヤル系しかりサバイバルゲームは現在すでに飽和状態のジャンルだが、ここまで細かい数値をシミュレートした作品は近年では初めてだと言えるだろう。
各数値が細かく設定されている世界では、手に入った物資や食料の種類はより意味を持つようになり、探索するのか身を休めるのかといった選択はより慎重に行う必要が生まれてくると予想される。
もちろん「ただ制限が増えて面倒なだけでは?」とは誰もが頭に浮かべるところだが、開発陣はこれらの数値に関して、すべてを把握して進める必要はなく、ある程度は無視してプレイすることも可能な方針も取ろうとしている。
一方で本気で取り組むプレイヤーは、効率的な身体づくりやサバイバル知識を極めることも可能だという。さまざまな身体状況をシミュレートする設定はユニークだが、ゲームプレイの面でバランスをどこに置くのかが、本作が今後も上手く発展していくかの鍵を握ることになりそうだ。
SCUM, the supermax survival game from @Gamepires, is now available on Steam Early Access! Welcome to SCUM Island: https://t.co/FkNnXluLIe pic.twitter.com/c2TKvvXhw5
— Devolver Digital (@devolverdigital) August 29, 2018
なおすでに本作はパブリッシングを担当するDevolver Digital最大のローンチ規模を記録。
Valveが公開しているSteamの統計データでも同時接続プレイヤー数が5万人を突破するなど、『ARK: Survival Evolved』や『Rust』といったサバイバルゲームと比肩する数値を残している。ひとまずローンチで埋もれてしまい誰もがプレイしていないという状況は回避されているようだ。
ただしSteamでは動作不良やパフォーマンスの最適化不足も報告されており、プレイヤーの評価は現時点で「賛否両論」となっている。発売後数時間でパッチが即座にリリースされるなど開発陣は勢力的なサポートの姿勢を示しているが、他の作品と同様に早期アクセスであることを考慮しつつ今後の進展に注視していきたい。
文/ishigenn