Bohemia Interactiveはオープンワールドサバイバルゲーム『DayZ』のベータ版をリリースしたと発表した。2013年12月に早期アクセスタイトルとしてアルファ版がリリースされ、ほぼ6年の歳月が流れている。予告されている2018年中の正式版(バージョン1.0)リリースに向けての最後のひと押しとなるだろうか。
※リリースに合わせて公開されたベータ版について開発者が説明する動画。
ベータ版となるバージョン0.63は、2018年6月に実験的(Experimental)ビルドとして公開されていた。5ヶ月間の改善を経て、今回のアップデートで安定ビルドとして全ての所有者に提供される。以前の安定ビルドであるバージョン0.62は、レガシービルドとして引き続き利用できる。
ベータ版の変更点は公式サイトで公開されている。このビルドではゲームエンジンのアップデートだけでなく、乗り物のベースビルディング、リーンといったゲームプレイを大きく変更する要素が追加されている。
今後は正式版となるバージョン1.0のリリースに向け、バグフィックスやゲームバランスの調整に注力するという。正式版リリースに伴う価格の変更は無いことも伝えられており、日本ではSteamから4000円で購入できる。
Mod開発ツールもリリースされている。こちらはSteamのツールに「DayZ Tools」の名前で登録されており、『DayZ』所有者は無料で利用することができる。
もともと『DayZ』はミリタリーシム『Arma 2』のMODとしてDean “Rocket” Hall氏によって開発された。ゾンビが徘徊する広大な世界で、数十名のプレイヤーが資源を奪い合い、時には協力しあうという今までにあまり類を見なかったゲームプレイは大きな話題となった。
プレイヤー数はピーク時期で100万人を超えており、大衆受けするというよりもコアなファンが多いミリタリーシムのModとは思えないほどのプレイヤーを抱えた。2009年にリリースされた『Arma 2』が、『DayZ』のModがリリースされた2012年に売り上げを大幅に伸ばす大ヒットとなった。
その後、Dean Hall氏はBohemia Interactiveの力を借りて『DayZ』のスタンドアロン版開発に乗り出す。2012年5月ごろから開発が始まったが、Steamでリリースされたのは前述の通り2013年の12月だった。Dean Hall氏は2014年にBohemia Interactiveを退社し、スタンドアロン版『DayZ』の開発を後任のメンバーに託している。
『DayZ』は今日のオープンワールドサバイバルゲームブームの火付け役となった作品だ。また、そのオープンワールドサバイバルジャンルをベースにバトルロイヤルゲームが発展していった背景もあり、同作がなければ『PUBG』や『Fortnite』は生まれていなかったかもしれない。
しかし、長期におけるアップデートが必要となる早期アクセスの困難さ、チーター対策およびファンコミュニティとのやり取りの難しさを示したタイトルでもあり、その評価は最終的には批判的なものへと落ち着いていった。そんな同作のプレイヤー数は、今回のベータ版のリリースで若干の改善を見せており、SteamChartsによれば平均で1日に1000人ほどだったプレイヤーは、ピーク時には6000人を超えている。
スタンドアロン版『DayZ』開発から6年が経ち、その間にはさまざまなオープンワールドサバイバルゲーム、バトルロイヤルゲームがリリースされた。現状を鑑みれば、すでにファンの興味はサバイバルゲームよりバトルロイヤルに移ったと見ていいだろう。
そんな中、ブームの火付け役となった大御所『DayZ』は正式版リリースで、いったいどんなものを見せてくれるのだろうか。
文/古嶋誉幸