Epic Gamesが新プラットフォーム「Epic Gamesストア」スタート。デベロッパーに一律88%の高い収益配分を実現、独占タイトルも提供予定

 Epic Gamesがゲーム販売をメインとした「Epic Gamesストア」を開設することを発表した。ウェブブラウザと同社が提供するEpic Games Launcherで展開され、すでに実装されていることを確認できる。UIはすでに日本語化されており、日本語表記でのユーザー登録も可能だ。

 現時点で確認できるタイトルは、『フォートナイト』『SHADOW COMPLEX REMASTERED』『Unreal TOURNAMENT』と自社タイトルのみだが、12月6日に開催される「The Game Awards」にて、どのようなゲームがEpic Gamesストアでリリースされるのかを発表する。

 当初のラインナップはEpic Gamesが吟味したPC、およびMac向けの作品を中心とするが、2019年以降はAndroidや、その他のプラットフォームのゲームにも対応していく予定だという。

(画像はEpic Gamesストアに関するお知らせより)

 このEpic Gamesストアの最大の注目すべき点は、「収益を生むためのフェアな取引条件」を掲げ、デベロッパーに一律88%という高い収益率をうたっているところだろう。この高いロイヤリティの還元率には、すでに多くのゲームクリエイターが関心を示し、魅力を感じているようだ。

 収益における具体的な還元率はこのグラフにあるとおり、Steamの収益率はゲームエンジンのUnreal Engine 4(以下、UE4)を使うと、ストア 30%/UE4 5%/デベロッパー 65%だった【※】。Unityなどのライセンスフリーのエンジンだとストア 30%/デベロッパー 70%の取り分になる。

※Unreal Engine 4のロイヤリティは、「1暦四半期ごとにゲーム1個につき3000米ドルを超える額の5%」とされており、この額以下の場合は発生しない。また12月1日、ValveはSteamにて1000万ドルの売上に達したタイトルは還元率をストア 25%/デベロッパー 75%、5000万ドルに達したタイトルはストア 20%/デベロッパー 80%と変動させることを発表している。

 だがEpic Gamesストアを利用すると、UE4やUnityを使っても一律でストア 12%/デベロッパー 88%になる。この高い収益率は、タイトルの規模や販売本数によって変更はなく、UE4を使用していたでも場合でも、ストアの取り分12%から賄うものとしている。 

(画像はEpic Gamesストアに関するお知らせより)

 UE4を利用しているデベロッパーにとっては、高い収益率だけではなくUE4のロイヤリティを免除されるとあって、非常に魅力的な提案といえるだろう。またEpic Gamesストアは自社のUE4だけではなく、すべてのエンジンを歓迎するという。

 プレイヤーとの直接的な交流は、Steamと同じくニュースフィードを中心的にもちいるようだ。ストアのゲーム販売ページでは、広告や競合ゲームのクロスマーケティングを廃し、デベロッパー自身で販売ページとニュースフィードを管理できるものとしている。

 また『フォートナイト』で以前から実施している「クリエイターサポート」を拡充するとし、クリエイターの紹介によってプレイヤーがゲームを購入すると、アフィリエイトなどを介して、収益の一部がクリエイターに分配される。当初の24ヶ月は、Epicが最初の5%を支払う。

(画像はフォートナイト公式サイトより)

 海外メディアGame Informerでは、Epic Games CEOのティム・スウィーニー氏へのインタビューを行っており、30%の取り分を確保するストアは300%から400%に過大なコストを計算していると批判した。

 また、いずれはiOSのプラットフォームも扱いたい意欲を見せているが、Appleのポリシーと反するため難しいとしている。ほかにもコンソールゲームは扱わない、ストア側ではDRMは行わない、中古販売は行えない、VRゲームを扱うこともできる、またローンチ時には搭載されないが、トロフィー/実績システムを搭載する予定を明かしている。

 このようにクリエイター側に寄り添ったEpic Gamesストアだが、気になるのは、ゲームの審査基準だろう。現在のところEpic Gamesは合理的な品質基準を設けるとしており、具体的にはまだ明かされていない。なお、一般のデベロッパーへの解放は2019年中頃を予定している。

画像はEpic Games Launcherよりキャプチャ

 Unreal Engine 4や人気タイトル『Fortnite』を有するEpic Gamesストアだが、現在のPCゲーム市場において一強を極めているValveのSteamは、システム化されたゲームのリリース制度と検索機能の強化による物量を持って、OriginやUplayといった他のプラットフォームを圧倒している。Epic Gamesストアにおいても、最終的には“どれだけのゲームが集まるか”がもっとも重要な点となるだろう。

 ただ、奇しくも12月1日、Valveは大型タイトルの収益率変更の施策を行い、数千万規模で売れている大型タイトルの還元率を変動させて下げる方針を打ち出したが、これには一部のインディーデベロッパーから不公平だとの批判が寄せられている状況だ。そんな状況においてEpic Gamesストアの“一律”という大胆な方針は大きなインパクトを持っている。Epic Gamesストアはゲーム業界に地殻変動を巻き起こすことができるだろうか。

文/福山幸司

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著者
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman
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