Meta(旧Facebook)は11月17日(水)、仮想空間内で体験した重さや感触などの触覚情報を現実にフィードバックするグローブ型デバイスの試作版を公開した。ARやVRに特化した同社の研究部門「Reality Labs」が開発する。
How do we touch the virtual world? Our Reality Labs team is working to create the technology to make it possible. Today we shared some progress in researching and developing haptic gloves to bring the sense of touch to the metaverse. Check it out https://t.co/MliVQQdtfs pic.twitter.com/mdOsMwXE5Q
— Meta (@Meta) November 16, 2021
10月末の社名変更が大きく報じられ、メタバース(仮想空間)事業への進出が注目を集めるMeta。業界トップクラスのシェアを誇る、同社のVRヘッドセット「Oculus」もブランド名を「Meta」へと変える方針が明かされており、イメージを刷新して本格的な展開に乗り出す構えをみせた。
今回披露された「触覚グローブ」には、多数のセンサーと電気信号によって動く装置「アクチュエータ」が搭載されている。仮想オブジェクトの圧力や振動、テクスチャといった情報を感知し、アクチュエータが装着者への手へと反応を伝えることで、デジタル世界の体験が触覚を通じてリアルに感じられるようになるのだ。
この革新的技術によって、バーチャルな空間はさらなる拡張を遂げる。遠く離れた相手とも互いに触れ合う感覚を共有し、握手や指相撲で心を通わすのも不可能ではない。ジェンガの繊細なバランスを指先で確かめつつ遊ぶことすらできる、まさに夢のテクノロジーと呼んでよいだろう。
本プロダクトの開発は7年前から進められており、長時間の使用にも耐えられるよう、素材や製造技術を独自に作り上げたという。感覚をレンダリングするためのソフトウェアや、世界初の「高速マイクロ流体プロセッサ」を構築し、ミリ単位のアクチュエータの制御を実現するなどゼロベースで研究が重ねられている。
プロジェクトの発起人でもあるリサーチディレクターのショーン・ケラー氏は「まだ発売段階ではない」と述べているが、Metaが2021年に年間100億ドル(約1兆1,400億円)以上をメタバース事業に投資する力の入れようを考えると、私たちが実際に触れられる日もそう遠くないのかもしれない。発売されればゲームにおける没入体験が一段と深まることから、製品化を楽しみに待ちたいところだ。