Nightdive StudiosとAlcon Entertainmentは、1997年に発売したアドベンチャーゲーム『ブレードランナー』のリマスター版を『Blade Runner:Enhanced Edition』として2020年末に発売すると発表した。海外メディアhollywoodreporterを通じて伝えている。プラットフォームはPS4、Xbox One、Nintendo Switch、PC(Steam)。
※1997年に発売されたオリジナル版のイントロ映像。映画で有名なオープニングがゲーム独自に再現されている。
本作は1982年公開の映画『ブレードランナー』に基づいた作品だ。1997年にPC用に発売されたポイント&クリックアドベンチャーで、Westwood Studiosが開発を担当。海外では100万本を超える大ヒットを記録し、ゲーム自体も高く評価されている。
ゲーム版の主人公はゲームオリジナルキャラクターのレイ・マッコイで、ストーリーは映画と同時並行的に進む。映画の舞台裏では、もうひとりの特別専任捜査官「ブレードランナー」がレプリカントを捜査していたという設定だ。映画と同じく検査装置を使ってNPCの中に潜むレプリカントを判定していくのだが、誰がレプリカントなのはゲームを開始するたびに変化する。さらにNPCはAIに基づいてそれぞれが独自の行動をしているのが特徴的だ。
ゲーム版ではハリソン・フォードこそ出演していないものの、ショーン・ヤング(レイチェル)、ブライオン・ジェームズ(レオン・コワルスキー)、ジェームズ・ホン(ハンニバル・チュウ)、ジョー・ターケル(タイレル博士)、ウィリアム・サンダーソン(J・F・セバスチャン)と、多数の映画に出演した俳優が映画と同じ役柄でボイスアクターを務めている。
またゲームのグラフィックは、レンダリングされた美麗な背景に、3Dのポリゴンキャラクターを操作する『ファイナルファンタジーVII』に似たスタイルを取っている。当時、3Dのポリゴンキャラクターは『トゥームレイダー』などのアクション・アドベンチャーゲームでは使われていたが、アドベンチャーゲームでは珍しかったため、「リアルタイム・3Dアドベンチャーゲーム」と宣伝された。
実は本作は長らく「幻のゲーム」と呼ばれていたことがあり、海外の「移植して欲しいアドベンチャーゲームランキング」ではつねに上位に君臨してきた歴史がある。開発当時から現在まで権利関係が複雑であったほか、Westwood Studiosが移設する際にソースコードが紛失していたため、移植が困難という問題があった。
だがファンの長い熱望のかいあって権利関係をクリアし、ソースコードの問題はScummVMを用いて製品の動作原理を解析するリバースエンジニアリングで8年間かけて移植に成功。2019年末、オリジナル版はGOG.comで発売されるに到った。
今回の『Blade Runner:Enhanced Edition』は、その移植作に基づいて、Nightdive Studiosの「KEXエンジン」で構築される。ムービーシーンはアップデートされ、画面サイズはワイドスクリーンに対応するという。
なおオリジナル版は全編音声のみで字幕機能は存在しておらず、当時国内では日本語マニュアル版が発売されるにとどまっていた。今回のリマスター版でそういった機能が追加され、プレイする敷居が下がることにも期待したい。あわよくば、そこから伝説のゲームの日本語版がリリースされるまで繋がれば幸いだ。
ライター/福山幸司