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メタ要素満載アドベンチャー『The Stanley Parable』開発スタジオが「存在しない記憶」を見せつける謎のツイートで作中の記念日を祝う。投稿の真偽をめぐって揺れるタイムライン

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 メタ要素満載のアドベンチャーゲーム『The Stanley Parable』の開発を手がけるCrows Crows Crowsは海外時間2022年2月16日(水)、作中のマルチエンディングのひとつに描写される特定の日付を迎えたとして、現実世界との一致を記念するツイートを投稿した

 「おめでとう!」「ついにこの日が…」といった多数のお祝いコメントとともに、執筆時点で1万リツイートを超え拡散されつつある同ツイート。しかしながら添付画像に記された日付が実際にゲーム本編で登場するのかについては真偽が確認されておらず、タイムライン上ではTwitterユーザーたちが各自の持論を展開し物議を醸しているようだ。

 『The Stanley Parable』は2013年に正式リリースされた、ナレーションの指示を聞きながら謎に包まれたオフィス空間を探索するアドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公のスタンリーを操作して、ときにナレーションの意図に反する行動を取りつつ、彼が置かれた状況にまつわる真実を追い求めていく。

『The Stanley Parable』考察を呼ぶエンディング描写ツイートが投稿される_001
(画像はSteam『The Stanley Parable』より)
『The Stanley Parable』考察を呼ぶエンディング描写ツイートが投稿される_002
(画像はSteam『The Stanley Parable』より)

 本作にはさまざまな仕掛けが用意されており、それぞれの展開に応じた結末をプレイを通して繰り返し体験することが重要なデザインとして組み込まれている。今回のスタジオ公式Twitterアカウントによる投稿は、その一種である「Coward Ending(臆病エンド)」に由来したもの。

 同エンドでは、ゲームのスタート地点であるスタンリーの仕事部屋から通路へと踏み出す前に、ドアを閉めることでフラグが成立する。待ち受けている冒険を拒絶するかのような意気地のなさを戒めるように、ナレーションの語りが「Stanley Waited. Hours passed. Then days. Had years gone by? He had no longer had the ability to tell.」と続く。

『The Stanley Parable』考察を呼ぶエンディング描写ツイートが投稿される_003

 要約すれば「スタンリーは部屋でいつまでも待ち続け、どのぐらいの年月が経ったか分からなくなってしまった」という後味の悪いエンディングだが、確認のためあらためてプレイをしてみたところ、この次に「Stanley waited until February 16, 2022」という発言が登場する場面は見受けられなかった。念のため弊誌編集部の既プレイヤー組にも尋ねてみたが、「2022年2月16日」という日付への言及を記憶している者は誰ひとりとしていないとのこと。

 Crows Crows Crowsはこれまでプロモーションにおいてもユーザーを煙に巻くようなメタ的要素を交えてきた背景や、件の投稿に続け、再三にわたりリリース延期が伝えられているリメイク版『The Stanley Parable: Ultra Deluxe』紹介ツイートを行っている点などを踏まえれば、自虐を込めたセルフパロディではないかとの解釈も可能だ。

 だが一方で本作には、「5年間一切プレイをしないこと」「火曜日に24時間ゲームを起動し続ける」といった、常識はずれな実績が含まれているのも事実である。「確かにこのシーンは存在する」と主張するTwitterユーザーも一定数おり、スタンリーを操作するプレイヤーと同様、どの声に耳を傾けるかは私たち自身の選択に委ねられているとも言えるだろう。

ライター
フリーランスの翻訳者を経て、2021年より編集アシスタントとして加入。京都の町屋で猫と暮らす。
Twitter:@dashimaruJP

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