ソニーのマーク・サニー氏は海外メディアWiredの独占インタビューの中で、「PS5」に相当する「次世代コンソール」を開発中であることを明らかにした。2019年内にはリリースされない見込み。ここ最近、海外では開発キットが出回っているとの噂がささやかれてきたが、インタビューによれば実際に開発キットが水面下で展開されてきたという。
PS4のリードアーキテクトでもあったプログラマーのマーク・サーニー氏は、引き続き同様に「次世代コンソール」のリードアーキテクトを務める。名前については、「PlayStation 5ですか？」という取材陣の質問に対し、意味深な微笑みで答えるだけに留まったという。また、次世代コンソールが2019年中に店頭に並ぶことも無いそうだ。
コンソールのコアとなるCPUは、AMDが1月に発表したばかりの第3世代Ryzenが使用される。世界初の7nmコアを使用したCPUだ。GPUはAMD Naviと呼ばれる同じく7nmベースのGPUが搭載され、レイトレーシングにも対応する。レイトレーシングとは、その名の通り光線を追跡する描画方法だ。目に飛び込んでくる光の粒子を逆算し、影や反射、あるいは屈折を計算する。従来の方法と比べより現実の視覚に近い描画方法のため、これまでにないリアルな描写を可能とする技術だ。また、現在対応モニターは少ないが、次世代コンソールは4Kだけでなく8Kまでの出力に対応しているという。
3D音響にも力を入れており、サーニー氏にとってフラストレーションだったというPS3からPS4へと進む中であまり進化のなかったオーディオ技術にもメスが入る。サーニー氏が言うには、上記のレイトレーシングを音にも応用するという。音源から音が波として広がり、壁や物体によるさまざまな反射を経てプレイヤーの耳に届くかを計算するというイメージだ。この技術はまさにレイトレーシングの音への応用と言えるだろう。
これらの技術は、VRでも大いに利用される。サーニー氏は、VRは非常に重要であると語っており、現在のPSVRヘッドセットは次世代コンソールと互換性があるという。
また、ストレージはHDDからデフォルトでSSDへと変更されるそうで、詳細は明かされていないが転送速度はPCのそれを凌駕するものになるという。サーニー氏が披露したInsomniac Gamesの『Marvel’s Spider-Man』のロケーションを移動するファストトラベルのデモンストレーションでは、PS4 Proで15秒かかったが次世代コンソールの開発機ではわずか1秒未満だったという。デモンストレーションに使用されたのは次世代コンソールの開発機であり、いわば遅いバージョンだったことに注意してほしい。
ディスクレスという噂もあった次世代コンソールだが、こちらはこれまで同様に物理メディアを受け入れる。さらに重要な点として、次世代コンソールはPS4と部分的に共通のアーキテクチャを利用している。つまり、次世代コンソールとPS4は互換性がある。あえて『Marvel’s Spider-Man』を使用したのも、互換性のアピールのひとつと言えるだろう。
ここまでは全てハードウェアの話であり、ユーザーにとってより重要であるソフトウェアの話はほとんど出ていない。発売日、価格といった情報も未発表だ。そのソフトウェア面についてはわずかながら判明している。WiredがSonyのスポークスマンに対し『Death Stranding』は次世代コンソール向けになるのか？と質問したところ、PS4でリリースされると繰り返したという。ただし、その時サーニー氏は微笑みを浮かべたそうで、Wiredはゲームが次世代コンソールでも出るのではないかと憶測させるのに十分だったと記している。
さらに、現在水面下で激しい競争が行われているクラウドゲーミングについても、サーニー氏は「私達が先駆者です。」と自信を見せている。ソフトウェアについてはほとんど未発表とはいえ、PSNowは次世代コンソールでも柱のひとつになることは間違いなさそうだ。
一部ながらついに詳細が公となったSonyの次世代コンソールだが、新世代のゲームはいったいどの様な形になるのだろうか。今から楽しみだ。
ライター／古嶋誉幸
