『ドラゴンクエスト』シリーズのモンスターを仲間に加え、育成と配合を繰り返し、より強いモンスターを生み出して大会を勝ち抜いていく、『ドラクエ』の人気派生作がスマホに移植されました。
『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドSP』です。
オリジナルは1998年にゲームボーイカラーで発売され、のちにプレイステーション版も登場。
そして2012年にニンテンドー3DSで、大幅にリメイクされた新バージョンが公開されました。
今作はその3DS版をスマホに移植したもので、3DS的な上下2画面のインターフェイスと、3D化されたグラフィックを持ちます。
本編の『ドラゴンクエスト』のような、世界を旅する長編ストーリーが展開されるわけではありません。
「タイジュの国」と呼ばれる町と、入るたびに地形が変わる3Dフィールドのダンジョンを往復するのみで、モンスターの収集と育成に特化した内容です。
しかし、そんな小さくまとまった内容だからこそ、遊びやすく、スマホにもマッチしています。
そして両親の特徴を継承した新しいモンスターを生み出す「配合」により、自由度の高いモンスターの強化が可能で、100時間遊べるほどのやり込みを備えています。
基本的には3DS版と同様ですが、シリーズ最新作(『ドラクエXI』や『JOKER』シリーズ)のモンスターが追加されており、総数は650種以上に増加(3DS版は609種)、手軽に冒険を進められる「オート戦闘」と「らくらく冒険」が加えられ、新エリアの追加なども行われています。
価格は2400円。(11/13まで発売記念価格で1600円)
買い切りゲームなので課金・ガチャ・スタミナ等はありません。
操作は片手で行えるようになっていて、画面下の仮想スティックをスライドして移動、タップで会話や調査などを行います。
操作性は良好で、スマホ版の『ドラクエ』にはいまいち操作しづらいものもありましたが、今作は気になりません。
上半分はゲーム画面になっていて、スマホだとやや小さいのは否めませんが、滑らかに動く3Dのフィールドやモンスターが映し出されます。
最新の『ドラクエ』らしい、モンスターの多彩な動きは今作のウリのひとつでしょう。
下半分のボタン配置やレイアウトは3DS版とはかなり違い、中段にマップがあって、その下にボタンが並べられます。
タッチパネルでも使いやすく、より見栄えがするよう改修されています。
舞台となる「タイジュの国」には城や町、モンスター牧場や図書館といったさまざまな施設がありますが、すぐに「ルーラ」の魔法で施設間を移動できるようになるため、それほど走り回る必要はありません。
そして「旅の扉」でダンジョンへと移動します。
ダンジョンはランダム生成……というほどさま変わりするわけではありませんが、入るたびに地形が変化します。
そして、うろついているモンスターに触れると、戦闘シーンに。
敵の姿が見えているので、避けて進むことで戦わずに進行することもできます。
戦闘シーンは『ドラクエ』おなじみのターン制コマンドバトル。
戦うのは仲間のモンスターで、主人公は命令を出すのみです。
モンスターは「ガンガンいこうぜ」や「いのちだいじに」などの「作戦」に応じて自動で行動するため、普段は命令を出す必要はありません。
ピンチのとき以外、すぐに「戦う」を選べばよいお手軽なシステム。
もちろん個別に命令を出すことも可能です。
パーティーはメイン4体、スタンバイ4体の8体構成で、戦うのはメインの4体ですが、入れ替えはターン消費なしでいつでも行えます。
また、メインパーティーが全滅すると、スタンバイのモンスターが自動で飛び出してきます。
経験値はどちらも獲得可能。
そして、モンスターを仲間にする方法ですが……「スカウト」というコマンドで行います。
これを実行すると、仲間全員が対象のモンスターにスカウトアタック! これにより成功率が上昇していきます。
スカウトアタックは物理攻撃であるため、力や攻撃回数が高い方が有利で、バイキルトで攻撃力を上げ、ルカナンで相手の守備力を下げていれば、さらに有利になります。
失敗した場合は相手から攻撃されてしまいますが、その後に「ようすをみている」と出た場合は、再度実行可能。
「いかり」になってしまうと、もうスカウトはできず、相手の攻撃力も上がってしまいます。
仲間になったモンスターはその場でパーティーに加えるか、モンスター牧場に送ります。
モンスターは戦力になるのはもちろん、「配合」の素材としても必要で、さらにモンスターを集めた数に応じてさまざまな特典を得られるため、積極的にゲットしていきましょう。
モンスターは500体までストック可能なので、当面いっぱいになることはありません。
そして、強いモンスターを作るために必須なのが「配合」。
これはモンスター同士をかけ合わせて「こども」を作るものです。
といっても、子どもはすぐに誕生するし、両親がいなくなるし、合成だと考えた方がわかりやすいですね。
