Epic Gamesによる最新ゲームエンジン「Unreal Engine 5」を使って日本のとある駅を再現した3D映像が、「ほぼ実写にしか見えない」と話題となっている。海外のアーティストが手がけた個人制作の動画ながら、YouTubeの投稿は3日で7万回再生を超えるなど多くの注目が集まっているようだ。
富山県射水市にある「越中大門駅」を再現した本動画は、3Dモデルのデザインを仕事とするLorenzo Drago氏の手によるもの。スマートフォンで撮影した映像風の、人の気配がない駅構内のホームを収めた場面が現実と見まがう圧巻のクオリティで描かれている。
昼と夜で変化する奥行きあるライティングやガラスに映る反射の具合をはじめ、解像度の高さは細部まで行き届いており、移動にあわせて自然に揺れ動くカメラを通じた視点の描写も、事実を知らなければ実際に撮影された動画だと信じ込んでしまいそうだ。
前バージョンの公開から8年もの期間を経て4月に正式リリースされたばかりのUnreal Engine 5だが、今回制作された映像では同エンジンを特徴づけるふたつの新機能「Lumen」と「Nanite」のうち、片方しか用いられていないという。
周囲の環境に応じた自然な間接光を表現するLumenは使っているものの、多数のポリゴンで構築された映画仕様のアセットを品質やフレームレートを維持しながら組み込むNaniteに関しては触れることなく、植物以外のモデルについてはDrago氏がすべて一からデザインを手がけたと話している。
同氏はYouTubeのコメント欄にて、制作の舞台裏も一部明かしている。作業はRyzen 7 3700XにRTX 2080と数世代前のパーツを使用して行われていたようだ。また、「なぜ越中大門駅を題材に選んだのか」という点については「田舎っぽい雰囲気は好みですから。富山は行ったことないが」とコメントしている。
Unreal Engine 5の可能性に多くの期待の目が向けられた今回の動画。なおクリエイター向けプラットフォーム「ArtStation」での投稿によれば、本映像の制作にはBlenderやfSpy、Substance 3D Painterといったソフトも一部使われているとのことだ。