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宇宙探索ゲーム『Elite Dangerous』のタイムアタック記録を大学教授が更新。グラフ理論を用いたルート検索プログラムで2200光年をひとっ飛び

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 『Elite Dangerous』でもスピードランが行われている。銀河を股に掛けた、文字通り壮大なレースだ。
 レースの舞台となるコースは、太陽系から22000光年離れたコロニア星系だ。新たなワールドレコードは1時間38分11秒。これまでの最速はCMDR St4r Fox氏の1時間50分32秒だったが、約12分も記録が更新された。

 記録を更新したのはCMDR Steve Falkenことケビン・ハムレン博士と6歳になる息子のウィル君だ。ハムレン氏は、テキサス大学ダラス校のコンピューターサイエンスの教授を務めている。このニュースを報じたのも、テキサス大学ダラス校の公式サイトだ。

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ケビン・ハムレン博士と息子のウィル君
(画像はUTDALLAS MAGAZINEより)

 記録の大幅更新は、ハムレン博士のコンピューターサイエンスの知識に基づいている。地球からコロニア星系に最速で到達するための方法は、コンピューターサイエンスで教えている有名なグラフ理論が利用できたという。
 グラフとは、複数の点とそれらをつなぐ線を指す概念であり、グラフの持つさまざまな性質を分析するのがグラフ理論だ。博士はグラフ理論の中でも、点がどこからどこへとつながっているかも考慮する有向グラフが利用できると考えた。

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(画像はSteam『Elite Dangerous』より)

 博士は星図データをダウンロードし、惑星同士のつながり方をグラフ理論に当てはめ、グラフ理論を使って最小コストで目的地に到達できるルートを検索するためのプログラムを組んだ。大雑把に言えば、銀河版の「乗り換え案内」プログラムを作ったと言えばわかりやすいだろう。

 既知の中性子星を含む130万を超える惑星をスーパーコンピューターではなくデスクトップPCで分析するため、数多くのアルゴリズムとプログラミングのトリックを使ったという。その中にはヒープデータ構造の一対比較、高速でデータをバッファリングするためのメモリマップファイル、最新のIntelプロセッサで利用可能なベクトル演算などが含まれている。

 これらを利用して4時間ほどで22000光年を1分で解析できるツールを制作した。後は実際に太陽系を飛び立ち、コロニア星系へと向かうだけだ。コパイロットのウィル君はルート修正の指示を出す二人三脚のフライトとなった。結果は前述の通り、世界記録を塗り替えることになった。

 4日前にハムレン博士は自身の記録をさらに破っており、新たに1時間29分の記録を達成した。この記録は上記のアプローチをさらに洗練したもので、おそらくこれが博士が達成できる最高の記録だろうと語っている。

ライター/古嶋誉幸

ライター
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一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
Twitter: @pornski_eros

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