PCゲーム配信プラットフォームSteamでは、900本以上のゲームの体験版が遊べる1週間限りのイベント「Steamゲームフェスティバル」が開催中。体験版は期間限定で公開されており全てのゲームを遊び尽くすのは難しいが、そんな中でも特にオススメのゲームが『Fae Tactics』だ。
同作は、ドット絵のグラフィックが懐かしいシミュレーションRPG。アメリカニューヨークのデベロッパーEndlessfluff Gamesの作品ではあるものの、体験版の時点で丁寧な日本語化もされており、英語が苦手でも安心して遊べる作品となっている。
2Dピクセルアートが美しい『Fae Tactics』だが、本作でもっとも面白いのはやはり敵との戦闘だ。戦闘は「メニューレス」を特徴としており、一般的なRPGにおけるキャラクターメニューを開いて魔法を選択し「ファイアー」や「サンダー」を選ぶ……という操作は存在しない。
各キャラクターには攻撃、支援、待機の3つの行動にそれぞれスキルが設定されている。敵をクリックすれば攻撃、味方をクリックすれば支援スキルが発動するといった具合に、ほぼ完全にマウスを操作する片手だけでゲームがプレイできる。
各キャラクターの行動は3種類だけとシンプルではあるが、8つの属性の相性や地形効果、スキルとは別に持ち込める強力な魔法など、戦闘を優位に進めるためには他の要素も考慮する必要がある。たとえば倒すことが勝利条件のボスが複数いる場合は、獲得経験値を増やすなら倒すタイミングにも気を使わなければならない。
一度の戦闘には3人のリーダーと、それぞれのリーダーが召喚するユニットが3人ずつ参加できる。つまり、最大でも12名までしか戦闘に参加できない。
召喚ユニットにはそれぞれに必要なコストが設定されており、各リーダーには召喚できるコストの上限が決められている。召喚ユニットのコストが上限をオーバーするようであれば、2体以下しか呼び出せない。
体験版ではコスト1のユニットが2体、コスト2のユニットが4体の全6体が仲間になることを確認したが、リーダーの召喚可能なコストの上限は常に3で成長しなかった。
コスト1のユニットが3体仲間になれば上限の3体まで召喚できたのだが、体験版ではコスト2のユニット1体とコスト1を1体か、コスト1のユニットを2体しか召喚できない。個性豊かなユニットばかりなので選ぶのは楽しいが、柔軟な自軍制作を体験するには製品版を待つしかないようだ。
近接攻撃ユニットは隣接する敵ユニットが攻撃された場合、ほかのユニットがその敵ユニットを攻撃した際に追加で攻撃を行う「コンボ」が発生する。マップには宝箱やアイテムも置かれているので、ユニットごとにできることが少ない分、どのタイミングでユニットを展開させるか考えるのもなかなか楽しかった。
魔法世界と自然界のふたつの世界が衝突し、大地は荒廃。混乱の中わずかに生き残った人々はがれきのなかで生活している。ふたつの世界の住人は徐々に緊張感を増し、紛争が起きている世界だ。『Fae Tactics』は『ファイナルファンタジータクティクス』に強く影響を受けており、ストーリーの端々に不穏な空気を感じる。
そんな世界をふたりのお供と古ぼけたバイクで旅する主人公の少女ピオニーは、さまざまな人々と出会い、多くの紛争に関わることになる。ゲームには「The girl who destroy the world.」(世界を破壊した少女)と、気になる副題もつけられている。
体験版でピオニーの仲間になるのは、それまでに敵対したキャラクターもいる。種族間のいさかいを乗り越え少しずつ仲間を増やす彼女は、どのように世界を破壊することになるのだろうか。
ゲームは前述の通り丁寧に日本語化されており、「オウサ道」や「ラクセキ渓谷」といった地名やお供の「パヤチン」など、初めから日本語だったのではと思わせられる固有名詞が登場する。少なくとも体験版の日本語訳は、キャラクターの口調にも気が配られているため違和感は感じなかった。
文章がクリックしても一括表示されないことなど、小さな不満はあるが、全体として戦闘は楽しく物語は続きが気になるものになっている。ドット絵のアニメーションも可愛らしいので、動きを見ているだけでも楽しい。
「Steamゲームフェスティバル」は、日本時間6月23日午前2時まで。たくさんの体験版の山に何をやろうか迷ったなら、『Fae Tactics』をダウンロードしてみて欲しい。
<p>
</p>ライター/古嶋誉幸