Nightdive Studiosは、『System Shock 2 Enhanced Edition』を開発中であることを発表した。開発中であること以外の詳細は一切不明。1999年に発売されたオリジナル版『System Shock 2』は8月11日でちょうど20周年を迎えている。
You asked for it and we are working on it… System Shock 2 Enhanced Edition coming soon!!! 💾#RetroGaming #SystemShock2 pic.twitter.com/vV5zBtUfWj
— Nightdive Studios (@NightdiveStudio) August 12, 2019
『System Shock 2』は、後に『SWAT 4』や『Bioshock』を生むIrrational Gamesと、初代『System Shock』や『Thief』を生んだLooking Glass Studiosが共同で開発したサバイバルホラーFPSだ。『Bioshock』でその名を一躍有名にしたケン・レヴィン氏がゲームデザインを担当した。
前作は巨大な宇宙ステーションを舞台にしていたが、今作は突然変異を起こしたモンスターが徘徊する宇宙船が舞台となる。プレイヤーは混乱に陥った宇宙船で辛くも生き延びたひとりの兵士として、事故を生き残り事件を解決するために奔走する。
本作は「イマーシヴシム」(没入型シム)と呼ばれるサブジャンルの作品のひとつとして知られている。定義は開発者により異なるが、より現実的で一貫したルールが支配するゲーム世界の中で、ゲームがプレイヤーに特定の行動を強制するのではなく、プレイヤーの行動によって世界が反応するゲームと説明するのが適切だろう。
たとえば初代『DOOM』では、ドアを開けるためにはマップのどこかに隠されたキーを探す必要がある。一方イマーシヴシムならば、爆弾でドアを破壊することも、ロックピックを使って開けることも、どこかに隠されたキーを見つけることも考えられる。ただし、爆弾でドアを破壊すれば音で敵に気が付かれるかもしれない。鍵を探せば道中で危険な敵に出会うかもしれない。選択にはメリットやデメリットのある結果が伴うことが多いことも特徴だ。
すでに市場にはイマーシヴシムでは『System Shock』、『Thief』といった作品が登場し、没入的な体験を与えることを目標にした作品も多数登場していた。そんな中で『System Shock 2』が後続のイマーシヴシムに強く影響を与えたのは、RPGライクな成長システムを取り入れた部分だろう。ゲーム中に手に入れたポイントで主人公のスキルを伸ばし、さらなる困難に挑戦するというゲームプレイは、『Deus Ex』を始めとしたさまざまな作品へと引き継がれていった。
Nightdive Studiosが以前リリースした『System Shock Enhanced Edition』は、1994年に発売されたオリジナル版があまりにも古いため、高解像度への対応や現代的なキーバインディングなど、オリジナルの雰囲気を損なわないが多数の改良が加えられていた。
一方、オリジナル版『System Shock 2』も同社から再販されている。操作体系は現在のFPSとほぼ謙遜なく、高解像度への対応が行われ、今なおバグフィックスがなされているなど、すでにエンハンスドエディションと名乗っても良い程の改修が行われている。『System Shock 2 Enhanced Edition』にどれほどの変更が加えられるかは、今後の発表を待ちたい。
またNightdive Studiosは、現在『System Shock』のリメイクバージョンを製作中だ。また、かつてLooking Glass Studiosに所属していたウォーレン・スペクター氏が率いるOtherSide Entertainmentが、本作の正式な続編『System Shock 3』の開発に取り組んでいる。はたして、エンハンスドエディションとなった『System Shock 2』がどのような作品となるか、今後の続報に期待したい。
ライター/古嶋誉幸