PlayStation.Blogは12月23日(月)に記事を更新し、『鉄拳』シリーズ、『ゴッド・オブ・ウォー』、『モンスターハンター』シリーズ、『MediEvil』の4作品で、PlayStationを代表するキャラクター達の頭部に使用されたポリゴン数についてまとめている。また、各タイトルで開発に携わったスタッフが、ディティールについてコメントや解説を寄せている。
初めに、『鉄拳』シリーズの主人公「三島一八」。PlayStation版の『鉄拳』(1995年)では、推定で100以下のポリゴンしか使用されていなかった。
一方で、最新作のPlayStation 4版『鉄拳7』(2017年)では、顔に2,800、髪と口内を含めれば6000ものポリゴンが使用されており、歴然とした差を感じられる。『鉄拳7』プロデューサーのマイケル・ムレイ氏は顔のしわや傷を表現することにより、「より正確に一八の人物像を映し出し、彼の物語を表現することができるようになった」とコメントした。
次に『ゴッド・オブ・ウォー』の主人公、「クレイトス」の頭部に使われたポリゴン数が比較されている。PlayStation 2向けに発売された初代『ゴッド・オブ・ウォー』(2005年)では1200のポリゴンが使用されていたのに対し、PlayStation 3の『ゴッド・オブ・ウォーIII』(2010年)では5700、そしてPlayStation 4版『ゴッド・オブ・ウォー』(2018年)では32000個までポリゴンが増やされている。
サンタモニカスタジオでアートディレクターを務めているラファエル・グラセッティ氏によると、これまで使用してきた技術から大きく進歩させるために、クレイトスのモデルを一から作り直したという。PlayStation 4の表現力では、筋肉の細かな動きやしわ、毛穴を再現できるようになったそうだ。
3番目と4番目のキャラクターは、『モンスターハンター』シリーズから空の王者「リオレウス」と、ネコの姿をした獣人「アイルー」。PlayStation 2向けに発売された初代『モンスターハンター』(2004年)では、リオレウスは1,390、アイルーは144しかポリゴンを使用していない。
初代の開発時より、「硬質な物は硬く、生物はより生物らしく」を目標に制作が進んでいたが、当時の技術では細かい質感や光の当たり方はテクスチャーとして貼り付けることしか出来なかったと、『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(2019年)でエグゼクティブディレクターとアートディレクターを兼任する藤岡要氏は語る。
しかし、PlayStation 4では光の当たり方が自然になり、生物にとって重要な目の光反射など、生命感のある表現が出来るようになったという。頭部に使用されているポリゴン数もリオレウスで11274、アイルーで7852となっている。
最後に、2019年のハロウィーンにおよそ20年ぶりの復活を遂げたアクションアドベンチャーゲーム『MediEvil』(メディーバル)だ。PlayStation向けに発売されたリメイク前の『MediEvil』(1999年)では、主人公の騎士「ダン」の頭部にたった60のポリゴンしか使用されていなかった。
一方で、リメイク後の『MediEvil』では1734個のポリゴンが使用されており、Other Ocean Interactiveのアニメーターであるジャスティン・ローゼンタール・ケンブリック氏は、ポリゴン数が大幅に増えただけでなく”骨”の数が大幅に増したことにより、骸骨の騎士であるダンの感情表現をよりコミカルかつ、より豊かにできたことを冗談交じりに語っている。
ハードウェアの世代交代で進化するのは単純な処理性能だけでなく、人間のキャラクターにその世界を生きてきた歴史を刻み込み、人間以外のキャラクターであっても活き活きとした姿を表現するアートデザインの進化でもある。次世代機では一体どんなアートデザインの進化を体験できるのだろうか。
ライター/ヨシムネ