ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)は、PlayStation.BlogにてPlayStation 4版『Fortnite』のクロスプラットフォーム対戦、進行度並びにアイテムのプラットフォーム間での共有を実現するオープンベータテストを9月26日から開始することを発表した。ベータテストの期間は正式に発表されていないが、追ってPlayStation.Blogで詳細を発表するとのこと。
「SIEにとって大幅な方針の転換」とSIE社長兼CEOの小野寺氏の署名入りで公開された声明文では、ビジネス面を含めたあらゆる視点で徹底的に分析した結果であり、今後もPlayStationならではの体験を変わらず届けるとしている。
この対応で他のタイトルへの影響も調査するとし、『Fortnite』以外のタイトルのクロスプレイを検討していることも示されている。クロスプレイへの要望の大きかった『Minecraft』や『Rocket League』も、このテストの結果でクロスプレイが実現するかもしれない。
もともと、PS4版『Fortnite』はPCとスマートフォン間でのクロスプレイには対応していた。しかし、他社のコンソール機とのクロスプレイには対応していないほか、今年6月にリリースされたNintendo Switch版『Fortnite』において、PS4が登録されたEpic Gamesアカウントではログインできないことが報告。PS4版『Fortnite』が登録されたアカウントが他のコンソールとのリンクを許可していないことが、Nintendo Switch版のリリースであらためて議論の的となっていた。
これまでは、一度PS4をリンクしてしまうと他のコンソール機をリンクできなくなっていたが、数日以内にこの制限を解除し再登録できるようにすることが『Fortnite』日本語公式ツイッターアカウントで発表されている。11月にはプラットフォーム間で購入したアイテムも統合できるようになる。
1.バトルロイヤルで購入したものについて、複数のアカウントに渡って統合できるようになります。11月に実装予定です。
— フォートナイト (@FortniteJP) September 26, 2018
2.コンソールデバイスのフォートナイトアカウントへの連携解除が可能になり、さらに別のフォートナイトアカウントへの再連携が可能になります。こちらは数日後に実装予定です。
これまでも『Minecraft』や『Rocket League』でクロスプレイへの要望は多かったが、SIEが本格的に対応することはなかった。『Fortnite』でも、当初はこれまでと同様にクロスプレイへの慎重な姿勢を崩さなかったが、その後少しずつ態度を軟化していき、最終的に今回のクロスプレイ対応への発表となった。
海外メディアKotakuは、今回のSIEの『Fortnite』への対応に対し他のデベロッパーへのインタビューを行っている。
『Rocket League』のPsyonixの副社長Jeremy Dunham氏は、この対応は大きな前進だと答えたが、『Rocket League』のクロスプレイについては現時点でまだわからないという。
『Call of Duty: Black Ops 4』や『Overwatch』のActivision Blizzardは、『Hearthstone』のクロスプレイ対応によるコミュニティの肯定的な反応を例に取り、このテストが自社のゲームとプレイヤーにとってどのような影響があるか見守るとしている。
『Minecraft』でクロスプレイを実現しているMicrosoftは、PS4ユーザーを『Minecraft』エコシステムに組み込みたいと考えているが、現時点ではこれ以上何も言えないと答えている。
また、Bethesda SoftworksのPete Hines氏は自身のツイッターでこの発表を祝福しつつ、『Fallout 76』はいくつかの理由により現時点ではクロスプレイへの対応はしないと発表した。今後のことまでは未定だが、今は『Fallout 76』のベータテストとリリースに注力しているという。
これまでもたびたび完全なクロスプレイへの障壁として、コンソールでの競争による問題が挙げられてきたが、歴史は大きく転換しようとしている。このオープンベータテストで『Fortnite』はPC、コンソール、スマートフォン間での完全なクロスプレイを実現した。Xbox Oneでマウスとキーボードを正式にサポートすることが発表され、入力機器によるプラットフォーム間での違いも少しずつ緩和されている。すべてのプラットフォームで自由にマルチプレイを楽しめる未来は、もうすぐそこまで来ているかもしれない。
文/古嶋誉幸