コーエーテクモゲームスとカプコンの特許侵害訴訟は最高裁判断へ。2014年から続く「前作のデータから追加データを得る機能」を巡る裁判

 コーエーテクモゲームスは9月24日、カプコンが9億8323万1115円の損害賠償を求めた特許侵害訴訟における9月11日付控訴審判決の一部を不服として、最高裁判所に上告および上告受理申立を行ったと発表した。2014年から続くカプコンとの裁判を継続する構えだ。

(画像はSteam 『真・三國無双7 with 猛将伝』より)

 この特許侵害訴訟は、コーエーテクモゲームスの『三国無双』『戦国無双』といったアクションゲームシリーズと、ホラーゲーム『零』シリーズの一部ゲームシステムが特許を侵害しているとして、2014年にカプコンがソフトの製造および販売の差し止めと賠償金を求めて大阪地裁へ提訴したことから始まった。

 カプコンが特許侵害を主張したのは、シリーズ前作のゲームデータを読み込むことでキャラクターの追加などの特典が得られる機能(特許3350773号)と、ゲーム中の特定の場面においてコントローラが振動する技術(特許3295771号)。コーエーテクモゲームスの「無双シリーズ」が前者、『零』シリーズが後者の権利を侵害していると訴えた。

 大阪地裁は2017年12月14日に第一審判決を下し、『零』シリーズにおける後者の特許侵害を認めてコーエーテクモゲームスに517万円の賠償を命令した一方で、「無双シリーズ」における特許侵害の主張については、カプコン側の請求を棄却した。

(画像は『零 ~Zero~』公式サイトより)

 その際に争点となったのは、コーエーテクモゲームスの「MIX JOY」という機能が、特許3350773号に該当するかという点だった。この機能は、『戦国無双3』『戦国無双3 猛将伝』のような連続するシリーズ作品において、後者のプレイ中にゲームディスクを交換して前作のディスクを読み込ませると、セーブデータやストーリーを引き継いで、それら2作品をまとめて遊べるようになるという特典である。

 コーエーテクモゲームスは、この特許3350773号をファミコン時代から使われている既存の機能とし、カプコンの特許は無効であると主張していた。大阪地裁の資料によると、ファミリーコンピュータ用ソフト『魔洞戦記DD I』『勇士の紋章DD II』は共に「ディープダンジョンシリーズ」と呼ばれる連続作品であり、その中には前者でレベル16以上に育てたデータを後者のゲームプレイで入力すると、レベル2の状態でスタートできるほか、特定の場面で入手アイテムの数が増えたり、通常とは異なるメッセージが表示されたりする機能があった。これを大阪地裁は特許3350773号に該当すると判断し、原告の主張を退けた。

 カプコンは判決を不服として、2017年12月27日に知的財産高等裁判所へ控訴した。その結果は、2019年9月11日付の判決でカプコンの勝訴。知的財産高等裁判所は、『戦国無双3 猛将伝』や『真・三國無双3 猛将伝』をはじめとする6作品における特許侵害を認め、コーエーテクモゲームスに対して1億4384万3710円の支払いを命じた。

 コーエーテクモゲームスは声明の中で、本件判決には法令解釈および適用の誤りがあり、上級審の判断を仰ぐべきであると主張。一部判決の破棄を求めていくとしている。なお、いずれの機能や技術も、2014年の段階で出願から20年が経過しており、特許の期限が切れているため、最終的な判決により該当するゲームソフトの販売中止へつながるような、消費者への直接的な影響はないとみられる。

ライター/Ritsuko Kawai

ライター
Ritsuko Kawai
ライター・ジャーナリスト。カナダで青春時代を過ごし、現地の大学で応用数学を専攻。帰国後は塾講師やホステスなど様々な職業を経て、ゲームメディアの編集者を経験。その後、独立して業界やジャンルを問わずフリーランスとして活動。趣味は料理とPCゲーム。ストラテジーゲームとコーヒーが大好き。
 
Twitter: @alice2501
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