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ロボット掃除機「ルンバ」のiRobot社が破産申請。中国系企業Piceaが全株式を取得し上場廃止、再建へ。倒産手続き中も製品販売・サポートなどの通常業務は継続

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12月15日、「ルンバ」などで知られるアメリカの家庭用ロボット企業iRobotは、「iRobot、長期成長戦略を推進する戦略的取引を発表」という名のリリースを公開。同社が連邦倒産法に則り破産申請を行ったことを発表した。

今後は、iRobotの有担保債権者であり、主要サプライヤーでもある中国系企業Picea( Shenzhen PICEA Robotics Co., Ltd. および Santrum Hong Kong Co., Limited)が、裁判所による再編プロセスを経て、iRobotの全株式を取得。取引完了後、iRobotはPiceaが完全所有する非公開会社となり、上場を廃止することになる。

iRobotが連邦倒産法に則り破産申請。Piceaが全株式を取得_001
(画像はAmazonより)

今回の買収の背景には、他社との競合や、高コスト体質による利益率の悪化、過剰在庫などによる、慢性的な業績の悪化があった。

2022年にはAmazonがiRobotの買収を発表したが、EUの規制当局からの承認を得られなかったため、2024年に買収計画は中止となった。

以降も経営不振は続き、今年の11月に発表された2025年第3四半期決算報告でも、米国での売上高が前年同期比で33%減となったことや、手元現金が3ヶ月で約1500万ドル減少するなど、財務状況が悪化していることが明かになっていた。

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(画像はAmazonより)

以上のような深刻な財務状況から、負債を削減し財務基盤を強化するため、「連邦倒産法第11章」による再建計画が行われることとなった。

連邦倒産法第11章は、アメリカの倒産処理制度の一つで、事業を継続しながら再建を目指すことを目的としている。

今回のケースでは、裁判所の監督下で負債を整理し、債権者であったPicea社に会社を引き継ぐことで、ルンバなどの製品開発・販売・サポートなどの通常業務を止めずに事業を立て直すことが可能になる。

一連の手続きは2026年2月までに完了する見込みで、手続きの前後や最中に発生した債務については、ベンダーやその他の債権者へ全額期限通りに支払われるとのことだ。

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(画像はAmazonより)

iRobotのCEOゲイリー・コーエン氏はリリース内で、「この取引は当社の財政状態を強化し、消費者、顧客、およびパートナーに継続性をもたらす手助けとなるでしょう。」とコメント。iRobotの開発力とPiceaの製造・技術力が組み合わさることによる、将来への期待を示している。

また裁判所による取引の承認後、iRobotはPiceaが完全所有する非公開会社となり、ナスダックやその他の証券取引所での上場を廃止することになる。

上場廃止により、普通株の株主は、再編後の会社の株式を受け取れず、すべての株式は消却されることになる。

以下、プレスリリースの全文を掲載しています


2025年12月14日米本社「戦略的取引発表」プレスリリース意訳

本プレスリリースは情報提供を目的として英語から一部抜粋されて翻訳されています。アイロボットの公式プレスリリースは英語のみで、こちらからご覧いただけます。日本語版では正確な翻訳を心がけておりますが、微妙なニュアンスの差異が生じる場合があります。いかなる目的でも、この翻訳に依存することはご自身の責任で行ってください。

iRobot、長期成長戦略を推進する戦略的取引を発表
同社の担保権者であり主要サプライヤーでもあるPiceaが、裁判所の監督下で連邦倒産法第11章に基づく破産手続きを通じてiRobotを買収します。iRobotは、これにより世界中の消費者に信頼性の高いロボットとスマートホームデバイスを提供し続けることになります。

米国マサチューセッツ州ベッドフォード発— 2025年12月14日 PRNewswire

iRobot Corporation(NASDAQ: IRBT、以下「アイロボット」または「当社」)は本日、当社の担保付債権者および主要製造パートナーである Shenzhen PICEA Robotics Co., Ltd. および Santrum Hong Kong Co., Limited(以下Picea)との間で、裁判所監督下のプロセスを通じて Picea による当社の取得を前提とする企業再建支援契約(RSA)を締結したことを発表しました。

