Deep Silverは2月15日発売予定のFPS『Metro Exodus』のPC版を、Epic Game Store(以下、EGS)で時限独占にて販売すると発表した。すでに予約販売を実施していたSteamでは販売が停止されており、EGSでのみ予約できるようになっている。
公式発表によると、スタンダードエディションの価格は北米に限りSteamより10ドル安い49.99ドルになるという。ただしヨーロッパはSteamと変わらず59.99ユーロ、日本ではSteamでの予約価格より1円だけ安くなる7799円にとどまっている。
Important Announcement – we’re partnering with Epic to bring Metro Exodus to the Epic Store. This partnership will allow Deep Silver to invest in the future of the Metro series and the development team at 4A Games. Read the full story and FAQ.https://t.co/cYu0TqUplc
— Metro (@MetroVideoGame) January 28, 2019
Steamの『Metro Exodus』の製品ページではValveの声明文も掲載されており、予約販売が停止する以前にSteamを通じて購入したユーザーにはゲームがそのまま提供され、今後のアップデートやDLCにもSteam上からアクセスできると記されている。
またValveは、予約販売が長期にわたって続いていたため、Steam上から『Metro Exodus』は削除することは顧客にとって“アンフェア”だと考えているとコメント。さらに、今回のDeep Silverの方針決定が突然のものであり、ここ最近説明を受けたという背景を伝えつつ、2月15日からSteamでの発売を待っていたユーザーに謝罪している。
公式ページではQ&Aも掲載されており、こちらでもSteamで予約したユーザーは2月15日にEGSと同じくプレイできるようになることや、アートブックとサウンドトラックも宣言通り予約者に配布され、ゴールドエディション予約者にはエキスパンションパスも通常通り配布されることが重ねて伝えられている。また、Steamでスタンダードエディションを予約した人も、DLCとエキスパンションパスはリリースされたときに購入可能になるという。
Humble Bundleなど、キーセラーから購入した場合でもEGS専売となる決定の影響は受けない。予定通り2月15日までにSteamキーが配布される。なお、『Metro Exodus』のEGS専売は1年間の時限独占となっており、2020年2月14日(日本時間では2020年2月15日だと思われる)以降にSteamでも買えるようになるという。
EGSでは2019年後半にシリーズの過去作である『Metro 2033 Redux』と『Metro: Last Light Redux』もリリースされる予定だ。
この決定に対し、Deep SilverのCEOクレメンス・クンドラティッツ氏は、EGSの寛大な利益配分はパブリッシャーのコンテンツ制作への投資を増加させ、ユーザーには節約を可能にするゲームチェンジャーだと声明を発表している。この提携によって『Metro』シリーズファンのため、開発の4A Gamesと未来の『Metro』シリーズへのさらなる投資を可能にするという。
Steamから撤退しEGSに販売拠点を移した大型タイトルとしては、Ubisoftの『THE DIVISION2』やSkybound Gamesの『The Walking Dead』に続き3本目となる。これまでも自社ゲームタイトルを自社の販売サービスでの専売とする動きはあったが、2018年後半からは収益配分による自社以外のパブリッシャー誘致と囲い込みも同時に行う姿が目立ってきた。
激化するPCゲームプラットフォーム競争は、価格競争ではなくゲームの囲い込み合戦に終止する、ユーザーに利益の少ない形に落ち着くのだろうか。
ライター/古嶋誉幸