Epic Gamesは、PCゲーム配信プラットフォームであるEpic Games StoreのMAU(月間アクティブユーザー数)が6100万人、平均ピーク同時接続ユーザー数は1300万人を超えるなど、新たなマイルストーンを達成したことを発表した。GamesIndustry.bizをはじめとする海外メディアがこの話題を報じている。
この躍進は『グランド・セフト・オートV』や『シヴィライゼーション VI』、ふたつのシリーズ作品を楽しめる『Borderlands: The Handsome Collection』など、大人気ゲームを無料配布した「The Vault」キャンペーンが大きな効果を上げた成果だ。
Epic Games Storeは、業界の一般的な利益配分率である“30対70”の比率に異を唱え、デベロッパーに有利な“12対88”の割合で運営されるデジタルゲーム配信プラットフォームだ。
デベロッパーに対して好条件を提示する一方、業界トップシェアを誇るSteamで発売を予定していたゲームを買い上げ、一方的にEpic Games Store専売にする行為はユーザーからの大きな反感を買っていた(あくまでEpic Gamesは専売を強制しておらず、専売はあくまで売り手の判断だとしている)。
今も新作ゲームのEpic Games Store専売に失望の声は見られるものの、直近では前述のような大型タイトルの無料配布を中心にして少しずつ浸透しており、月間アクティブユーザー数が6100万人に届くほどの広まりを見せている。
海外メディアGame Spotのインタビューによれば、Epic GamesのCEOであるティム・スウィニー氏は「ゲームを無料配布したあと、Steamやコンソール向けに配信している同じ会社の作品の売上が増加している」ことを語った。無料配布によってゲームの売上が伸び、Epic Games Storeのユーザーも増えるWin-Winのサイクルができあがっているという。
現在では100本以上のゲームが無料配布され、すべて購入した場合の総額は20万円を超えている。
同時接続数という観点ではSteamの背中が見えてきたが、数字が並ぶのはもうしばらく掛かりそうだ。Steamは4月に、これまでの最高記録を塗り替えるピーク同時接続ユーザー数2450万人超を記録した。
記事執筆時点でSteamの同時接続ユーザー数は約1375万人。過去48時間の最も少ない時間帯でも1300万人を下回ることはない。それでも、Epic Games Storeのサービス開始からわずか1年半ほどでの成長と考えれば、めざましい結果だといえるだろう。
熾烈なシェア争いが行われているPCゲームデジタル配信プラットフォーム。この競争が業界の変化を促し、ユーザー、販売者、プラットフォームホルダーにとって良い変化を生み出してくれることを願うばかりだ。
ライター/古嶋誉幸