香川県が4月1日に施行した「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」(以下、ゲーム規制条例)を違憲であるとし、高松市の高校生とその母親が県を相手取って国家賠償請求訴訟の準備を進めていることが明らかとなった。KSB瀬戸内海放送が報じている。
中心となっているのは2020年1月、ゲーム規制条例に反対する署名をインターネットで募り、595人分を県議会に提出した渉氏。まだ未成年のため、氏の母親とともに原告になる予定だ。訴訟費用は県内外問わず賛同者を募り、クラウドファンディングを利用して集めるという。
訴訟の代理人は、憲法や人権に関わる裁判を多く手掛ける岡山市の作花知志弁護士が務める予定だ。作花弁護士はこの条例について「地方公共団体は『法律』の範囲内で条例を制定できる」とした憲法94条に違反すると主張している。
ゲーム規制条例は、かねてより科学的根拠が無いことや個人の尊重を定めた憲法13条に違反する可能性があることなど、複数の問題点が指摘されていた。作花弁護士はこの点でも条例の問題を追及するという。
この訴訟が実現すれば、この条例が違憲であるかどうか、司法の判断が下されることになる。
また、共同通信では、賠償金は154万円と報じられている。しかし、渉氏の狙いはこの訴訟で問題提起をすることが大きな比重を占めているようだ。KSB瀬戸内海放送に対し、「現役高校生である僕が、香川県を相手取って裁判を起こすことで社会的インパクトっていうのが大きいと思ったんで、誰かにやってもらうっていうよりかは自分でやるっていう思いが強かったです」と語っている。
西川昭吾香川県議会議長は以前この条例に対し、「議決の時は、意見が煮詰まっておりましたし、可決された条例でありますので、これ以上の議論は必要ないと認識しております」との見解を示していた。
共同通信によると、今回の訴訟に対し香川県は「提訴の情報が来ておらず、よく分からない」と答えている。
ライター/古嶋誉幸