任天堂は、Nintendo Switch専用ソフト『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』の2月分配信タイトルに、『スーパーマリオUSA』、『つっぱり大相撲』、『星のカービィ 夢の泉の物語』を追加すると発表した。配信日は2月13日からとなっている。
本作はNintendo Switchを持ち運んでどこでもファミコンのゲームが遊べることを売りにしているソフト。月額300円から始められるNintendo Switch Onlineに加入することでプレイできる。タイトルは毎月配信している。
『スーパーマリオUSA』
日本では1992年に発売した『スーパーマリオUSA』は、縦と横のスクロール方式のアクションゲーム。ライフ制で、敵を持ち上げたり、地面に埋まっている野菜を引っこ抜いて、敵に投げ付ける『マリオ』シリーズでは異色のシステムが特徴。
本作は任天堂のゲームクリエイターである田邊賢輔氏が開発したもの。当初の構想案では縦スクロールに特化しており、アイテムやブロックを積み上げて遊ぶゲームが構想されていたという。
しかし満足いく出来にならず、プロトタイプをみた宮本茂氏から「マリオ風の横スクロールアクションを取り入れてみてはどうか」と助言を受けて、縦だけではなく横スクロールのアクションも追加。こうして田邊氏の構想は『夢工場ドキドキパニック』として完成し発売された。
同時期、『スーパーマリオブラザーズ2』を北米に展開するときに、北米ユーザーには難易度が難しすぎるという判断がなされ、『夢工場ドキドキパニック』をマリオのキャラクターに置き換えて、『Super Mario Bros. 2』として発売。
『スーパーマリオUSA』は、これを逆輸入する形で日本で発売したものである。このように紆余曲折がある本作だが、単純に『夢工場ドキドキパニック』を置き換えたわけではなく、当初の段階からマリオの遺伝子がしっかりと受け継がれた作品というわけである。
『つっぱり大相撲』
テクモ(現コーエーテクモゲームス)が開発した『つっぱり大相撲』は、もはや大相撲ゲームの古典といえる作品だ。プレイヤーは力士となって、前頭十三枚目からスタートし、横綱になり優勝を目指す。
立合い、押し、突っ張りなどの使って、相手の体力を減らし、自分の体力を上げると、体力ゲージが点滅。このときに「決まり手」となる技をかけると、土俵の外に相手を出すことができて、勝ちとなる。
ある意味、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにも通じるゲームシステムであり、今、プレイしても白熱すること間違いなしだろう。もちろん対戦モードもある。コミカルで江戸風の音楽も特徴的だ。
『星のカービィ 夢の泉の物語』
『星のカービィ』シリーズの第二弾。ファミコンで唯一のカービィの作品だ。『星のカービィ』シリーズの特徴といえる敵を吸い込んで、敵の特徴をコピーできるおなじみのシステムが、本作にて初めて登場した。
もともとゲームボーイの『星のカービィ』は子供でも遊べる簡単なゲームとして制作されたが、簡単すぎるという意見が出てしまった。そこでカービィのコアである簡単でシンプルな部分を残しつつ、熟練したプレイヤーでも楽しめるようなアイディアとして、カービィの産みの親である桜井政博氏からコピー能力システムが発想された。
本作はファミコン後期に発売されたため、グラフィックやゲームデザイン、ギミックや新キャラクターなど非常に完成した域に達しており、同時期のスーパーファミコンのゲームと比べても高いクオリティのゲームになっている。
余談になるが、ゲームボーイの『星のカービィ』はモノクロで制作されていたため、スタッフはカービィの色を知らず、それぞれ黄色や白と想像していた。しかしパッケージイラストが出てきたとき、カービィの色がピンクだと知って、多くのスタッフは驚いたという。
宮本茂氏はこういったキャラクターは普通ならば『パックマン』のように黄色になりがちだが、桜井氏のピンク色にする判断を賞賛している。本作『星のカービィ 夢の泉の物語』で初めてカービィがピンク色でゲームに登場する桜井氏の構想が実現できたというわけだ。
今回、追加された3タイトルはまさにファミコンを代表する名作中の名作といえるだろう。プレイしたことのない若い人もこれらのタイトルを手にとってみて欲しい。また当時、遊んだ人は久々に手にとってみてはいかがだろうか。
ライター/福山幸司