この契約は、当社の財務基盤を強化し、長期的な成長とイノベーション創出を実現するための重要な一歩となります。

当社は効率的に本取引を実行するため、関連会社と共にデラウェア州の裁判所の監督下で事前調整型チャプター11(pre-packaged Chapter 11)手続きを開始しました。完了は 2026年2月を予定しています。

RSA の条件に基づき、Picea は当社株式の 100% を取得し、当社のバランスシート上の債務を軽減して、通常の営業活動を継続しながら製品開発計画の推進や世界規模での事業展開を維持できるようになります。これにより財務の安定性が高まり、ロボット技術やスマートホーム製品におけるイノベーションを継続して創出していくことが可能になります。

今回の契約について、CEO の Gary Cohen は次のように述べています:
「本日の発表は、iRobotの長期的な未来を確かなものにするための画期的なマイルストーンです。この取引により当社の財務基盤は強化され、消費者、顧客、パートナーへ継続して価値を提供し続けられるようになります。iRobotが 30年以上にわたりリードしてきたルンバやスマートホーム技術の進化と、Picea の革新的な製造・技術専門知識を組み合わせることで、iRobot は次世代のスマートホームロボティクスの形を創出する力を十分に備えられると信じています」。

継続的な事業運営
チャプター11 の手続き中も、iRobotは通常どおりの業務を継続し、アプリ機能、顧客サービス、グローバルパートナー、サプライチェーン関係、そして製品サポートに関して中断する計画はありません。裁判所に必要な申立ても行い、従業員への対応や債権者への支払い義務にも遅滞なく対応していく方針です。

新たなオーナーシップの下、より力強く成長
裁判所が本取引を承認後、Piceaのオーナーシップの下、長期的なイノベーション戦略をより強力に推進できると期待しています。iRobotはPiceaの完全子会社となり、普通株式はNasdaq Stock Market LLCおよびその他の米国内証券取引所への上場を停止し、非公開企業となります。この取引は、より安定したバランスシートと、次世代のロボティクス、スマートホームのイノベーション、顧客体験の向上への投資能力の再構築を目的としています。
チャプター11 が裁判所で承認されると株主が再編後の新会社に株式を受け取ることはなく、現在発行済み株式はすべて消却される予定です。

アイロボット・コーポレーションについて
アイロボットはグローバルに展開する家庭用ロボットカンパニーです。使う人に寄り添った思いやりのある技術と、安心して任せられるホームイノベーションによって、豊かな暮らしを共に創造することをビジョンにロボットのデザインと製造を行っています。2002年に「ロボット掃除機ルンバ®」の発売を開始し、ロボット掃除機市場を創出して以来、全世界で数千万台に上るロボットの販売実績を誇ります。アイロボットの製品ポートフォリオは、清掃、マッピング、ナビゲーションにおける独自のテクノロジーと高度なコンセプトを特徴とし、これらを活用することでロボットとスマートホームデバイスのエコシステムを構築、家のメンテナンスを容易にし、衛生・健康的な生活の場を提供します。 www.irobot.com

Picea について
Picea は、ロボット掃除機の世界的なメーカー兼サービスプロバイダーであり、中国とベトナムに研究開発・製造拠点を有しています。Piceaは世界中に7,000人以上の従業員を擁し、多様な国際的な顧客基盤を有しており、多くのグローバル企業と長期的かつ安定したパートナーシップを維持しています。現在までに、Piceaは世界中で1,300件以上の知的財産権を保有し、2,000万台以上のロボット掃除機を製造・販売してきました。

ライター
JRPGとともに少年時代を過ごし、大学在学中に『VALORANT』にはまってからは、すっかりeスポーツの虜に。 プレイするのも観戦するのも好きだが、最近はランクマッチから逃げつつある。 重い腰を上げさせてくれるような戦友を募集中。

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