ただしモンスターにはオスとメスがあり、異性どうしでないと配合できません。
また、親はレベル10以上である必要があります。
配合時、子どもは両親が持つ「スキル」を継承できます。
たとえばスライムは「スラフォース」と「すばやさアップ」を、ドラキーは「ブラックファイター」と「かしこさアップ」を持ちます。
その子どもは(Sサイズなら)このうちの3つのスキルを継承でき、どれにするかはプレイヤーが選択できます。
また、誕生する子どもは(両親が同一でない場合)両親と同じ種類を含む、3~5種類のモンスターの中から任意のものを選ぶことができます。
「スキル」は、スキルというよりも「技能グループ」で、たとえばスラフォースの中には「メラ」や「ホイミ」といった魔法、「たいあたり」や「まぶしい光」といった体技など、8~10の技能があります。
これらをレベルアップで得られる「スキルポイント」を消費して習得することができ、このスキルポイントも半分が配合時に継承されます。
この配合を駆使することで、火を吐くスライムや、回復もできるドラキーなど、望みのモンスターを生み出すことができます。
いずれは「ブレス攻撃が欲しいからドラゴンキッズを取ってきて、回復も欲しいからホイミスライムと配合しよう。でもホイミスライムは入手し辛いので、スライムとおおきづちの配合で作ろう。ただレベルを10まで上げないと配合できないから、まずは経験値を稼ごう」といった計画を立てることになるでしょう。
こうしたことをやり始めると時間はどんどん経っていきますが、そうして作ったモンスターはやはり強く、何より配合とスキルの継承を考えるのが楽しいです。
それこそが今作の醍醐味ですね。
一応、今作にも「さらわれた姉を救出する」というストーリーがあります。
そのためには各国対抗のモンスター格闘大会で優勝しなければならないのですが、その前に闘技場のランク戦を勝ち抜いて、タイジュ国の代表になる必要があります。
ランク戦にはG~Sまであって、ランクを上げることで新しいダンジョンに行けるようになり、利用できる施設も増えていきます。
これを進めるのが当面の目標ですね。
ただ、メインストーリーのクリア後もゲームは続き、新しい舞台が登場、本編とは直接関係ないおまけのダンジョンもいくつか用意されています。
そして今作には「オンライン他国マスター」(他プレイヤーのパーティー)と戦える機能もあり、勝利すると相手のモンスターを1体もらえ、累計勝利数によるご褒美も得られ、名声ランクも上がっていきます。
究極的には、オンライン戦で常勝できるパーティーを作るのが目標になるでしょうか。
スマホ版固有の機能として「オート戦闘」と「らくらく冒険」もあり、オート戦闘をオンにしていると、なんと戦闘が始まった瞬間に決着が付いて経験値とゴールドをもらえます。
内部的にバトルをシミュレートしているのか、戦力が十分でないと負けて全滅することもあるのですが、勝てばノーダメージで、手軽に経験値稼ぎができます。
さらに「らくらく冒険」は1時間に1回しか使えませんが、クリア済みのダンジョンを自動で周回したことになり、経験値とゴールド、さらにアイテムやモンスターまで得られます。
おかげで外出中でも簡単にレベル上げができるのですが…… 私的にはオート戦闘はやりすぎの気がします。
あまりにも手軽すぎて味気ない。 これも時代の流れでしょうか……。
ボス戦やオンライン対戦は、さすがにオートにはできませんが。
予想していた以上に「スマホにマッチしたドラクエ」という印象。
スマホと同じ「タッチパネルを持つ小型機」であるDSや3DSからの移植作は、スマホでも違和感がない場合が多いのですが、これもその1つ。
内容やインターフェイス、文字や画面のサイズなども含め、携帯機器に合ったゲームという感じがします。
配合で強いモンスターを作る楽しさがわかってくると、俄然面白くなるゲーム。
そこに焦点を当てて作っているだけあって、延々と育成に没頭することができます。
もちろん『ドラクエ』らしいクオリティの高さも備わっていて、ソーシャルゲームではないので成長のテンポが良く、ガチャもありません。
一部のAndroid機でグラフィックに異常が発生するのが問題になっていますが、スペックが足りない機種でおかしくなるのは当然の話。
機種の対応や性能は事前に確認しておきましょう。
本編の『ドラクエ』よりもカジュアルな作りですが、『ドラクエ』の派生作として、かなりおすすめできる作品です。
ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドSP
自由にモンスターを育成できるドラクエのスピンオフ作
・RPG
・スクウェアエニックス / トーセ(日本)
・2400円
文/カムライターオ
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