半導体メーカーのNVIDIAは4月11日(火)、CD PROJEKT REDが開発・販売中のゲーム『サイバーパンク2077』における画質設定「レイトレーシング:オーバードライブモード」の技術デモ動画を公開した。
『サイバーパンク2077』は、ポーランドのゲーム会社CD PROJEKT REDが制作したサイバーパンク・オープンワールドRPGである。ゲームのなかでプレイヤーは巨大企業の元社員/アトランタから出戻ったストリート出身者/クランを抜けた郊外生活者、のいずれかのライフパスを持った主人公「V」を操作し、眠らない街「ナイトシティ」で様々な冒険を体験する。
今回の発表では、NVIDIAが開発・販売しているグラフィックボードのフラッグシップモデル「RTX4090」で最新のレイトレーシング技術と画質向上技術「DLSS3」を活用することで、『サイバーパンク2077』の世界がこれまでにない臨場感とともに描写される様子が映し出されている。
また、今回の発表に合わせてNVIDIAが掲載したCD PROJEKT REDの副社長ジェイコブ・ナピック氏へのインタビュー記事のなかでは、スライドを用いてオーバードライブモードによって映像にどれほどの違いが出るのかを直接比較できた。
さらに、今回の発表によれば、AI技術の発展によってフレーム生成速度が上昇し、高画質でのフレームレートの減少をさらに抑えることが可能になったようだ。映像のなかでも、街中を車で走行中のシーンにおいてFPSが15程度から120超へと飛躍的に向上する様子などが確認できる。動画全編が4K画質であることを考えると、驚異的な性能だと言えるだろう。
ちなみに、今回の発表にあるオーバードライブモードは既に『サイバーパンク2077』本編に実装されているようだ。現時点ではあくまでも“技術プレビュー”であると説明されており、プレイヤーが不具合に遭遇する可能性も残されているとのこと。PCやモニターのスペックに自信のある方ならば、これまでにないリアリティを湛えたナイトシティを散策してみても良いかもしれない。
【※更新 2023年4月18日15時15分】記事本文にてレイトレーシング技術とDLSSを混同して表記していましたが、DLSSはAI技術を活用した画質補正技術であり、レイトレーシングとは異なるもので誤りでした。訂正しお詫び申し上げます。
プレスリリース全文は以下のとおり。
『サイバーパンク2077』レイトレーシング:オーバードライブモードのテクノロジプレビューが登場し、DLSSの勢いが止まらない!
本日、待望の『サイバーパンク2077』のレイトレーシング:オーバードライブモードのテクノロジプレビューが公開され、GeForce RTX 40シリーズをお持ちの方は、DLSS3フレーム生成のパワーにより、ゲーム内のパフォーマンスを向上させることができます。
DLSSの対応は爆発的に進んでおり、『Everspace 2』と『LEAP』はDLSS2をサポートして早期アクセスを終了し、『龍が如く 維新! 極』はDLSS2によるパフォーマンスアップグレードが実施されました。
フルレイトレーシングによるナイトシティのライトアップ
CD PROJEKT REDの『サイバーパンク2077』は、最も技術的に進んだゲームの1つであり、いくつかのレイトレーシングテクノロジを使って、巨大な未来都市を信じられないほどの詳細なレベルで描画しています。今回、『サイバーパンク2077』のレイトレーシング:オーバードライブモードのテクノロジプレビューを公開することで、その水準を再び引き上げました。このモードでは、パストレーシングとして知られるフルレイトレーシングに対応しています。
『サイバーパンク2077』のレイトレーシング:オーバードライブモードのテクノロジプレビューは、フルレイトレーシングの未来を垣間見るものであり、CD PROJEKT REDと共同で、さらなるフルレイトレーシングの強化、バグの修正、パフォーマンスの最適化を行っています。
リフレクション、シャドウ、アンビエントオクルージョンなどが改善され、ビデオゲームのグラフィックスの未来を垣間見ることができます。『サイバーパンク2077』は、NVIDIA DLSS3を使用してGeForce RTXゲーマーのパフォーマンスを向上させ、フルレイトレースされたナイトシティのすばらしさを体験することができます。
RTX Inside the Game インタビュー:CD PROJEKT RED
