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元祖メタバース『セカンドライフ』のスマホ/タブレット版ビューワーが2023年後半にリリース予定。高負荷なグラフィックの品質を維持しつつも、実機で安定動作しているテスト版の映像も公開

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 アメリカに拠点を置くLinden Labは、同社が運営する仮想空間サービス『Second Life(セカンドライフ)』について、スマートフォンやタブレット端末向けの新アプリ『Second Life Mobile』を発表した。

 発表されている対応プラットフォームはiOS/Androidで、2023年後半にベータ版をリリースする予定としている。

 『セカンドライフ』は、2003年にサービスを開始したインターネット上の仮想空間(メタバース)だ。

 アバターや衣服、家具をはじめとする多彩なアイテムをユーザー独自に制作できるほか、アイテム・土地の売買やゲーム内通貨の現金化など、自由度の高さや独自に構築された経済圏の存在が大きな特徴となっている。

 仮想空間サービスにおける現在の主流である『VRChat』のように、日本でも大手企業や大学などの企業・機関が参入していた時期もあったものの、当時は快適な動作のために要求されるPCスペックの高さなどから、一般人が参入するハードルは非常に高かった。

 日本国内では“失敗したゲーム”の印象が強い『セカンドライフ』だが、アメリカの大手テレビ局・NBCの元シニア・ビジネス・レポーターのベン・ポプケン氏が2020年6月に投稿したツイートによれば、2020年に入ってからアクティブユーザー数は「70万人から90万人」に達しており、最盛期であった2007年当時の「110万人に近づいていた」という。

 日本ではすでに陰りを見せているコンテンツとしての扱いもあってか、上記の事実はあまり知られていない。

 一方、『セカンドライフ』をモバイル端末でプレイするコンセプト自体は決して新しいものではない
 というのも、『セカンドライフ』の公式Wikiに掲載されているだけでも「SpeedLight」をはじめとした数種類のモバイル向けアプリが存在していたほか、Linden Lab自社でも、OnLive【※】と呼ばれるサービスを利用したAndroid向けアプリ『SL Go』を展開していた。

※OnLive
2015年まで米OnLive社によって運営されていた登録制クラウドゲームサービス
ゲームの演算やレンダリングが、運営会社内のサーバーでおこなわれ、その結果をビデオ映像としてタブレット端末で受け取るという「Google Stadia」や「GeForce Now」に類似したもの

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(画像は『SL Go』公式ページより)

 上記の展開については大きな理由があり、『セカンドライフ』ではプレイに必要な「ビューワー」と呼ばれるクライアントソフトを2007年にオープンソース化した点があげられる。

 そして、近年でも「Firestorm Viewer」「Black Dragon」をはじめとした数多くの非公式ビューワーの開発が今なお続いているため、どのようなプロジェクトが立ち上がっていてもおかしくないのである。

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 公式発表によれば、「Second Life Mobile」ではゲームエンジンのUnityを採用しており、iOS/Androidを搭載したスマートフォンやタブレット端末を対象に開発を進めているという。

 20年近く使用されているオーパーツのようなシステムをまったく別のエンジンで動かそうという試みは一見不可能な話に聞こえるが、2023年3月には同じくUnityを使用した非公式ビューワーである「Crystal Frost」のアルファ版が公開されたばかりであった。まさに、時代が追いついた瞬間といえるだろう。

 動画内では、モバイル端末上で『セカンドライフ』上の世界やアバターが確かに表示されており、実際に移動している様子も確認できる。

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(画像はYouTube – 『Second Life Mobile – First Look』より)

 開発チームの最高マネジメント責任者であるモジョ・リンデン氏は「モバイル端末で動作させるためには、『セカンドライフ』の“美しさ”をあきらめなければならないと思っていたが、今のところ、グラフィックの忠実度についてそれほど妥協する必要はでていない」と語る。

 一部のAndroid向けクライアントは3Dの描画機能を備えていたものの、PC版に近いクオリティを出せるものは存在しなかった。今回公開された動画では、グラフィックだけでなくモバイル端末上で動かすのに十分なフレームレートを確保しているように見受けられる。

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(画像はYouTube – 『Second Life Mobile – First Look』より)

 日本ではめったに名前も聞かなくなってしまった『セカンドライフ』。20年近く続くサービスだが2016年以降、外部モデリングツールのサポートや拡張ボーンシステム「Project Bento」の登場など精力的なアップデートが実施されている。

 Unity製のビューワーによるさらなる表現力の向上や、モバイル向けビューワーの登場によってブームが再燃する可能性など、今後の展開を期待したい。

 『Second Life Mobile』は、2023年後半にベータ版をリリース予定。対応プラットフォームはiOS/Androidとなっている。

ライター
最近ゲーム業界にサメ映画ブームが来ている気が・・・え? 『スター・ウォーズ』のゲームが出すぎて手が回らない毎日。1日36時間欲しい。

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