人はなぜ少女にメカをくっ付けるのか──島田フミカネら7人が語るメカ少女。“ガチになるほどキモくなる”デザイン論から、ガンダムに喰われないための深海魚戦略まで

人はなぜ少女にメカをくっ付けるのか──島田フミカネら7人が語るメカ少女。“ガチになるほどキモくなる”デザイン論から、ガンダムに喰われないための深海魚戦略まで

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ほかのスマホゲームにはない操作系、遊び方を構築した

──さて、ここまではメカ少女とその文脈で『アリスギア』について話を伺ってきましたが、ここからはゲームとしての『アリスギア』に迫れればと思います。

柏木氏:
 スマホでは『ダライアスバーストSP』『シルフィードAlternative AM』をうちで作ったんですが、バーチャルコントローラーで遊ぶゲームの中では、結構初期の頃に完成形といえるものが作れたんじゃないかなって思っているんです。たしかiPhone4Sが主流だった頃ですね。まだソーシャルゲームが流行り出す前です。

──時代的に言うと、モバゲーの『怪盗ロワイヤル』などが出ていたころですね。

柏木氏:
 バーチャルコントローラーできちんとしたものは作れたのですが、やっぱりすこしやりにくさを感じていて、今回はタッチパネル入力、スマホ操作に最適化された操作系をゼロから構築したいと思っていました。

──すでにあるフォーマットではなく、誰もがゼロからスタートできるゲームということですね。

柏木氏:
 アーケードゲームでよくあるような、操作系のリセットですね。たとえば敵の周りをくるくる回りながら射撃をしつつ近接攻撃で斬りつける事を簡単に出来るような操作系にしたかったので。

──ちょっと補足しておくと、『アリスギア』の操作性って指ひとつで操作できて、前後左右の動きはあるけど、縦軸の動きはあまりなくて。概念としてはあるけど、操作はしないっていう割り切り方なんですよね。

 だけども、前後左右でダッシュ攻撃があるとか、近接コンボ、派生技があるとか、ステキャン(ステップキャンセル)【※】があるとか、知れば知るほど「ああ、こんな動きができるんだ!」っていうアクション性があるゲームで。これって、メカ少女といわず、スマホのゲームとして見ても、他に類を見ないレベルではないかなと思います。

※ステキャン(ステップキャンセル)
攻撃やジャンプなどの動作の隙をステップすることによってキャンセルするテクニック。主に対戦型格闘ゲームで多用されるテクニックで、近年では『ファンタスースターオンライン2』など、アクション性の高いオンラインゲームに導入されているケースもある。

柏木氏:
 作っている側としては、あえてほかの作品とは全く違うことをやろうと思って作っているんですよ。ただ、ボス戦なんかは歯ごたえがありすぎて、ユーザーさんにはそれでお叱りの声をもらったりはするんですけれど(苦笑)。

──たしかに、サソリ(セルケト)【※】やケルベロスなんかは強かったです……。

※サソリ(セルケト)
正式名称、セルケト(通称:サソリ)。ゲーム中盤以降に登場するボスとして、多くの初心者を苦しめる難敵。とくに一撃が重い尻尾回転攻撃と尾先から放つビームは脅威。

※ケルベロス
人型モードと巡航モードの2形態を持つ可変型のボス。人型モードの時は運動性に優れ、小刻みな動きと的確な射撃、ワンテンポおいて格闘をはさむなど隙のない行動パターンが特徴。巡航モードでは爆撃機のように高速で飛び回りながら大火力の攻撃を繰り出してくる強敵。

柏木氏:
 「ゲームとして遊び込んでいけるようなものを目指して作りましょう!」と意気込んで作ったので、開発中はずーっと「これでは難しすぎる」とか「逆に簡単すぎる」とか、社内で揉んでいました。

牟田氏:
 バランスを絶妙にするのが難しかったですよね。スマホゲームの場合はライトなユーザーさんのことも考えないといけないですし、しかもコントローラーみたいにボタンがいっぱいあるわけでもないので、どこを単純化してどこを複雑化するのか──かなり試行錯誤と話し合いをしながら決めていきましたね。

僕らが好きだったものを、魂を込めて作った

──この言葉が適切かわからないんですけれども、『アリスギア』って“バカゲー感”もすごく魅力的だと思っていまして。大人達が本気でバカやって、好き勝手に楽しい事をやっている雰囲気がありますよね。

柏木氏:
 いろんなものをアホみたいに丁寧に作っているからこそ、イベントでは無軌道な面白さや独特な悪ふざけしても多少は許されるのかなって。

柳瀬氏:
 それでもデザインはちゃんと本気でやっていますからね。キャラも3Dモデルもですけど、本当に丁寧に作っているなあって思う。

──「ほっちゃーん! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」【※】みたいな感じのセリフがあったりとか。懐かしい!って思いながら、正直これは大丈夫なんですか?って思うネタもあったり……。