この新モードについて、CD PROJEKT REDのバイスプレジデント兼グローバルアートディレクターのJakub Knapik氏にお話を伺いました。インタビューの全文は、『サイバーパンク2077』レイトレーシング:オーバードライブモードの記事、またはこの説明ビデオをご覧ください。
RTX ON: GeForce ゲーマーはレイトレーシングとDLSSを活用する
2018年、NVIDIAは第1世代のGeForce RTXグラフィックスカードを発売し、ゲーミングの革命を開始しました。数十年前に最初のゲームがリリースされて以来、ライティングは作り物で、シャドウ、リフレクション、およびその他の現実世界の特性を近似するために様々なハックが採用されていました。GeForce RTXはリアルタイムレイトレーシングを実現し、開発者はリフレクションやライティングをリアルにレンダリングできるようになり、ゲームをより没入感のある楽しいものにすることができました。そして、DLSS1.0で、NVIDIAは、プレイヤーがフレームレートを加速させるためのゲームを変える画期的な方法を発明しました。
2018年当時は4つのRTXゲームがあり、GeForce RTXゲーマーの37%がレイトレーシングを有効にし、26%がDLSS1.0を有効にしていました。
5年後、NVIDIAはGeForce RTX 40シリーズグラフィックスカードの提供により、RTXの第3世代をリリースしました。現在、DLSS3は、30のゲームでAIが加速するフレーム生成により、パフォーマンスを向上させています。DLSS2は、280以上のゲームやアプリで、ネイティブ解像度のTAAレンダリングと同等、あるいはそれ以上の画質でフレームレートを高速化します。NVIDIA Reflexは、70以上のゲームにおいて、システム遅延を削減し、より応答性の高い、楽しい体験を提供します。また、Shader Execution Reordering(SER)やOpacity Micromaps(OMM)、NVIDIA RTX Direct Illumination(RTXDI)、RTX Global Illumination(RTXGI)などの新しいテクノロジにより、開発者はパフォーマンスの高いフレームレートとはるかに少ない労力で素晴らしいレイトレース効果を作り出すことができます。
ゲーマーの間では、RTXが成し遂げた大きな進歩はよく知られており、最新の統合は大多数のRTXユーザーによって使用されています。数百万人のGeForce RTXデスクトップGPUユーザーのうち、40シリーズゲーマーの83%がレイトレーシングを有効にし、40シリーズゲーマーの79%がRTX対応ゲームにおいてDLSSでパフォーマンスを加速させています。
レイトレーシングとDLSSの人気と採用は、ゲーマーの28%が使用している4Kや、GeForce RTX 40シリーズのデスクトップGPUユーザーの62%が使用している144Hz以上の高リフレッシュレートのゲームモニターといった他の進歩やテクノロジを凌駕しています。
最新のDLSS2対応ゲーム:
l『Everspace 2』はDLSS2に対応し、早期アクセスを終了しました(現在発売中)
l『High on Life』がDLSS2のパフォーマンスアップグレードに対応(現在発売中)
l『LEAP』はDLSS2に対応した早期アクセスを終了しました(現在発売中)
l『龍が如く 維新! 極』はDLSS2パフォーマンスアップグレードに対応(現在発売中)
現在、280以上のDLSSで強化されたゲームやアプリが提供されており、NVIDIA DLSSが急速なペースで採用されていることは明らかです。実際、DLSS3は現在、リリースされた30のゲームでパフォーマンスを加速させており、これはリリースから6ヶ月の間にDLSS2の7倍の速さで採用されたことになります。
関連リンク
GeForce.comの本日のDLSSニュース記事:
『サイバーパンク2077』のレイトレーシング:オーバードライブに関するGeForce.comのニュース記事:
『サイバーパンク2077』|レイトレーシング:オーバードライブ Deep Dive 4K解説ビデオ:
『サイバーパンク2077』RTX Inside The Gameのインタビュー記事:
https://www.nvidia.com/en-us/geforce/news/cyberpunk-2077-ray-tracing-overdrive-mode-interview
『サイバーパンク2077』|レイトレーシング:オーバードライブ-テクノロジープレビュー公開4Kビデオ: