1987年のアドベンチャーゲーム『シャドウゲイト』のリメイク版が海外のNintendo Switchで現地時間4月11日に配信がされることが判明した。オリジナル版『シャドウゲイト』は、Macintoshで発売されたが、ファミコン、ゲームボーイカラー、ニンテンドー64などの任天堂ハードに移植されており、日本ではその愛嬌がある名翻訳でファミコン版がよく知られている。
ICOM Simulationsが開発した『シャドウゲイト』は、MacVentureシリーズの第3弾としてMacintoshから発売された。MacVentureシリーズは、モノクロ画面、マルチウインドウ、マウス操作ができるポイント&クリックアドベンチャーという、これまでにないユニークなアドベンチャーゲームとして当時展開された。
これらのゲームデザインは、発売したハードであるMacintoshの性能に由来しており、MacVentureという名前もそこからきている。もともとMacintoshは低価格に抑えつつ、描画性能に優れた設計がされていたため、白黒ディスプレイが採用されていた。またマルチウインドウであり、マウスが標準搭載されていたため、これらをアドベンチャーゲームのデザインとして落とし込んだのである。
MacVentureシリーズは、ポイント&クリックアドベンチャーに分類されるが、いわゆる後のルーカスアーツの三人称視点でキャラクターそのものを動かす形式ではなく、一人称視点で進む。マルチウインドウはそれぞれアイテム欄、マップ欄、メッセージ欄、コマンド欄が個別に表示されており、演出によって追加されたりする。
特徴的なのは、マウスからコマンドを選択し、マップウインドウで行き先を選んで飛べるのは、日本が『オホーツクに消ゆ』で確立したコマンド選択型アドベンチャーと非常に手触りが似ていることだろう。このため海外のアドベンチャーゲームにしては、ファミコンのボタンと十字キーによる移植が容易なのである。
日本でもMacVentureシリーズがファミコンで『シャドウゲイト』、『ディジャブ』、『悪魔の招待状』としてケムコから発売された。特にファミコン版『シャドウゲイト』は、「ざんねん!!わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!」、「ホップ ステップ ジャンプ……かーるいす!!」、「クリンクリンクリンクリン お出かけですか?」という名翻訳によって、よく知られている。ゲームボーイカラーでは『シャドウゲイト リターン』、ニンテンドー64では『シャドウゲイト64』として日本でも発売している。
今回のNintendo Switchで発売される『シャドウゲイト』は、オリジナルスタッフがクラウドファンディングを呼びかけて、リメイクが実現したもの。2014年にPC、iOSから発売された。全面的にグラフィックが書き直されており、オドロオドロシイ雰囲気が拡張されて好評だ。
残念ながら日本版は発売されていないが、今回の久々の任天堂ハードへの帰還をきっかけに、日本版の発売を少しは期待したいところ。とはいえ、あのファミコン版の翻訳を現代で踏襲するのは悩ましいところだが。
ライター/福山幸司