ワルシャワ大学のポーランド地中海考古学センターは、12月末にオマーン北部のクマイラ渓谷で行われていた考古学的な調査で、4000年前のボードゲームを発見したと発表した。
今回の調査は、ワルシャワ大学地中海考古学ポーランドセンターのピョートル・ビエリンスキ教授と、オマーン国遺産観光省の古代局長スルタン・アル・バクリ博士が共同で率いる、オマーンとポーランドの共同プロジェクトによって行われた。
もともと調査隊は青銅器時代〜鉄器時代の集落を中心に調査しており、北、東、西に遺跡がある重要なルートの分岐点を調査していた。ここは北オマーンの「ウンム・アン=ナール文化」に属する遺跡が集中している場所だったので、あたりをつけて調査していたという。
結果的に青銅器時代の集落や塔、銅の精錬の証拠を発掘し、そしてそのなかに4000年前のゲーム盤を発見したという。
発見されたゲーム盤は、石でできておりフィールドの上に小さな穴が規則的に配置されている。また近くにはカップホールがある。古代のゲーム盤にはさまざまな形態があるが、フィールドの形状から現代でも遊ばれている「マンカラ」か「すごろく」の原型と推測できそうだ。
「マンカラ」はアフリカや中近東、東南アジアなどなど幅広い場所とバリエーション、名称で遊ばれているゲームで、任天堂の『世界のアソビ大全51』でも取り上げられており、しばしば「世界最古のボードゲーム」とも紹介されることがある。
また「すごろく」の原型となる古代のゲームとしては、古代エジプトの「セネト」や「メヘン」、古代メソポタミアの「ウル王朝のゲーム」などが代表的だ。それぞれのゲームは遊びではなく「祭礼」として用いられていたようだが、セネトは広く出土しており、遊びにおいても用いられていたと考えられている。
記事によるとコマは出土しなかったようで、壊れてしまったか、木の実や小石を使っていたことも十分考えられる。こうした古代のゲームはルールが書かれたものが出土するのは極めて稀なので、ゲームが具体的にどのようなものだったかを判断するのは難しい。
今後さまざまな場所でゲーム盤が発見され、より体系的な事実が判明することに期待したい。