メディアアーティストの坪倉輝明氏は5月18日(水)、カメラで映した自身の映像を3DCGと同期させ、絵画のなかへ入り込んだかのように画面内のオブジェクトに触れられるアート作品の映像をTwitterで公開した。制作にはゲームエンジン「Unity」と3DCGソフト「Blender」が使われているという。
俺が牛乳を注ぐ女だ。#Blender #Unity pic.twitter.com/VCWX7bkFhe
— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) May 18, 2022
映像内では17世紀に活躍したオランダの画家、ヨハネス・フェルメール氏による絵画『牛乳を注ぐ女』に描かれた女性とそっくりの衣装をまとって登場し、作品世界で思うがままに暴れ回る坪倉氏が登場する。
同氏は「俺が牛乳を注ぐ女だ」とのツイートに記載された文言を体現するかのごとく、画面中央の女性を突き飛ばしては代わりに勢いよく牛乳をこぼしまくる。テーブルの上に置かれたパンやカゴをおもむろに払いのけると、しまいには壁を破壊して立ち去るなどやりたい放題だ。
坪倉氏はデジタル技術を現実の体験と組み合わせ、ふたつの世界の境界を曖昧にするような作品を数多く発表している人物。2018年には総務省によるICT(情報通信技術)分野でのユニークな取り組みを支援するプログラム「異能vation」にて、子どもの車あそびをインタラクティブに拡張しプロジェクションマッピングによる視覚化を行う作品『空想ジオラマ』で部門最優秀賞を受賞した。
また同氏は、自身の全身映像を3Dスキャンして分身させたり躍らせたりする動画「【Unity】自分を3Dスキャンして遊んでみた。」でニコニコの「技術・工作部門」ランキング1位を獲得した過去も持つ。今回の投稿はUnity上でデバッグを行う冷静な表情と破天荒なアクションとのシュールなギャップも相まって、執筆時点で5万回以上のリツイート数を記録するなど多くの注目を集めている。
本作は国内の美術館で2022年夏に展示を予定しているとのこと。BlenderやPhotoshopを駆使して絵画から3Dモデルを起こした制作の舞台裏もTwitterでは明かされている。なお坪倉氏は『牛乳を注ぐ女』以外の絵画を用いたバージョンの映像制作にも意欲を示している。