もし手を怪我をしてコントローラーが握れなくなったら、ゲーマーはどうするだろうか。海外フォーラムRedditのユーザー「ItsAMooseLifeForMe」氏は事故で腕を折ってしまい、ギプスが外れるまでの約3週間を不自由な状態で過ごさなければならなくなったゲームファンだ。ゲームをプレイしようと、モンスターをハントするアクションゲーム『Dauntless』を試したものの、やはり片手では難しかった。
困り果てた氏は、Redditに「腕が折れていても遊べる、スローペースあるいはターンベースのゲームはありますか?」というスレッドを立て、多数の回答を得ている。この記事では、もし片腕しか使えなくても遊べるかもしれないゲームとして寄せられたコメントをいくつか紹介していこう。
『XCOM2』はFiraxis Gamesが開発し2016年にリリースされたターンベースストラテジーで、プレイヤーは対エイリアン部隊であるXCOMを率いてエイリアンの侵略者と戦う。手強くやりがいのある難易度で高い評価を受けた作品であるほか、2016年のアップデートでPC版がコントローラーに対応している。リアルタイムな反射神経が必要とされるゲームではないので、腕が折れて片手しか使えなくてもプレイできるだろう。
『XCOM』シリーズより影響を受けたストラテジー『Mutant Year Zero: Road to Eden』も同じく紹介されており、こちらの作品はSteamで購入することができる。
もはや説明するのもおこがましいと思えるほど著名なゲームではあるが、『ファイナルファンタジーX』も腕が折れても出来るゲームとして挙げられている。「史上最高のゲーム」、「かつてスクウェアが王だったことの証」など、熱の入った称賛が書き込まれている。
本作の特徴であるCTBはコマンド入力中であれば時間が止まるので、腕が折れて片手であっても楽しく遊べるだろう。
シリーズ2作目『Divinity: Original Sin 2』も候補のひとつとして挙げられたタイトルだ。前作では自分でキャラクターを制作してゲームをスタートしたが、本作では深いバックグラウンドとなる「オリジンストーリー」を持つキャラクターを主人公として選ぶことができるようになった。一見するとRTSか『Diablo』シリーズのようなアクション性の強いゲームに見えるが、戦闘はターン制でじっくり考えながら遊ぶことができる。
このほか、アドベンチャーゲームも数多く挙げられており、『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』や『シュタインズ・ゲート』、『逆転裁判』、さらには『GrimFandango』や『Life is Strange』など多様な作品がおすすめされている。
もしあなたが腕を折ってしまってもゲームがしたいなら、いったいどうするだろうか?「ItsAMooseLifeForMe」氏のように、ある日突然ゲームをすることが困難になるケースは他人事ではない。さらに日常生活において障害を負うことは誰にでも起こりうる。
それでも近年では、どのような人々でもゲームが楽しめるようにする努力が続いている。2016年には、脳性麻痺を持つプレイヤーが『オーバーウォッチ』の多彩なオプションによって生まれて初めてスナイパーとしてヘッドショットを成功させた例がある。また『Gears of War 4』のデベロッパーThe Coalitionと盲目のプレイヤーである「SightlessKombat」氏が協力して、盲目のゲーマーでもシューターを楽しめるようにしようと尽力している。
このほかにも、「Game Accessibility Special Interest Group」や「Ablegamers」といった団体も設立されている。完全な取り組みが敷かれているとは言えないが、アクセシビリティについてなにが必要かをまとめた「Game accessibility guidelines」が公開されている。
ItsAMooseLifeForMe氏の場合であれば、片手で扱えるコントローラーがあれば問題の多くは片付くだろう。しかし、残念ながら片手コントローラーは現状あまり流通していない。障害者向けを謳う「Xbox Adaptive Controller」も日本では手に入れにくい状態だ。モーション操作が可能でサイズが小さ目であることを考慮すると、Nintendo SwitchのJoy-Conは視野に入るかもしれない。
ゲームのバリアフリー化は、現在障害なくゲームを楽しめるプレイヤーにとっても有用な変化となる。新たなプレイヤー層の開拓は、業界にとってプラスになることはあってもマイナスになることはないはずだ。
ライター/古嶋誉幸