「このゲーム、マジでセンスが爆発してる」
『LOVE ETERNAL(ラブエターナル)』をプレイしながら、筆者は思わずそうつぶやいてしまった。本作は2Dプラットフォーマーを主とするホラーアドベンチャーゲームであり、プレイヤーは高難度のステージを進みながら、主人公「マヤ」が遭遇する“奇妙で不気味な”物語を追体験していく。
そんな本作の最大の魅力は、なんと言ってもセンスにあふれた怪奇演出だ。論より証拠、まずは公式に公開されているトレーラー映像をご覧いただきたい。
いかがだろうか。不穏さ、不気味さをこれでもかと詰め込んだ、本作のセンスの一端を感じ取れたのではないだろうか。
動画を見た時点で“ビビッ”と来た方がいれば、本稿を読み進めていくつかのギミックを知ってしまうよりも先に、ゲームをプレイすることをお薦めする。ゲームの難度は高いが、その難しさに挑むだけの価値はある。
「映像を見ただけでは踏ん切りがつかない」という読者の方へ向けて補足をしておくと、本作は100人中100人が好きになるタイプの作品ではないかもしれない。しかし一方で、人生のベスト5にこの作品が入るという人も確実にいる、そんな作品であることは間違いないだろう。
本稿では、ハイセンスで、クリア後に誰かへ感想を語らずにはいられない、本作の魅力について迫ってみたいと思う。
※この記事は『ラブエターナル』の魅力をもっと知ってもらいたいPLAYISMさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
不穏すぎるホラー演出からビシビシと伝わる、圧倒的な美的センス。ミニマルなアートスタイルと音響の“トガり”がプレイヤーの心を鷲掴み
『ラブエターナル』という作品を紹介するにあたって、あらためてお伝えしておくと、本作はいわゆる「高難度2Dプラットフォーマー」に分類されるゲームで、『VVVVVV』や『Celeste』などに代表されるゲームジャンルの一作だ。
当然、本作にもハードで歯ごたえのあるステージがいくつも出てくるため、そういった作品に魅了されている方にも本作は間違いなくお薦めだが、本稿において特に注目したいのは、高難度の部分よりもむしろ本作特有の「ナラティブ」に関する部分だ。
というのも、本作のナラティブ——特にホラー演出に関する部分——は、インディーだからこそのミニマリズムと外連味がたっぷりと効いた、まさにインディーホラーの「お手本」的恐怖演出がたっぷりと詰まっていて、驚きや恐怖とともに、「こんなにすごい演出が見られるとは!」という喜びが沸き立つような仕上がりになっているのだ。
不意打ちの演出だけではなく、音響やグラフィックの質感までもを活かしたそのセンスには、プレイしている最中何度も驚かされた。
また、多くを語らずユーザーに解釈を委ねるストーリー上の余白も大きな特徴だ。多数のサイコホラー映画やインディペンデント作品などから影響を受けたであろうストーリーテリングは、一見難解で複雑なように見えるところまで含め、まるで海外のカルト映画を思わせる。

そんな「難解そうに見える」本作の物語における導入は、意外にも分かりやすい。
主人公であるティーンエイジャーのマヤはある日、家族との食事中にかかってきた一本の電話を取ってしまったことによって、この世界とは少し異なる別の世界へと迷い込んでしまう。
一瞬にして消えてしまった家族、外には遺跡のような巨大な建造物、そして道中で現れるもう一人の自分……不可解な現象が立て続けに起こる不気味な世界から脱出するため、マヤとなったあなたは出口を目指す。
ここでまず注目したいのが、本作のアートスタイルだ。
本作のグラフィックは基本的にピクセルアートで構成されているのだが、画面比率は4:3、解像度もフルスクリーンにした際に若干ぼやけるほどの粗さとなっており、ハッキリ言って「リッチさ」とは対極のような画作りとなっている。
しかし、これはあくまで意図的なものと見て良いだろう。
例えば上に掲げたスクリーンショットは室内の場面なのだが、このシーンはあえて室内の閉塞感、息苦しさ、無機質さを演出するために、意図的に画面占有率が抑えられている。重要なのは、この低解像度とスペースの狭さを逆手に取ったギャップなのだ。
それを象徴するのが、屋外に出たときの画面構成だ。
この開放的でありながら寂寥感を強烈に感じさせる構図と、不気味さを際立たせる圧倒的な陰影の存在感に、筆者は思わず畏怖に近い感情を抱いてしまった。
先ほどのミニマルな画面とは打って変わって、こちらでは非常に精緻なドット絵が画面いっぱいに描かれ、世界の広がりと、主人公の小ささや孤独さが強烈に対比されている。
また、本作のアニメーションは1コマ1コマ丁寧に、非常にぬるぬると動く一方で、それ以外の部分——例えば背景など——は、まったくと言っていいほど動かない。このギャップが、嫌でもプレイヤーの注意を「キャラクターの動き」へと向けさせるようになっているのである。
この「見せたいもの」へのフォーカスが、本作は非常に巧い。
もちろん、この視線誘導的なアプローチは本作のホラー演出にも用いられており、ステージを攻略している筆者を大いに驚かせ、また楽しませてもくれた。
音響面でも、本作のホラー演出は秀でている。
本作のBGMは基本的には抑制的で、不気味なストリング音(実際には別の音かもしれない)や無音を基本としてシーンが進行する。しかしこれは手抜きなどではなく、むしろホラーにとっては好都合な要素だ。
静かな場面から唐突に流れる効果音や劇伴の転換はホラーの「お約束」であり、本作のミニマルさはこうした演出に非常にマッチしている。静かな世界だからこそ、水音の響きや荘厳なBGMが流れた際に、そのサウンドそのものがシーンの重要性をプレイヤーへと伝えてくれる。
先ほど言ったグラフィックに関してもそうだが、本作の演出はとにかくミニマルだ。画面を構成する諸要素も音響も、必要なもの以外は徹底的に削られている。
ゲーム全体がミニマルなものになること自体、インディー作品にとってはある種の必然とも言えるが、本作はその制約を逆手にとるようにして、むしろゲームそのものをアーティスティックな仕上がりへと昇華させている。
これには当然相当な美的センスが要求されるだろう。本作が2Dプラットフォーマーであることを考えると、アクションに絡めてすべてを演出しようと考えてしまいそうだが、実は本作はあまり「プレイ中に何かが起きる演出」には頼り切っていない。
ステージとステージの合間で挿入される、不気味なアニメーションの数々。それは筆者を怖がらせるものである一方、そのクオリティの高さによって間違いなく筆者にとっての「ご褒美」にもなっていた。
ナラティブ部分をゲーム部分から切り離して表現しているからこそ、ゲームにおける省略的な表現から解き放たれ、カットシーンでのとてつもなく精緻な描き込みが成立するのだ。
少々込み入った説明になったが、とにかくこうしたクレバーな設計が本作のアートスタイルを生み、それがシナリオの魅力を何倍にも引き立てていることは間違いない。






