いま読まれている記事

「4000年前のボードゲーム」がオマーン北部の遺跡から発見。「マンカラ」か「すごろく」の原型か

article-thumbnail-220128q

 ワルシャワ大学のポーランド地中海考古学センターは、12月末にオマーン北部のクマイラ渓谷で行われていた考古学的な調査で、4000年前のボードゲームを発見したと発表した。

「4000年前のボードゲーム」がオマーン北部の遺跡から発見。「マンカラ」か「すごろく」の原型か_001
(画像はQumayrah Valley in Oman: ancient towers, copper trade and gamesより)

 今回の調査は、ワルシャワ大学地中海考古学ポーランドセンターのピョートル・ビエリンスキ教授と、オマーン国遺産観光省の古代局長スルタン・アル・バクリ博士が共同で率いる、オマーンとポーランドの共同プロジェクトによって行われた。

 もともと調査隊は青銅器時代〜鉄器時代の集落を中心に調査しており、北、東、西に遺跡がある重要なルートの分岐点を調査していた。ここは北オマーンの「ウンム・アン=ナール文化」に属する遺跡が集中している場所だったので、あたりをつけて調査していたという。

 結果的に青銅器時代の集落や塔、銅の精錬の証拠を発掘し、そしてそのなかに4000年前のゲーム盤を発見したという。

 発見されたゲーム盤は、石でできておりフィールドの上に小さな穴が規則的に配置されている。また近くにはカップホールがある。古代のゲーム盤にはさまざまな形態があるが、フィールドの形状から現代でも遊ばれている「マンカラ」か「すごろく」の原型と推測できそうだ。

「4000年前のボードゲーム」がオマーン北部の遺跡から発見。「マンカラ」か「すごろく」の原型か_002
(画像はQumayrah Valley in Oman: ancient towers, copper trade and gamesより)
「4000年前のボードゲーム」がオマーン北部の遺跡から発見。「マンカラ」か「すごろく」の原型か_003
(画像は世界のアソビ大全51:誰かに言いたい 世界のアソビ裏話 | Nintendo Switch | 任天堂より)

 「マンカラ」はアフリカや中近東、東南アジアなどなど幅広い場所とバリエーション、名称で遊ばれているゲームで、任天堂の『世界のアソビ大全51』でも取り上げられており、しばしば「世界最古のボードゲーム」とも紹介されることがある。

 また「すごろく」の原型となる古代のゲームとしては、古代エジプトの「セネト」や「メヘン」、古代メソポタミアの「ウル王朝のゲーム」などが代表的だ。それぞれのゲームは遊びではなく「祭礼」として用いられていたようだが、セネトは広く出土しており、遊びにおいても用いられていたと考えられている。

 記事によるとコマは出土しなかったようで、壊れてしまったか、木の実や小石を使っていたことも十分考えられる。こうした古代のゲームはルールが書かれたものが出土するのは極めて稀なので、ゲームが具体的にどのようなものだったかを判断するのは難しい。

 今後さまざまな場所でゲーム盤が発見され、より体系的な事実が判明することに期待したい。

ライター
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

Amazon売上ランキング

集計期間:2024年4月18日12時~2024年4月18日13時

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