1998年にValveがリリースした伝説的なFPS『Half-Life』が20周年を迎えた。現在、Crowbar Collectiveが『Half-Life』の公式リメイク『Black Mesa』の開発を続けているが、実装が長くにわたり待たれたステージ「Xen」を紹介するトレイラーが公開されている。
加えて、Steamで早期アクセス中の本作の正式版リリースが2019年第2四半期となったことも発表されている。
『Half-Life』は1998年にリリースされたFPS。プレイヤーは異常に無口なMIT卒の物理学者ゴードン・フリーマンとなり、突如事故に見舞われた最先端の研究施設からの脱出しなければならない。ほかの惑星からエイリアンが襲来し、情報漏えいを防ぐため兵士たちが暗躍するなか、フリーマンはHEVスーツとパールなどの武器群で状況の打破を目指す。
当時、敵を撃ち倒すことに主眼を置いた作品が多い中で、同作はストーリー演出やパズルアドベンチャー、AIの高い完成度で評価され、Valveの出世作となった。
『Black Mesa』はそんな『Half-Life』を続編である『Half-Life 2』のゲームエンジン「Source Engine」でリメイクするタイトルだ。Valve自身はSource Engineに『Half-Life』を移植した『Half-Life: Source』をリリースしているが、『Black Mesa』はテクスチャといったグラフィックス面を始め全てが一から完全に作り直されている。
基本的にはグラフィック面のアップグレードが中心でありゲームプレイのコアに変更はないが、マップ構成などは現代的な変更が加えられている。
もともと同作は『Half-Life 2』の無料Modで『Black Mesa: Source』という名前であり、Valveの認知しないファンメイドの企画だった。
Mod版の開発がスタートしたのは『Half-Life 2』がリリースされた2004年ごろで、開発期間は進捗がなかった時期もふくめると14年にもおよぶ。Modとしては開発規模もあまりにも巨大で、10名以上が参加する一大プロジェクトだった。Mod版がリリースされたのは2012年。Xenレベル以降を除く『Half-Life』シングルキャンペーンが実装されていた。
なおXenとは、『Half-Life』に登場するエイリアンたちの母星のことであり、初代『Half-Life』における最終決戦の場である。
※2008年に公開されたMod版トレイラー。
そこからさらに3年が経ち、Valveの許可を得て2015年にSteamで有料スタンドアロン版の『Black Mesa』が早期アクセスでリリースされた。Mod版と同様、Xenレベル以降が含まれていない早期アクセスとなった。完成度としては85%と発表されており、10時間ほどのゲームプレイやマルチプレイが収録された。
Source Engineのアップデートに対応し、新たなグラフィックアップデートやシングルプレイのさらなる拡張を行ってきた『Black Mesa』。Xenレベル以降の開発は、Mod版から数えてすでに6年が経つ計算になる。これまでも何度かリリースが予告され、そのたびに延期されてきただけにファンもヤキモキさせられていた。しかし、今回のトレイラーで公開された『Black Mesa』のXenはそれまでのモヤモヤを吹き飛ばすような内容だ。
不可思議な生物が飛び回り、清流が流れ、先行してXenに訪れた研究者たちが使用した研究施設の姿を見ることができる。大きく姿を変えたXenの姿は、オリジナルの『Half-Life』のファンほど驚きは大きいのではないだろうか。
このほか、トレイラーでは、オリジナル版でも強敵となったBig MamaことGonarchや、ラスボスであるNihilanthの懐かしくも新しい姿を見ることもできる。
ほぼ15年に渡って開発が続いてきた『Black Mesa』だが、ついにXenが実装され、早期アクセスを終了するときが近づいてきたようだ。『Half-Life』はいくら名作とはいえ20年前の作品だ。今からプレイするのはグラフィック面などで厳しい部分もあるだろう。そんな人は『Black Mesa』の完成を待ってみてはいかがだろうか。
文/古嶋誉幸