※「ほっちゃーん! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」
2004年の東京ゲームショーにて行われたメインステージ『双恋』のスペシャルイベントに駆けつけた堀江由衣ファンの熱い声援を書き起こした記事が元ネタ。シリアスなレポート記事の中で異彩を放つ文字列のインパクトがネット上で評判となった。

柳瀬氏:
 正直パロディに関しては、そろそろ誰かに怒られるんじゃねえのかなって思うけども(笑)。

柏木氏:
 そうですねえ。いやあ、いろいろと怒られそうなものがありますからね。

柳瀬氏:
 もう少しオブラートに包んでいいんですよって思うときがある(笑)。

柏木氏:
 島田さんが言われているシナリオに関しても、大人がクスクスっと笑えるようなものにしたいなと思って作っていまして。

──兼志谷 シタラ(かねしや したら)ちゃんがぶっこんでくるんですよね。いろいろと。

柏木氏:
 あ、そうだ。作中で頻繁に、ブキヤにいこう、ブキヤにいこうって単語が作中で垂れ流されているんですけどー。

野内氏:
 ですけどー、じゃないですよ(笑)。

一同:
 (笑)。

──あと格闘ゲーム好きな小芦睦海(こあし むつみ)ちゃんなんかは、名前を数字に変換すると『ストリートファイター』の昇竜拳のコマンドになるとか。

柏木氏:
 胸の所にもそのモチーフがあるんですよ。誕生日も逆昇竜のコマンドとか。

一同:
 (笑)。

──そういったネタ的なところも含めて、『アリスギア』ってすごく好きで作っているなっていうのが、もう画面から、イベントシーンから、いたるところから感じるんですよね。ホーム画面の時計がリアルの時間と連動していたりとか、イベント中はホーム画面に専用の小物がいっぱいあったりとか。もう作り込みのレベルがおかしい。

 それでいてカスタマイズ要素があって、バリバリのアクションシューティングで出るというのは、いまのスマートフォンゲームでは本当に稀有な存在だと思います。

柏木氏:
 ええ。社員一同魂を込めて作っていますからね。僕らが好きだったものを、いろんな人が面白いよねって感じてもらえるように作っています。このジャンルの分母を頑張って広げていきたいなと思っているんですよ。

──そのほかにも、BGMをサウンドチームZUNTATA【※】が手がけていたり、一部のエピソードで高橋よしひろ【※】さんが描かれた熊や犬が出てきたりと、随所にこだわりが見られます。

※ZUNTATA
株式会社タイトーのサウンドチーム。名称は三拍子の「ずんたった(ZUNTATTA)」からTの一文字を取ったものとされている。古くからタイトーが開発するゲームソフトなどの音楽を手がけ、『ダライアスバースト』、『レイストーム』などSTGの楽曲も多数制作している。

※高橋よしひろ
漫画家。代表作『銀牙』と、それに連なるシリーズ作品には、力強いタッチで描かれた犬が登場することで有名。また、凶悪極まりない面相の熊の画にも定評がある。

柏木氏:
 シナリオ的にマタギのキャラクターがいたのでそのエピソードで熊と犬が登場する事は決定していたんですよ。でも、社内では魂が入った熊と犬は描けないと。

一同:
 (笑)。

──“魂の入った犬と熊”というのがパワーワードなんですが(笑)。

柏木氏:
 で、社内で日本一魂の入った熊を犬を描ける人という事で検討して「高橋よしひろ」先生の名前が挙がりまして、確かに先生にお願い出来るなら最高の熊と犬になるのではないかと、難しいとは思いつつも日本文芸社のゴラク編集部さんに打診を行いました。

柳瀬氏:
 いちイラストレーターとしてお願いしたってことですよね。コラボというよりも。

柏木氏:
 そうですね、サイレントコラボと言いますか本当に特別枠でお願いした形です。
 快諾していただき本当に嬉しかったです。

──イラストが出たときに、「ん!? この画面はアリなのか?」って、目を疑うような絵面になっていました。

柏木氏:
 魂が入っていたでしょう? 見た者の魂を一瞬のうちに獲っていくような最高の絵になったと思います。

──そして、最後に協力としてクレジットが出るっていうのも良かったですね。探検隊イベントとかも、だいぶ昭和感のある……「わかる人しかわかんねえ!」っていう、濃ゆいネタが来たりとか。

柏木氏:
 探検隊イベントはですね、あの赤い字をバァーンってやるのは、効果音をZUNTATAにお願いしています。「効果音が必要なんです!」って。もちろん、探検隊のBGMもですね。

──字を出すSEにZUNTATAを……すごく豪華な発注ですね。

柏木氏:
 とてもいいBGMが上がってきて。シナリオチームからも、専用BGMだったのですが、今後も出来れば使いたいですって話をされました。

鳥山氏:
 そういったテイストは、今後『アリスギア』みたいなゲームがほかに出てきたとしても、絶対に真似できない部分ですよね。

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