10月3日(金)、チェルノブイリ立入禁止ゾーンを舞台にしたゲームの最新作『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』の開発元であるGSC Game Worldの公式YouTubeチャンネルにて、シリーズを開発するにあたって直面した問題や、背景にある人々について開発スタッフ自らが語るドキュメンタリー映像が公開された。
映像では、「子どもの頃から訪れたいと思っていた。区域内に入ると、パイオニアのような気分になる。チェルノブイリ立ち入り禁止区域より隔離されている場所はないだろうからね」というセリフから始まり、一人称視点でゾーンの中に入る映像が映されている。
本映像では、ゲームを制作するために、現場の歴史や空気感を知るため、実際に現地に赴いていたことが語られる。約90分に及ぶこの映像は、開発スタッフが語り継ぐ形式でゲーム制作の裏側が見られる。
映像の中には、ゲーム開発だけではなく原子力発電所で実際に発生した事故や戦争などに語られている。一方で、世界的なイベント「Gemescom」に出展した際のスタッフの想いや、『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズにかける開発への情熱なども語られる。
映像の中でMaxim氏は、「最初はロシアが作ったロシアのゲームだと思った」として、『S.T.A.L.K.E.R.:Shadow of Chornobyl』がキーウで作られたウクライナのプロジェクトであることを知り、「驚いたよ」と語る。GSCは、1995年にウクライナのキーウで設立された。開発陣のコメントによると、当時のウクライナにはゲーム業界すら存在しなかったという。
映像の11分ごろには、キーウから約144キロ離れたチェルノブイリ原子力発電所(※)の実際の映像が流れる。1986年4月26日に起きた事件を発端に5万人が避難させられたことが語られている。なお、キーウは発電所からわずか128キロの場所に位置しており、近辺には250万人が住んでいた。
※チェルノブイリ原子力発電所は、ウクライナがソ連の支配下であった1977年にソ連より建設された。
開発スタッフは偶然にも現地に足を運ぶことになった。現場には「汚染管理」の文字が見られ、現地をみた開発陣は「ゲームにすべきだ」と考えたという。当時は物議を醸す問題で、多くの疑問も生まれたという。悲劇はまだ終わっておらず、痛みが消えている訳でもないとコメントされた。
Pavlo氏の祖父は放射能で汚染された地下水を封じるために地下壁を建設していた作業員だった語る。開発スタッフの中には、原子力発電所の事件関係者も携わっていることが伺える。
映像の最後では、「何が落ちてこようがゲームをするの。それを素晴らしいものに仕上げる。それを皆が見る」「リリースで会おう。ウクライナに栄光を」というセリフで締めくくられる。映像は公式YouTubeチャンネルにて公開されているので、ぜひ視聴してみてほしい。
『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は11月21日に発売される予定だ。