パブリッシャーのIceberg Interactiveは、ベルギーのゲーム開発会社LuGus Studiosの開発するハッキングをテーマにした物語主導のRPG『Midnight Protocol』を発表した。 対応プラットフォームはPC(Steam)。対応言語は英語。2021年夏に発売予定で価格は未定だ。
『Midnight Protocol』は近未来を舞台にしたハッキングRPGだ。主人公はさらし行為で身分が明かされた著名なハクティビスト(インターネット上の政治活動家ハッカー)の「データ」。その活動からか、政府の一部門から脅迫を受けている。プレイヤーはそんなデータとして、キーボードだけを必要とするホームターミナルから世界中の情報にアクセスし、ネットの海でハッカーとして思うまま行動することになる。作品全体では労働の自動化、ビッグデータ、物議を醸すAI技術、法的グレーゾーン、曖昧なオンラインでのアイデンティティなどをテーマにしている。
ゲームは複雑なハッキングメカニズムを用いず、デジタル戦争に没頭することを目的に設計されている。インターフェースは架空のOS「mOS」になっており、Eメールを見るときはキーボードの「E」を押すなど、すべての行動はほぼキーボードコマンドに設定されている。ノードからお金を奪う「drain」コマンドや、追跡をかわすために「cloak」コマンドなど、キーボードをたたいてセキュリティプロトコルを外したり、回避したりしながら違法合法問わずさまざまなデータにアクセスする。やがてタイプ音までBGMの一部になるだろう。
ハッキング戦はターンベースで落ち着いて遊ぶものと、少し慣れたプレイヤー向けにリアルタイムのものがオプションとして用意されている。キーボードを打ってコマンドを入力することに慣れたら、リアルタイムに切り替えることでハッカーの戦いらしい緊迫したタイピング合戦が楽しめる。
さまざまなサイドクエストも用意されており、ハッキングを通してミッションの前にターゲットの情報を集めたり、ハッカーチェスに興じたりと、オプションとなるコンテンツも多数収録されている。
他人のプライバシーを尊重するか、それとも侵害するか。ホワイトハットハッカーとして警察と協力し、悪事を働くハッカーを追い詰めることもできる。一方でブラックハットハッカーとして他人のプライバシーを侵害し、脅迫してお金を得ることも可能だ。それらの選択はプレイヤーのオンライン上での評価につながっていく。
ハッキングには綿密な計画も必要だ。サイバーセキュリティと戦うためのアイテムはブラックマーケットで調達し、自分だけのハッキングデッキを構築する。
かなりの量の英文が登場すると予想されるため、苦手な方はかなり厳しいかもしれない。しかし緊張感あふれるタイピングバトルは、サイバーパンク名ハッカーバトルの真骨頂ともいえる面白さを秘めている。辞書片手にがんばりたいタイトルだ。なお現在Iceberg Interactiveは、ゲームを抽選でプレゼントするキャンペーンも実施中となっている。
ライター/古嶋誉幸