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『Dark and Darker』に著作権の侵害はないと判決。同作を巡り韓国ネクソンが開発会社IRONMACEに起こした民事訴訟にて、韓国の裁判所が判断を下す。ただし不正行為による損害は認定、IRONMACE側に85億ウォン(約9億円)の賠償金支払いが命じられる

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ダンジョン探索アクションゲーム『Dark and Darker』を巡り、韓国ネクソンが開発会社IRONMACEを訴えていた民事訴訟について、韓国のソウル中央地方裁判所は2月13日、一審において『Dark and Darker』は韓国ネクソンの作品『P3』の著作権を侵害していないとの判断を下した。韓国のゲームメディアInvenなどが報じている。

一方、韓国ネクソンが主張していたIRONMACEの過去の不正行為による損害はすべて認められ、裁判所は以前の侵害行為に対する損害賠償金として、IRONMACEに85億ウォン(約9億円)の支払いを命じた。

『Dark and Darker』は中世ファンタジーの世界観を舞台にした、一人称視点のダンジョン探索アドベンチャー。ゴブリンやミイラなどの敵モンスター、さらには他のプレイヤーとも戦いながら宝物や装備を集めて生還することを目指すゲームだ。

時間経過で制限される行動範囲というバトルロワイヤル的な制約や、『Escape from Tarkov』に似たシビアでハードコアな側面が評価され、2022年12月に開催された3回目となるアルファテストでは、IRONMACEの発表では参加者が100万人を超えるなど大きな人気を呼んでいた。

今回の件は、主に本作『Dark and Darker』が韓国ネクソンの開発中止になった作品『P3』の「アセットと素材を流用している」と同社が訴えていたもの。韓国ネクソンは本件について民事訴訟のほか、刑事告訴も行っており、2023年3月には、本件に関連してIRONMACEが韓国警察による家宅捜索を受けたことも報道されていた。

『Dark and Darker』に著作権の侵害はないと韓国の裁判所が判断を下す。一方不正行為による損害は認定_001
(画像は『Dark and Darker』Steamストアページより)

以前の裁判過程で、韓国ネクソン側は「2021年7月に『P3』に関する開発資料の流出や、元従業員の勧誘などに関する内部調査を実施、就業規定に基づいて『P3』で開発リーダーを務めていたA氏を懲戒解雇、その他関係した者に対し職務解任および所属変更の処分を下した。その後、これらの者とともに『P3』開発チームメンバーが多数引き抜かれる形で退職し、同作の開発が中断された」と説明。『Dark and Darker』について「不正な機密情報を流用して制作されたゲームである」と主張してきた。

IRONMACE側はこれに真っ向から反論。『P3』の開発中断については、「在職中の一部開発者の退職によるものではなく、原告側の会社自身が開発中断の意志判断を行ったものである」と説明。『Dark and Darker』については「(同作は)最初から当社が独自に開発しているゲームであり、不正な機密情報を流用した事実は一切ない」と主張していた。

『Dark and Darker』に著作権の侵害はないと韓国の裁判所が判断を下す。一方不正行為による損害は認定_002
(画像は『Dark and Darker』Steamストアページより)

今回の民事訴訟の第一審において、ソウル中央地方裁判所第63民事部は、被告・IRONMACEの『Dark and Darker』が原告・韓国ネクソンの『P3』に対する著作権を侵害していないという判決を下した。ただし、韓国の不正競争防止法上の判断においては韓国ネクソンが主張する損害を認め、IRONMACEに損害賠償金85億ウォンの支払いを命じた。

Invenの報道によると、韓国ネクソン関係者は、裁判所の判決について「公正な市場競争秩序を損なう違法な侵害行為に対し、裁判所が損害賠償請求額85億ウォンを全額認めたことは大きな意義がある」と述べ、「判決文を綿密に検証した後、上級裁判所を通じて再度法理的判断を仰ぐ予定だ」と語った。一方でIRONMACE関係者は「裁判所の判決を尊重する」と伝えている。

なお、本件民事訴訟とは別々で進行している刑事訴訟については、現在も検察による捜査が続いている模様だ。

ライター
物心ついたころからFFとドラクエと共に育ち、The Elder Scrolls IV: オブリビオンで洋ゲーの沼にハマる。 ゲームのやりすぎでセミより長い地下生活を送っていたが、最近社会にリスポーンした。 ローグライクTCG「Slay the Spire」の有志翻訳者。
Twitter:@Gre_zzz

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