原木シイタケの種菌が付いた木を、ハンマーで一定数叩くことで収量が倍増する方法が発見され話題となっている。発生の効果や条件は明らかとなっているものの、そのメカニズムについて詳しい情報は分かっておらず、ネット上では「キノコ増殖バグ」と呼ぶ声が数多く寄せられ注目を集めているようだ。
本現象は、大分県豊後大野市に拠点を置く農林水産研究指導センターによって公開されたもの。シイタケは栽培時に種菌を付着させる「ほだ木」へ振動を与えると収量が増えることで知られているが、同センターは経験的に共有されていた発生条件を分析してそのプロセスを発信している。
具体的な方法としては、キノコの菌糸が集まってできる「子実体」が発生する約2週間前に、ほだ木へ散水したのちハンマーで木の表裏を5回ずつ計10回叩くことで効果を発揮する。品種「もりの春太」を使った実験では、木口よりも樹皮を叩く方がより多くのシイタケを発生させるのに成功したという。
『日本農業新聞』が報じた今回の一件に対し、ゲーム好きなネットユーザーたちがTwitterを中心に大きな反応を示した。ハッキリとは分からないものの何かしらの法則が存在しているという点で、得体の知れない裏技が発見されたかのような謎めいた魅力が多くの拡散へとつながったのだろう。また、なかにはバグや裏技といった投稿以外にも、「叩けばキノコが出るという原理は『スーパーマリオ』シリーズで確認済み」といったユニークなコメントもみられた。
近年では2月から4月の時期にかけて、温暖化の影響などから低温性シイタケの収量が減少する傾向にあるという。センターは生産者の所得改善への狙いを期待するとともに、「叩く強さや仕組みの解明に取り組んでいきたい」と抱負を述べている。