20年以上前にインターネット上に登場し、多くのユーザーに衝撃を与えた伝説的なネット小説『絶望の世界』。現在おもに閲覧されているサイトにて、ホームページ用スペース「OJIJI.net 」のサービス終了が予告され、6月30日(月)をもってサイトが閲覧不可になる可能性が浮上している。
『絶望の世界』は、「虫」と呼ばれイジめられている男子学生が、ホームページを開設し日記を掲載している……という形式で物語が進んでいくネット小説だ。主人公の家族や周囲の人物たちが徐々に狂気に蝕まれ、タイトルどおり絶望に染まっていく世界が、容赦なく残酷に描写されていく。

当時のインターネットで実際に見られた日記ホームページの形式を利用した巧みな物語展開。凶悪事件や不況による1990年代末の陰鬱とした空気感と、当時のアンダーグラウンドなインターネット感に満ち溢れたネットの名作であり、これまで多くのネットユーザーの心に刻まれてきた。
1990年代末に更新されていたとされる『絶望の世界』だが、当初掲載されていたサイトはすでに閉鎖したとされている。今回のニュースで取り上げたのは本家のミラーサイトとされるもののひとつで、こちらのURLはネット上で広く掲載されてきたため、ここで閲覧したことがあるというユーザーも多いだろう。
ほかにも『絶望の世界』を閲覧できるミラーサイトは残されているが、ネットの名文を読める古き良きサイトがまたひとつ消滅することになる。ミラーサイトでは書籍化の予告メッセージが掲載されているが、現時点で『絶望の世界』が読める出版物はおそらく存在していない。