ソニー・インタラクティブ・エンターテインメント(SIE)が、人工知能を使ったPlayStation向け音声サポートシステムの特許を出願していることが、特許データベース検索サービスPATENTSCOPEの情報から明らかになった。
この技術は、PlayStationの電源を付けたりゲームを起動したりといった音声アクティベーションではなく、ゲーム内のコンテンツをAIが認識した上で、ユーザーのゲームプレイを直接アシストしてくれるというもの。
たとえば、オープンワールドRPGをプレイ中にPlayStationに話しかけて、特定のモンスターの倒し方や武器の入手場所、目的地への移動経路などを尋ねると、プレイヤーの音声とゲームコンテンツを同時に認識して、適切なアドバイスをくれるという仕組みだ。
特許データベースのサンプル画像からは、「PlayStation Assist」という名称に加えて、『The Elder Scrolls V: Skyrim』における音声サポートを想定したイメージが確認できる。
近年、スマートフォンやスマートスピーカーの普及によって、音声認識という技術が以前より身近な存在になったとはいえ、ユーザーの意図を言葉から抽出させることを目的とした自然言語理解は、依然としてコンピュータビジョンやチューリングテストと並ぶAI完全問題として、相対的に不完全であり続けている。
今回の特許技術では、インプットとなるコンテキストデータをグローバルコンテキスト(ユーザーの質問内容など)と、ゲームコンテキスト(アイテムの場所やモンスターの弱点など)としてバックエンドサーバで別々に認識し、それをディープラーニングでAIに学習させている。これを基に、ユーザーに関する統計とゲームモデルの情報を独立したデータベースとして構築する仕組みのようだ。
最近のGDCやCEDECでは、ディープラーニングを活用したゲーム開発ツールや、自然言語処理を使ったゲームプレイの研究が大いに注目されている。あらゆるゲームを認識して的確なアドバイスでプレイヤーを支援してくれる汎用型の音声サポート機能が実現したら、ゲーム体験そのものが劇的に変化することは間違いないだろう。
ライター/Ritsuko Kawai