KREMLINCORP Entertainmentは、『Stalin vs. Martians 4』を正式発表した。2009年4月に発売され、2009年7月にSteamを含む全てのダウンロード販売サイトから姿を消したという幻の超低評価ゲーム『Stalin vs. Martians』の続編だ。対応プラットフォームや価格は不明だが、2020年発売予定となっている。
初代『Stalin vs. Martians』は、スターリン率いるソ連軍と火星人が戦うという突飛なシチュエーションをテーマにしたタイトル。当初はスターリンが踊り狂うプロモーション映像が注目されたものの、ネタに走りすぎた内容、たくさんのバグ、リアルタイムストラテジーゲームというにはシンプルすぎるゲーム内容から、多くのプレイヤーから非常に低い評価を受けた。
今回の発表においてプレスリリースでは「高い評価を受けたゲーム」(highly-acclaimed game)の新作と書かれているが、レビュー集積サイトMetacriticでの『Stalin vs. Martians』の平均評価は100点満点中25点だ。
※当時公開された『Stalin vs. Martians』のプロモーション映像。
続編となる『Stalin vs. Martians 4』は非常にシンプルなRTSだった前作からジャンルを変更し、見下ろし視点のシューティングゲームになっている。開発陣は見下ろし視点シューティングとスターリン主義とのダイナミックなハイブリットだと説明している。
なお、なぜ二作目なのにナンバリングが『4』なのかと気になる読者もいるだろう。そもそも開発陣は2013年にも続編制作のためKickstarterで資金集めをしており、その際にただの続編として『Stalin vs. Martians 2』を作るのがつまらないと考え、ジャンルすらも変えた『Stalin vs. Martians 3』をいきなり開発するという不条理なノリを見せていた。
どこから同作の続編を作ろうとする熱意が湧くのかわからないが、このクラウドファンディングはゲームプレイ動画を制作し当時すでに購入不可能になっていた『Stalin vs. Martians』もセットにするという力の入れようだった。しかし、12万5千ドルの目標に対しわずか2270ドルしか集まらずに計画は頓挫した。
『Stalin vs. Martians 4』はその『3』の設定をいくつか引き継いでいるようで、コンセプト画像にあったスターリンが乗ったロボットが主役となっている。敵は火星人だというが、青いゾウや色とりどりの「どーもくん」によく似た生物など、すでにネタに走りすぎている感がにじみ出ている。どーもくんは日本国外では災害の象徴としてミーム化しており、それを引用したのかもしれない。どーもくんミームが流行ったのは2000年代前半だったが……。
開発会社は変更となっているが、ゲームの特徴には「私たちの商標の継続」と書いてあり、不屈の精神で自分たちの作り上げたフランチャイズを守ろうとする姿勢を打ち出している。また、なぜかヌードモデルを見つける気でいるようで、見つかり次第ゲームの特徴に盛り込むという。
ヌードモデルやおそらく許可は取っていないと思われるどーもくんのように、発売前から少し不穏な空気が漂っている『Stalin vs. Martians 4』。いつの間にか立ち消え、2029年にシリーズ20周年を記念して今度は『Stalin vs. Martians 5』を発表するような事態にならないことを祈るばかりだ。
ライター/古嶋誉幸