中国大手ポータルサイト網易の傘下でオンラインゲームを運営するNetEase Gamesは29日(現地時間)、PlayStation 4専用タイトル『Detroit: Become Human』などを手がけるフランスのゲーム制作会社Quantic Dreamの少数株を取得したことを明らかにした。
NetEase Gamesは、『Revelation Online』や『荒野行動』をはじめ、数多のオンラインゲームを運営する中国最大手パブリッシャーのひとつ。近年、『Destiny』を手がけるBungieへ新たなIPの開発資金を提供したり、Blizzard Entertainmentと提携してモバイルゲーム『Diablo Immortal』の共同開発へ乗り出したりと、欧米市場での影響力を確実に増している。
Quantic Dreamは、2018年に発売された最新作『Detroit: Become Human』をはじめ、これまで『Heavy Rain』や『BEYOND: Two Souls』といったストーリー重視のアクションアドベンチャーゲームを、PlayStation 3およびPlayStation 4の専用タイトルとして長きにわたって提供してきた。今回、新たな資本を確保したことで、PlayStation専用ゲームの開発からマルチプラットフォーム事業への参入に方向転換する見込みだ。
米メディアVarietyとVentureBeatによる取材の中で、Quantic Dreamの創立者David Cage氏は同社の目指す将来像について、これまでどおり独立スタジオの立場を維持しつつも、マルチフランチャイズ企業としてすべてのプラットフォームのユーザーへ向けてゲーム開発を続けていきたいと述べている。また、多くの候補の中からNetEaseを提携先に選んだ理由にも触れ、同じく同社が出資しているBungieやSecond Dinnerに共通点を見出したと説明した。
Quantic Dreamをめぐっては、2018年はじめに複数の仏メディアが、同社の不適切な労働環境を指摘する記事を掲載したことで物議をかもした。その際、社内での性差別や人種差別、長時間労働の常習化が従業員から暴露され、代表者であるCage氏とCOOのGuillaume de Fondaumiere氏の責任が問われたという経緯がある。その後、労働環境に耐えきれず退職した元従業員が同社を提訴。被告であるQuantic Dream側が敗訴する結果となった。なお、この件についてNetEaseの幹部Simon Zhu氏は、出資先として特に問題視はしていないとコメントしている。
ライター/Ritsuko Kawai